4/26/2014

果糖ぶどう糖液糖と肥満


High-fructose corn syrup causes characteristics of obesity in rats: increased body weight, body fat and triglyceride levels
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3522469/

異性化糖(High-fructose corn syrup)が肥満の元凶という主張の根拠としてよく引用されるプリンストン大の論文。この実験で使われた異性化糖は果糖含有率55%なので、異性化糖の分類から以下、High-fructose corn syrupを果糖ぶどう糖液糖と訳す。果糖ぶどう糖液糖という単語の方が馴染み深いし。

そもそもラットを対象とした研究を人間の肥満問題にそのまま当てはめるのはナンセンスだと私は思っているのだけど、この研究では等カロリーを摂取しているはずなのに何故か体重に違いが出ているという結果が出ていて、興味深いので取り上げてみます。


実験で使われた餌のパターンは、以下の3種類。

・スクロース(砂糖)溶液 + 普通の餌

・果糖ぶどう糖液糖(果糖含有率55%)溶液 + 普通の餌

・普通の餌のみ(対照群)

それと、糖溶液・餌へのアクセス時間が12時間・24時間、実験期間が8週間・6-7ヶ月。詳しくは画像のTable 1に。

まず、ダイエットや栄養や健康についての問題は、科学界にイデオロギー的な対立があって、バイアスのかかった研究も多い。この研究はおそらく、果糖ぶどう糖液糖を肥満の元凶だと思っている陣営によって行われている。実験の構成や論文の書き方もそう主張できるようにバイアスがかかっているように見える。

結果が正しく測定されたと仮定して、データを見比べてみる。

Experiment 1は8週間の実験。Experiment 2は6-7ヶ月の実験。

・1日12時間の果糖ぶどう糖液糖溶液へのアクセスのグループの最終的な体重が重い。これを果糖ぶどう糖液糖が肥満の要因という主張の根拠としている。糖溶液+餌の総摂取カロリーは、スクロースグループでも、果糖ぶどう糖液糖グループ(12時間・24時間両方)でも同じだったとしている。対照群の摂取カロリーについては言及なし。以下、私のツッコミ。

 → 24時間果糖ぶどう糖液糖溶液グループは、12時間スクロースグループと体重に差がない。12時間果糖ぶどう糖液糖アクセスだと肥満になって、24時間果糖ぶどう糖液糖アクセスだと肥満にならないという結果。12時間でも24時間でも、糖溶液からの摂取カロリーと、餌を含めた総摂取カロリーは同じ。どう説明すれば良いのか? (論文中では説明なし)
 → 摂取カロリーが等しいのに体重に差が出たということは、消費カロリーに差があると考えられる。果糖ぶどう糖液糖溶液へのアクセス可能な時間によって、消費カロリーが変化するのだろうか。何故?(論文中では説明なし)
 → Experiment 2 だと、24時間果糖ぶどう糖液糖グループと、12時間果糖ぶどう糖液糖グループは最終的な体重に有意差がないとしている。Experiment 2 については摂取カロリーに差があったかどうかは書かれていない。摂取カロリーが同じなら、Experiment 1の結果と矛盾する。(論文中では説明なし)
 → Experiment 1では、糖溶液由来の摂取カロリーは、スクロースグループの方が果糖ぶどう糖液糖グループよりも1.5倍くらい多くなった。従って、フルクトースの摂取量は、スクロースグループの方が多い。スクロース(50%がフルクトース)と果糖ぶどう糖液糖(ここでは55%がフルクトース)の違いは、フルクトース含有率と、フルクトース分子とグルコース分子が結合しているか否か。この実験の結果をそのまま解釈すると、フルクトースの摂取量がラットの肥満に関係するのではなくて、フルクトース分子とグルコース分子の結合状態がラットの肥満に関係するという結果になる。
 → Experiment 2では、12時間果糖ぶどう糖液糖+12時間餌グループと、12時間スクロース+12時間餌グループでは体重に差がない。Experiment 1との違いは、餌のアクセス時間が24時間ではなく12時間になっていること。12時間果糖ぶどう糖液糖アクセスの場合、24時間餌にアクセスできると総摂取カロリーが同じでも肥満になり、12時間餌にアクセスできると摂取カロリーは不明だが肥満にならないという結果に。


