12/25/2015

[WSJ]腹筋運動は時代遅れ、米軍が体力測定から除外へ

WSJの記事を引用

腹筋運動は時代遅れ、米軍が体力測定から除外へ
http://jp.wsj.com/articles/SB10421733196172483684504581436921882431938
- 米海軍専門誌「ネイビー・タイムズ」は最近掲載した論説で、海軍兵士が毎年2回パスしなければならない体力測定から腹筋運動を除外するよう要求した。論説には「時代遅れの運動は現在、腰回りを痛める主要な原因だと見なされている」と記された。また、カナダ軍は最近、けがにつながる可能性と実際の軍の仕事と の関連性が低いことを理由に、体力テストから腹筋を除外した。
- カナダのウォータールー大学で脊柱バイオメカニクスを専門とするスチュアート・マッギール教授は、腹筋運動をすれば脊柱に過重な圧力が加わる可能性がある と指摘する。同氏は腹筋で加わる力が、屈曲運動の繰り返しと相まって椎間円板(椎間板)を狭める可能性があることを発見した。この組み合わせが最終的には 椎間板の突出を引き起こす原因となり、神経を圧迫して背中の痛みにつながり、潜在的に椎間板ヘルニアを発症させる恐れがあるという。
- 米軍兵士1500人を対象に実施したある調査によると、3部門に分かれた軍の体力測定から発生したけがの56%が腹筋運動に関連していた。約3.2キロのミニマラソンに絡むけがは全体の32%、腕立て伏せが11%だった。


アメリカでは腹筋運動(シットアップ)の怪我リスクが認知されつつあるらしい。腰の健康を考えるなら、シットアップは止めたほうが良い。日本でも中高生の部活やフィットネスクラブで熱心にシットアップが行われているけど、ウサギ跳びと同じように過去の遺物になることを望みます。

スチュアート・マッギール教授の腰痛についての本は過去に記事にしているので参考まで。


関連記事
腰痛について1~基礎知識~(Low Back Disorders)

腰痛について2~予防~(Low Back Disorders)

腰痛について3~リハビリとトレーニング~(Low Back Disorders)

腰痛について4~推奨エクササイズ~(Low Back Disorders)

12/23/2015

炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエット

★対象者
基本的には、栄養素の貯蔵と引き出しの記事で書いたように、一定のタンパク質量を確保すれば、いつどう何を食べようとも、減量増量はトータルでのカロリー収支が重要になる。

しかし筋肉量が多く体脂肪量が少ない人が減量を行う場合、体脂肪は分解がボトルネックになり始め(頑固な脂肪)、貯蔵されやすくなってくる(インスリン感受性)。特に体質に恵まれておらず薬物も使わない条件下では、このような上級マッチョが体脂肪率一桁を目指して減量を行うような場合、トレーニングと栄養摂取のタイミングについてテクニックが必要になってくる。他には増量による体型変動を避け、体重をあまり変えずに体組成を筋肉増・脂肪減にしていきたい場合にも使えるテクニックである。


★炭水化物の役割
筋肉の維持・増量には、筋肉への刺激と筋グリコーゲンレベルが高いことが必要である。筋肉への刺激とは強度の高いウェイトトレーニングであり、強度の高いウェイトトレーニングを行うには筋グリコーゲンが必要である。つまり筋肉の維持・増量には炭水化物の摂取は必須ということになる。また炭水化物の摂取は、代謝を司るホルモンであるレプチンのレベルに影響するので、炭水化物をある程度摂取してレプチンレベルをなるべく下げないようにした方が、ダイエットの効率的に、そしておそらく健康面でも良い影響があるだろう。


★カロリーの振り分け
理想を言えば、摂取した炭水化物は筋肉の維持・増加と筋グリコーゲンの補充に回され、筋グリコーゲンはウェイトトレーニングの実施エネルギーに使用され、日常生活のエネルギー消費は体脂肪の分解燃焼で賄われるのが良い。しかし飢餓に抵抗する人体はそれと逆のことをやろうとしてくる。