以上より、実験結果から論理的に引き出される因果関係は、「フルクトース分子とグルコース分子が結合していない状態の糖溶液に12時間アクセス可能、且つ餌に24時間アクセス可能な状態だと、24時間アクセス可能な場合及びスクロース溶液に12時間アクセス可能な場合と摂取カロリーは変わらないが、このケースのみ消費カロリーの低下が引き起こされ、ラットは肥満する」ということになる。

こんな特殊なメカニズムがラットに備わっている可能性と、実験に何らかの不備があった可能性、もしくは単なる偶然である可能性、どの可能性が高いだろうか。


ちなみに Alan aragonLyle McDonald も、フルクトース・果糖ぶどう糖液糖悪玉論に対して否定的。フルクトース・果糖ぶどう糖液糖悪玉論に対する、まともな人々の回答を書いておくと。

・一般的に使われている果糖ぶどう糖液糖は、フルクトースとグルコースの含有率が砂糖とほとんど変わらない。
・異常な量を摂取しなければ、フルクトース自体に毒性があるわけではない。(というか、どんなものでも異常な量を摂取すれば毒性はあるだろう)
・果糖ぶどう糖液糖に、カロリー収支を超えて肥満を引き起こす効果があるわけではない。
・肥満防止には、カロリーオーバーにならないよう気をつけること。カロリーがあるものならどんなものでも食べ過ぎれば太る。
・果糖ぶどう糖液糖の積極的な摂取を推奨するわけではない。健康維持に有用な微量栄養素の摂取のため、砂糖も果糖ぶどう糖液糖も摂取量は低く抑えて、精製度の低い食べ物をバランスよく摂取すること。

4/23/2014

[書籍] Starting Strength: Basic Barbell Training


著者: Mark Rippetoe

バーベルトレーニングを直接習う環境になく、独学で学びたい人にお薦めの本。1種目あたりのページ数が多く、とても詳しく説明されている。英語に抵抗がないなら、非常にお薦め。和訳は出ていないと思う。私は紙の本を米アマゾンから購入したけど、キンドル版はかなり安く手に入る。

内容は以下のとおり

★スクワット 67ページ
関連記事:スクワットの基本ポイント

★プレス 25ページ
関連記事: プレスの基本ポイント

★デッドリフト 49ページ
関連記事: デッドリフトの基本ポイント

★ベンチプレス 33ページ
関連記事: ベンチプレスの基本ポイント

★パワークリーン 55ページ
関連記事: パワークリーンの基本ポイント

★補助種目
- パーシャルのデッドリフト/スクワット/プレス/ベンチプレス
- オリンピックスクワット、フロントスクワット
- クロースグリップ/ワイドグリップでのベンチプレス、インクラインベンチプレス
- ルーマニアンデッドリフト、スティッフレッグドデッドリフト
- グッドモーニング
- プッシュプレス
- 順手/逆手懸垂
- ディップス
- バーベルロウ(地面からバーベルをローイングする)
- バックエクステンション、グルートハムレイズ
- バーベルカール
- トライセップスエクステンション

★トレーニングプログラムの組み方
- 別の著書にトレーニングプログラムの組み方は詳しく書いてあるとのこと。ここでは簡単に例を紹介。
- 具体的には、5レップ3セット程度を推奨。週三回のトレーニング日、スクワットは毎回、プレスとベンチプレスを交互、デッドリフトとパワークリーンを交互など(下背部の疲労管理のためデッドリフトは1セットにする)。例えばSL5X5もこの系統なので、ネットで調べてみたい人はこのサイトなどを参考に。

4/17/2014

パワークリーンの基本ポイント

★予備知識
- 短い時間に大きな力を発揮する(つまりパワーを発揮する)能力を鍛える。
- デッドリフトの50-75%程度の重量でトレーニングする。
- 前腕が長いなどの理由でラックポジションが難しい場合はパワースナッチを行う。


★習得順序
1. ハングポジション
- まずはプレートを付けずにバーのみで行う。
- 足幅はデッドリフトと同じくらい。垂直跳びをする時と同じくらい。ジャンプをしてバーを肩に乗っけた(ラックした)後は、足幅が少し開いてスクワットくらいの足幅になる。
- 手幅はデッドリフトよりも両サイドで2-3インチ広めに握る。
- まずは普通の順手で握る(あとでフックグリップを習う)
- 目線はデッドリフトの時と同じく12-15フィート先の地面を見る。パワークリーンの動作中はこの地点を見続ける。
- 腕をやや回内させて、肘を伸ばして握る。腕や肩でバーを引っ張りあげないよう、肘を伸ばすのは特に意識すること。バーをぶら下げたこの状態がハングポジション。

2. ラックポジション
- とりあえず持ち上げ方は何でもいいので、バーを持ち上げて肘を前に出してバーを前部三角筋の上に乗せる。肘を高く上げ、上腕は水平近くになるようにする。前腕は上腕の真上ではなくて外側の隣にくる。これがラックポジション。
- ラックポジションでは指を引っ掛け、手でバーを支えない。バーは前部三角筋に乗せて支える。柔軟性の問題で苦しかったら、小指や薬指はバーから外れても良い。
- バーを下ろす時は、バーをなるべく胸に近い軌道で重力に任せて落とし、ハングポジションでキャッチする。リバースカールの動きで下ろすわけではない。

3. ジャンピングポジション
- 膝関節と股関節を曲げる。尻を後ろに突き出す感じで行う。バーが腿の中間あたりにくるまで曲げる。バーは腿に触れた状態、腕は垂直、肘は真っ直ぐ。これがジャンピングポジション。
- ジャンピングポジションから肘を伸ばしたままジャンプしてみる。何度かジャンプ。肘を伸ばしたまま全力でジャンプ。

4. クリーンの練習
- 肘を伸ばしたままのジャンプに十分に慣れたら、ラックポジションへの移行をやってみる。全力でジャンプし、膝関節と股関節を伸ばしきり、ジャンプの頂点に達したら、バーを軸に一気に腕を回転させ肘を前に突き出しラックポジションにする。どの過程でもバーを腕力で動かさないこと。
- ジャンプのあと、膝関節と股関節を少し曲げてバーの下に潜り込んでドン!と足を踏みつけると同時に肘を突き出すと、動作をクイックに行える。
- バーは上げるときも下げるときも、なるべく垂直で、自分の身体に近い軌道を通るようにする。決してアップライトローの動作で持ち上げない。バーを上げるのは、膝関節と股関節の伸展による力がメインである。
- 何度かこの動作を行い、動きを習得する。次に、デッドリフトのネガティブの動作と同じように、尻を後ろに突き出し、バーが脚から離れないようにしながらバーを膝のすぐ下まで下ろす。このポジションからゆっくりとバーを脚から離さないように引き上げていき、ジャンピングポジションに達したら、動作を止めず一気にジャンプしクリーンを行う。
- 膝下からの動作に慣れてきたら、バーを脛の中間あたり(プレートが付いたバーをデッドリフトする時の位置)まで下げて、また同じようにバーをゆっくりと引き上げジャンピングポジションに来たらクリーンを行う練習をする。
- バーが床から膝上までの間の動作はデッドリフトと同じ。慣れてくるにつれて加速の要素が入ってくるが、最初はゆっくりデッドリフトするイメージで。
- 次にバーにプレートを付ける。バーのみと同様の順序で練習していく。ジャンピングポジションからのクリーンを練習、膝下までバーを下げてからのクリーンを練習、そして地面にプレートを付けてそこからデッドリフトの動作で膝上まで上げてからクリーンを行う。これでパワークリーンの完成。地面に置いた時のバーベルの高さは、できれば20kgプレートを付けた時と同じ高さになるようにする。バンパープレート等便利なものがない場合は適当に工夫。