このカロリーの振り分け(calorie partitioning)を有利にするためのテクニックとして、炭水化物の摂取タイミングとウェイトトレーニングを組み合わせたダイエットプロトコルがいくつかある。UD2.0、リーンゲインズ、カーボバックローディングなど。UD2.0以外は詳しくは知らないけど、たぶん同じような根拠をもとに組み立てられている。(間違ってたらご指摘いただけると有難いです)

留意点としては、いずれもエビデンスベースで組み立てられているけど、特定の条件下での短期間(acute)の反応を調べた研究をつぎはぎして短期の結果が長期に外挿できると仮定したものであって、これらのパッケージ化されたダイエットプロトコルで何ヶ月間もの実験を行って結果を出したわけではないこと。個人差もあるだろうし、苦労に見合う効果があるかはわからない。コンテストを目指すなどの目標があり、大抵の苦労を受け入れられる人は試す価値はあると思う。私自身はボディメイクは生活の質を向上させるためであり、その苦労が生活の質を低下させるようなら本末転倒なので面倒なのはあまりやる気はない。

それでエビデンスの構成要素はだいたい以下のような感じになる
・ウェイトトレーニング後に筋合成が高まる。タンパク質を摂取するとさらに高まる。
・運動後の炭水化物摂取で筋グリコーゲンが回復しやすい(筋グリコーゲン補充に炭水化物が回されやすい)。
・筋グリコーゲンレベルが低いと筋グリコーゲンが回復しやすい。
・筋グリコーゲンレベルが筋肉の合成・分解に影響する。
・肝グリコーゲンレベルが全身の脂肪と筋肉の合成・分解に影響する。
・インスリンレベルが低いと脂肪分解が促進される。
・インスリンレベルが高いと脂肪分解が抑制される。
・インスリンレベルが低い状態で運動すると運動中に体脂肪が分解燃焼されやすい。


★増量と減量のサイクル
上記の構成要素をもとに1日~数日間で増量フェーズと減量フェーズをサイクルさせる。

増量と減量では肝グリコーゲンと筋グリコーゲンのコントロールを行う。大雑把にそれぞれの役割を書くと、

・増量
肝グリコーゲン多い→全身がアナボリック(筋合成+体脂肪合成)に傾く
筋グリコーゲン多い→局所(その部分の骨格筋)がアナボリック(筋合成)に傾く

・減量
肝グリコーゲン少ない→全身がカタボリック(筋分解+体脂肪分解)に傾く
筋グリコーゲン少ない→局所がカタボリック(筋分解+脂肪をエネルギー利用)に傾く

一般的なパターンは、減量フェーズでは肝グリコーゲンを少なくし、炭水化物カットでインスリンレベルを上げない時間を長くする。この時に軽度の有酸素運動、もしくは高レップウェイトトレーニング・HIIT・タバタプロトコルなど、消費カロリーが大きくアドレナリンと成長ホルモンが大量分泌される運動を行いそのあと有酸素運動をすることで脂肪減を促進する。増量フェーズでは低中レップのウェイトトレーニング後にタンパク質と炭水化物を摂取することで、筋合成と筋グリコーゲンの回復を狙う。

※ウェイトトレーニングのレップ数による区分け
高レップ:15レップ以上
中レップ:10レップ前後
低レップ:5レップ前後


★時間効率
グリコーゲンレベルが低すぎなければ、グリコーゲンを入れている時間はアナボリックにも使える。一方、減量フェーズへの切り替えでグリコーゲンを抜いている間はあまり減量が進まずこの時間は無駄になる。肝グリコーゲンは普通に生活してると半日~1日で枯渇、筋グリコーゲンは数日間はもつ。従ってサイクルの期間を短くすればするほど、切り替えの際の無駄な時間が占める割合が高くなり効率が低下する。

UD2.0はこのグリコーゲンを抜く時間を短縮するため高レップトレーニングで一気に肝グリコーゲンと筋グリコーゲンを減らし、それから数日間の減量フェーズに入る。入れるときはウェイトトレーニングを行ってから一気にカーボローディングする。そうしたほうがカロリーの振り分けで有利だし短時間で筋グリコーゲンが回復するしグリコーゲン超回復も起こる。ただしきつい。増量・減量フェーズの切り替えを短縮し時間効率を高めようとすると、どうしても体力面と精神面できつくなる。