5. フックグリップ
- 動作に慣れてきたらフックグリップを覚える。持ち方は、親指の爪の上に中指を乗せて握る。通常は柔軟性の制約から、ラックポジションの時にはフックグリップを解く。

6. 動作のスピードアップ
- 最初のうちは、膝上までのデッドリフトフェーズではゆっくり正確な動作を意識する。ジャンピングポジションに達してからは一気にジャンプしてラックポジションでキャッチ。これに慣れてきたら、デッドリフトフェーズでバーの高さが上がっていくにつれて加速するようにする。

7. その他の細かいポイント
- ジャンプするときのシュラッグは反射的に起こるので意識しなくても良い。重量がかなり重くなったら意識的にシュラッグする。
- ジャンピングポジションに入る時に、伸びてた膝関節が再び少し曲がってそれからジャンプするが、脚からバーを離さないようにしていると自動的にこの動作になるので意識しなくても大丈夫。あまり意識しすぎると、動作がいったん止まってしまって、膝上までの加速がその後のジャンプに使えなくなってしまう。


★パワースナッチ
- パワークリーンよりも軽い重量で行う。
- 手幅はかなり広く握る。
- パワークリーンと同様に、腕で持ち上げず、バーはなるべく垂直に上下する。
- 動作中はずっとフックグリップ。
- ラックポジションは頭上にバーを挙上した状態。手のひらを上に突き出し、肘を伸ばしきり、僧帽筋を収縮させる。プレスのトップポジションを広い手幅で行う感じ。だがバーの上げ下げはプレス動作では行わないこと。パワークリーンと同様に膝関節と股関節の伸展でバーを挙げる。
- ジャンピングポジションでのバーの位置は、パワークリーンの時よりも高くなる。手幅が広い分、垂直方向の腕の長さが短くなるので。
- ジャンプしたら、バーの上方向への移動に伴い肘を曲げ、バーが頭上に来たら一気にラックポジションに。パワークリーンと同様に、膝関節と股関節を少し曲げバーの下に潜り込む。
- パワークリーンと同様の練習手順で動作を習得していく。
- スタートポジション(プレートが地面についた状態)は、垂直方向の腕の長さが短くなるため、上体が水平に近くなる。


参考: Starting Strength Basic Barbel Training 3rd Edition / Mark Rippetoe
(本の説明では図と写真が多く入っていてわかりやすいです。他にはスクワットデッドリフトベンチプレスプレスの解説があります。)


参考動画:
Mark Rippetoe: Coaching the Powerclean
https://www.youtube.com/watch?v=6tXcS0Xp1aE

Mark Rippetoe Teaching Power Snatch from Starting Strength
https://www.youtube.com/watch?v=O327jxFqzQM



4/10/2014

bodybuilding.comのセール

15%OFFセール実施中! これ書いている時点で残り21時間。
http://www.bodybuilding.com/

10%OFFクーポンも併用できる。とりあえず今はこれ使える。

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ちなみにクーポンはここに書き込まれる。
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関税などの注意点に関しては2chを参考に。
http://maguro.2ch.net/test/read.cgi/muscle/1373681860/l50

引用:
毎年あるかもしれない、過去の 20%off 実績
2012/11/26(月) CYBRO20 Cyber Monday
2013/04/11(木) BDAY20 bodybuilding.com の誕生日
2013/09/24(火) OLYMPIA13 オリンピア (BSN とマッスルテック)
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4/08/2014

AMPkについて

Lyle McDonaldの記事。具体的な活用方法の話ではないが、身体の中で何が起きているのかを知る手がかりになる。あと論文を読む時に理解度が高まる。

★AMPkとは何か
- AMPk(AMP-activated protein kinase)。代謝に大きく関わる。
- 細胞のエネルギー状態が低下すると活性化。基本的に、エネルギーを使うことするとAMPkが活性化される(ATP/ADPレシオが鍵)。
- 筋肉においては、グリコーゲンレベルがAMPkを調整している。高レベルのグリコーゲンはAMPkを非活性化し、低レベルのグリコーゲンはAMPkを活性化しているようだ。
- 細胞でのストレスもAMPkを活性化。代謝毒、グルコース枯渇、虚血、低酸素症、酸化ストレス、高浸透圧ストレス。ジニトロフェノール(DNP)を使わない限り、どれも健康な人には起こらない。
- AMPk活性化に最も関係があるのは、エクササイズと筋肉の収縮。ATP/ADPレシオがシフトする。
- エクササイズは、肝臓と脂肪細胞のAMPkも活性化する。
- AMPkはレプチンやアディポネクチンやグレリンによってもコントロールされる。

★AMPkは何をするのか
- ここでは肝臓、骨格筋、脂肪細胞、脳(特に視床下部)でのAMPkの役割についてフォーカスする。
- 炭水化物については、AMPkの活性化はグリコーゲン貯蔵を抑制し、グルコースの取り込みを増加させる。インスリン感受性にも関わるようだ。
- 脂質について。肝臓において、AMPkの活性化は、脂肪酸とコレステロールの合成を減らす。筋肉細胞において、AMPkの活性化は脂肪酸の酸化を増やす。脂肪細胞において、AMPkの活性化は脂肪酸の合成と脂肪分解の両方を抑制する。
- 細胞のエネルギーレベルが低いと、タンパク質合成は抑制される。AMPkの活性化はこのメカニズムに関わっているようだ。ラットモデルでは、AMPkの活性化は、mTORの調整によるタンパク質合成を抑制する。これは人間では示されてはいないが、一般的な振る舞いとしては、AMPkはタンパク質合成のようなエネルギーコストの高いプロセスを抑制し、エネルギー生産に関わるプロセスを促進する。
- 脳でのAMPkの活性化は食欲を増加させる。
- メカニズムはわからないが、レプチンは筋肉でのAMPkレベルを上昇させ、脳でのAMPkレベルを低下させる。

★まとめると
- 減量時: 細胞のエネルギーレベルが低下し、脂肪燃焼が増加し、インスリン感受性がアップし・・・つまり脂肪減少にとって良いことが起きる。しかしホルモンレベルの変化とAMPk活性化により、空腹になり、タンパク質合成が抑制される。脂肪減少と筋肉増加を同時に行うことが困難であることの大きな理由。
- 運動中はAMPkが活性化し、mTORとタンパク質合成を抑制する。運動後の栄養摂取によるエネルギーレベルの回復がタンパク質合成を促進する。また、ロイシンはmTORを活性化させ、タンパク質合成を促進するので、アミノ酸摂取も大事。(Lyle McDonaldドは、ロイシンによるmTORの活性化は、AMPkによるmTORの抑制をオーバーライドするのだろうか?という疑問を投げかけている)
- 運動前・中の栄養摂取は、AMPkの活性化を抑制するのだろうか。Lyle McDonaldが知る限り研究はされていないけど、論理的に考えればそうなるだろうとのこと。(追記: 運動前・中・後のタンパク質のみの摂取は運動によるAMPkの活性化を抑制しない Protein ingestion does not impair exercise-induced AMPK signalling when in a glycogen-depleted state: implications for train-low compete-high.
- 増量時: AMPkは非活性化し、タンパク質合成は抑制されない。しかし脂肪の酸化は抑制される。筋肉の増加に体脂肪の増加が伴う一つの理由。
- 他にも複数のメカニズムが関わるが、AMPkは脂肪減少と筋肉増加を同時に行うことが困難である理由を説明する。