★トレーニング前の栄養補給
▽ トレーニング前に栄養補給なしのプロトコルは、以下を狙ってると思われる。
- インスリンレベルを下げた状態でトレーニングを行い、運動中の脂肪分解燃焼を促進。
- トレーニング後のタンパク質と炭水化物摂取で筋合成と筋グリコーゲン回復。



図ではタンパク質+脂質の食事も減量フェーズに含まれているが、厳密に言えばタンパク質のみでもインスリンが分泌されるので減量は一時的に止まる。

▽ 効率を考えるなら筋合成狙いのトレーニングと脂肪分解燃焼狙いのトレーニングを分け、増量・減量フェーズを数日間のサイクルで切り替えていくのが良いだろう。
- 筋合成狙いのトレーニングではトレーニング前に栄養補給しアナボリックの準備をしておき、筋トレ後に速やかにアナボリックモードに入れるようにする。トレーニングは低中レップ。
- 脂肪分解燃焼狙いのトレーニングではトレーニング前栄養補給無し、トレーニングは高レップやHIIT等と有酸素運動。



▽ あまりきついのは嫌だという場合は、空腹時の軽い有酸素と、低中レップトレ前後の栄養補給。私はだいたいこんな感じでやっている。図の食事内容はタンパク質と脂質のみ、タンパク質と炭水化物のみになっているが、ここまで厳格にやらなくても良い。食材の選択肢が極度に狭まって大変。




★摂取する炭水化物の種類
グリコーゲン充填速度
- グリコーゲンレベルが低いほどグリコーゲン充填速度が高い
消化吸収速度
- よく使われるGI値は単品を決まった量だけ食べた時の反応。通常の食事は食べ物の組み合せも食べる量も様々。

それぞれコンディションによって変わるし、何が律速になるかわからんです。消化吸収速度を律速にしたくない場合は、科学実験みたいにホエイとマルトデキストリンでも摂取すれば良いと思うけど、微量栄養素が欠落してるので健康にはあまり良くない。ダイエット時は摂取カロリーの制約が厳しいので、微量栄養素が欠落している食べものに多くのカロリー枠を取られたくないと個人的には思います。これは自分で試してみて、自分の体質とトレーニング内容では何をどれだけ食べれば、トレーニングと減量がうまく進むのか把握していくのが良いでしょう。

この記事の最後に言及した研究を見ると、甘いものを摂り過ぎなければ炭水化物の種類にはそんなにこだわらなくても良いのではないかと思う。ちなみにネットでの筋肉増へのインスリンの効果は通常の食事で十分なので、この面で高GI炭水化物を選ぶ理由はないだろう。


11/28/2015

食事回数と量の配分


身体のメカニズムを理解し、フレキシブルに食事を組み立てられるようになると、ストレスを軽減できて良いです。


★食事頻度
1日1食や1日20食といった極端なことをやらない限りは、体組成への影響に違いはない。従って、その人の生活スタイルや一日の総摂取量に合わせて、食事頻度と一回あたりの食事量を決めると良い。

小柄な女性など身体の小さい人の場合、一日の総カロリーが少ないため、食事回数を増やすと一回あたりの食事量が極端に少なくなる。一回あたりがあまりに少ないと食事構成を考えるのも大変だし、食事による満足感を得にくくなる。食事回数は1日3回程度が良いだろう。お腹が空いて気分が不安定になる場合は軽食を入れると良い。




運動量の多いアスリートの場合、食事回数が少ないと一回の食事量が多すぎて食べるのが困難になり、トレーニングにも支障が出る。例えば1日5000~10000kcalを3食だと1食あたりの食事量が膨大になる。従って軽食を交えつつ量を確保できるようにする。




★各食事のカロリー配分

[維持カロリー]
摂取カロリー=消費カロリーの場合。

・各食事が等しいカロリー
一般的な生活スタイルだとこんな感じだろう。図中の赤がタンパク質、黄色が脂質、灰色が炭水化物。肝グリコーゲン残量と血中アミノ酸濃度のイメージ図も付記してある。後述するが、ダイエットの際になるべく筋肉を残し体脂肪を減らすには、肝グリコーゲン残量と血中アミノ酸濃度を意識することが重要になる。