参考:
AMPK: Master Metabolic Regulator
http://www.bodyrecomposition.com/fat-loss/ampk-master-metabolic-regulator.html

4/05/2014

運動後に摂取するカーボの種類によるグリコーゲン回復の違い


An Objective Comparison of Chocolate Milk and Surge Recovery
http://www.bodyrecomposition.com/muscle-gain/an-objective-comparison-of-chocolate-milk-and-surge-recovery.html

このAlan Aragonの記事を読んで、リフィードと関係する部分があったのでメモ。

記事は、運動後のリカバリードリンクとして、Surge(商品名)とチョコレートミルクのどっちがいいかという内容。T-nationのフォーラムで、Alan AragonがT-nationのバックにいるサプリメーカーの人物に科学的研究を論拠に突っ込んでいたら、最終的に書き込み禁止になったらしい。今回はゲストとしてLyle McDonaldのサイトに寄稿している。

基礎知識としてカーボ(炭水化物)の種類を書いておくと
・グルコース: ブドウ糖。
・スクロース: ショ糖。いわゆる普通の砂糖。グルコース1つとフルクトース1つで構成される。
・フルクトース: 果糖。
・スターチ: デンプン。多数のグルコースで構成される。


★運動後のカーボ摂取の研究
グリコーゲンを消耗する激しい運動をさせた後に、違う種類のカーボを摂取させて、肝グリコーゲンと筋グリコーゲンの回復度合いを調べた研究は複数あって、

Effect of different post-exercise sugar diets on the rate of muscle glycogen synthesis.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3316904
この研究は、運動後2時間おきに3回カーボ摂取で、カーボの量と種類を変えている。グルコースは体重1kgあたり0.7gの摂取で、筋グリコーゲンの回復速度が上限に達している。また体重1kgあたり0.7gのスクロースだとグルコースよりもやや筋グリコーゲン回復速度が高いという結果になっている。フルクトースは筋グリコーゲン回復速度が遅い。

Effect of different carbohydrate drinks on whole body carbohydrate storage after exhaustive exercise.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10797108
この研究は、グルコースポリマーとスクロースの比較で、同量を摂取した場合、グルコースポリマーの方がやや筋グリコーゲン回復速度が高いという結果になっている。

Effect of carbohydrate ingestion on glycogen resynthesis in human liver and skeletal muscle, measured by (13)C MRS.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10644538
この研究は肝グリコーゲンの回復も調べていて、スクロースはグルコースの2倍くらい肝グリコーゲンを回復させている。筋グリコーゲンについては大きな違いはないという結果に。

Human muscle glycogen resynthesis after exercise: insulin-dependent and -independent phases
http://jap.physiology.org/content/76/1/104.short
グリコーゲンがスッカラカンに近くなるとグリコーゲン合成速度は上がるみたいなので、倒れそうなレベルの運動をしたらカーボ摂取量を増やしても良いかも。

以上から、運動後に摂取するカーボは、グルコースでもスクロースでもどっちでも良いと思われる。肝グリコーゲンが回復していた方が運動キャパシティにやや好影響らしいので、すぐまた運動する人はどっちかというと甘いものが良いかも。運動後は遠慮なく甘いものを食べよう。ただしグリコーゲン合成速度はわりと遅いので、消化の速いものを一度に大量に摂取してもあまり意味がなさそう。ちなみに、最近よく使われる果糖ぶどう糖液糖は、フルクトースとグルコースの割合がせいぜい6:4くらいなので、スクロースと同じようなものと見なして良いと思う。


★リフィードへの応用
問題は、リフィードではカーボ1kg程度の摂取も行う場合があること。スクロースを摂取していくと肝グリコーゲンがどんどん回復していくが、肝グリコーゲンの容量は100g程度と小さいので、「肝グリコーゲンは満タンに近いけど筋グリコーゲンはまだ足りない」、という状況になると思われる。憶測だけど、この状況ではグルコースのみを入れていった方が筋グリコーゲンの回復には効率的なんじゃないかな。肝グリコーゲンが満タンに近いと、スクロースのうちのフルクトースがDNL変換(糖質→脂質)されやすくなるのでは。

De novo lipogenesis during controlled overfeeding with sucrose or glucose in lean and obese women.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11722954
これはスクロースとグルコースの過食時のDNL変換についての研究で、結果はどっちも変わらんということなんだけど、この場合は、「肝グリコーゲンも筋グリコーゲンも満タンに近い状況」なので、そりゃどんな糖質を摂取しても貯蔵場所が無いのだから脂質に変換される。

The role of dietary carbohydrates in muscle glycogen resynthesis after strenuous running.
http://ajcn.nutrition.org/content/34/9/1831.short
この研究では、二日間に渡ってシンプルなカーボ(グルコース/スクロース/フルクトース)と複雑なカーボ(デンプン)の二種類のリフィードによる筋グリコーゲン回復を比較している。カーボ摂取量は最初の24時間が648gで、次の24時間が415g。食事回数は24時間で2回。PFCは1:2:7。筋グリコーゲンの回復は、最初の24時間はほぼ同じで、次の24時間はデンプンの方がより回復した。食事回数を7回に増やした実験もしていて、7回でも2回より筋グリコーゲン回復が高まるわけではないという結果に。ディスカッションでは、インスリンレベル(スパイクかコンスタントかの違い)が影響?と推測している。





★結論
まあメカニズムはよくわからないけど、リフィード初期は甘いものでもデンプンでも良い、リフィード中盤以降はデンプン主体が良さそう。フルクトース単糖は筋グリコーゲンの回復に向いていないけど、フルクトース単糖の食品は滅多にないだろうから、甘いものという大雑把な考え方で良いと思う。食事頻度については、タンパク質や脂質も同時に摂取すれば、それほど細かく食べなくてもいいのかも。ただ、Lyle McDonaldはUD2.0で、リフィードは2-3時間おきに摂取と書いている。個人的には、色々混ざった普通の食事は消化に時間かかるから、グリコーゲン回復についても筋合成についても、トータルの摂取量が同じなら5-6時間くらい間隔空いても大丈夫では・・・ドカ食いすれば10時間くらいは大丈夫では・・・という考えです。


関連記事:
リフィード(もしくはチートデイ)の効率的なやりかた

4/01/2014

リフィード(もしくはチートデイ)の効率的なやりかた

★リフィードの効果を大きく3つにわけると・・・
1. 内分泌系・神経系の一時的な回復
アンダーカロリーが続き体重が減ってくると、内分泌系・神経系のレベルが落ち込み、代謝低下が起きる。オーバーカロリーにすることで、これらの一時的な回復を目指す。リフィードのターゲットは、レプチンレベルの回復がメインになる。他のホルモンには何が効くのかよくわからないし(甲状腺ホルモンT3にはトータルカロリーと炭水化物が効くようだが代謝への影響がよくわからない)、レプチンは代謝に関係する各ホルモンに影響を与えるのでレプチン回復を狙うのが良いだろう。研究によると、レプチン投与でかなり代謝が回復する(参考研究の3つ目の論文参照)。脂肪細胞でのグルコース代謝がレプチン分泌に影響すると思われるので、デンプン(米やパスタ)主体の食事にする。甘いものは、糖質のうち半分くらいがフルクトースのものが多いのでほどほどに。脂質の多い食べ物もほどほどに。リフィード時はカロリー十分になるので、ウェイトトレーニングをやる人のタンパク質摂取量は体重1kgあたり2gが目安。

2. オーバーカロリーとウェイトトレーニングを組み合わせることで筋肉の維持・肥大が望める
筋肥大には筋グリコーゲンレベルが重要なので、ワークアウト前から炭水化物を摂取しておく。もちろんワークアウト後もしっかり食べる。筋グリコーゲンの回復にも、代謝経路を考えるとグルコースの方がフルクトースよりも良いだろう。従ってデンプン主体が良い。グルコースを単糖で摂取するのはどうなのかという疑問もあるが、グリコーゲン合成速度に上限があるだろうから、あまり吸収が速すぎるのも良くないんじゃないかと思う(定量的な話ではなくて憶測です)。