[アンダーカロリー]
維持カロリーから20%程度カロリーカットしてダイエットする場合。

・夕食を少なくするパターン
「寝る前に食べると太る」という迷信から、このやり方をやってる人も多いと思う。この食事パターンだと、食事間隔の空く夕食から朝食の間に肝グリコーゲン残量が尽き、アミノ酸供給も途絶える。そうすると筋分解で得たアミノ酸をグルコースに転換する活動が活発になり、これにより筋肉の分解が合成を上回りやすくなり、筋肉の量が減っていく。




・夕食を多くするパターン
図では夕食を少なくするパターンよりもタンパク質摂取量を多くしてあるのであんまりフェアな比較ではないんだけど、夕食にタンパク質と炭水化物をしっかり摂取することで、筋分解を抑制することが出来る。



・夕食を多くすることの長所
- ダイエット中でもお腹が満たされた状態で眠りにつける。空腹だと寝にくいし、睡眠不足になるとコルチゾールレベルが上がり、ダイエットにも健康にも良くない。
- ダイエット中でも家族や友人と同じ食事を食べることが出来、社会性の維持が可能。
- 高齢者の場合、骨格筋がアナボリック抵抗性を持つようになるので、各食事均等に食べるよりも一食にタンパク質摂取を集中させたほうが筋肉の維持につながる。



[ウェイトトレーニングをする場合]

トレーニングの前後にしっかり栄養が供給されるようにするのが基本。夜にトレーニングする場合は、夕食を多く食べる。



リーンゲインズのようなIntermittent Fastingは、夜にトレーニングをする生活スタイルと相性が良い。私はやったことないけど朝か昼にトレーニングをやって夜にFastingの時間がくると辛いと思う。



ダイエット+ウェイトトレーニングの場合は、全体的にタンパク質摂取量を増やして、炭水化物と脂質を減らす。ウェイトトレーニング後は筋グリコーゲンが回復しやすいのでこのタイミングで多めに食べると良い。筋グリコーゲンは激しい運動をしなければ数日はもつので、シビアに減量する場合は、ウェイトトレーニング後に炭水化物摂取で筋グリコーゲン回復させて、他の食事では炭水化物と脂質をカットし、次のウェイトトレーニングで前回補充した筋グリコーゲンを使ってトレーニングする。



★留意点
摂食障害の経歴がある人は、食事量を変動させるのは避けたほうが良い。各食事が等しいカロリーにするのが無難。


参考サイト:
Meal Frequency and Meal Patterning Part 1 – Book Excerpt

10/06/2015

[Lifehack]洋式便器で円滑にウンコが出る姿勢

洋式便器に腰掛けた姿勢では、恥骨直腸筋が直腸を締め上げウンコが出にくくなっている。ウンコが出にくいと便秘になりやすく、便秘による大腸がんなどもリスクになる。またいきんで出そうとすることで肛門にストレスがかかり痔の原因になる。骨盤底障害にも影響があるらしい。


しゃがんだ姿勢では恥骨直腸筋が緩み、直腸がまっすぐになりウンコが出やすい。


洋式便器でウンコをする際は、台に足を乗せると胴体と脚部の角度がしゃがんだ時と近くなり、スムーズにウンコが出るようになる。女性は尿切れも良くなるとのこと。




ネタ元のサイトはSquatty Pottyという商品(足を乗せる台)の宣伝になっててちょっとアレですが、自宅にあった適当な木箱を使ってこの姿勢での排便を数日間試してみたところ、円滑にウンコが出て感動しました。Squatty PottyはAmazon.co.jpでも売ってますね。別にこの商品じゃなくても適度な高さでしっかりした台なら何でも良いです。

※追記
子供用の踏み台(IKEAアイリスオーヤマ)が安価でちょうど良い高さなので、新たに台を購入する場合はこういったものが良いかも。Amazonのは送料込みの値段なので店頭なら数百円で買えると思います。


参考サイト:
You've Been Pooping Wrong Your Entire Life.. And You Don't Even Know About It!
http://www.wittyfeed.com/story/8376/