3. メンタル面での息抜き・回復
ずっとシビアな食生活を続けるのは精神的に辛いので、たまには息抜きも必要。精神的なストレスはコルチゾールレベルにも影響する。


★ダイエットプランへのリフィードの取り入れかた
内分泌系・神経系の回復は一時的なものだと思う。せいぜい数日しか続かないだろう。1日ドカ食いすれば落ち込んだ代謝が復活して、減量ペースが速まるという期待は抱かない方がいい。リフィードでのカロリーオーバー以上に、翌日以降のカロリー消費が増えるとは思えない。そんなに簡単に人間の身体はチートできない。ライル・マクドナルドは、甲状腺ホルモンの回復には摂取カロリーを戻してから10-14日かかると言ってる。

停滞期にリフィードを行うと体重がストンと落ちるのは、身体が保水していた水分が抜けるからというのが大きい。グリコーゲンが水分を吸い出すのか、コルチゾールが関わるのか、メカニズムはよくわからないが、とりあえず体重がストンと落ちて見た目もすっきりするという現象が起きる。利尿作用のあるアルコールを併用すると起きやすい気がする。リフィードで体脂肪が劇的に減るわけではない。体脂肪減少に必要なカロリー不足量を考えると、多少消費カロリーが増えたとしてもそれほど一気に体脂肪が減るはずがない。

ウェイトトレーニングに力を入れ筋量を維持しながら低い体脂肪率を目指す人は、定期的に戦略的なリフィードを行った方が良い。デンプン主体でリフィードを行う。体脂肪率が低くなるほどリフィードの頻度を高くする。

リフィード直前に高レップのウェイトトレーニングを行い筋グリコーゲンを枯渇させておくと、摂取カロリーが筋グリコーゲン補充に優先的に使われるのでcalorie partitioningの面で有利になり、またグリコーゲン超回復も起こるのでその後のアナボリックフェーズで有利になるだろう。 ただこれをこなすには高い体力レベルが要求される。具体的なやり方は Lyle McDonald の The Ketogenic Diet The Ultimate Diet 2.0 に書かれている。

標準体重くらいになりたいな~といったカジュアルなダイエットの人は、まあそんなにリフィードしなくて良いんじゃないかな。厳しい糖質制限で過激なダイエットをする場合は、レプチンレベルの回復のために定期的にリフィードした方がいいと思う。健康的な食生活と適度な運動で標準体重を目指しますというダイエットなら、リフィードは要らないと思う。たまに息抜きで好きなものを食べるのはメンタル面に良いので、必要性を感じるなら適度に好きなものを食べる日を設けた方がいいけど、チートデイが免罪符になると思って狂ったように食べまくるタイプの人はダイエットペースを乱すだけになるので止めたほうがいいと思う。


参考研究:
Effects of short-term carbohydrate or fat overfeeding on energy expenditure and plasma leptin concentrations in healthy female subjects
http://www.nature.com/ijo/journal/v24/n11/full/0801395a.html

High-fat meals reduce 24-h circulating leptin concentrations in women.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10334310?dopt=Abstract&holding=npg

Low-dose leptin reverses skeletal muscle, autonomic, and neuroendocrine adaptations to maintenance of reduced weight.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16322796?dopt=Abstract

Responses of leptin to short-term fasting and refeeding in humans: a link with ketogenesis but not ketones themselves.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8866554?dopt=Abstract&holding=npg

Evidence that glucose metabolism regulates leptin secretion from cultured rat adipocytes.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9449624?dopt=Abstract&holding=npg


関連記事:
The Ultimate Diet 2.0 メモ

レプチンについて

チートデイについて

運動後に摂取するカーボの種類によるグリコーゲン回復の違い

炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット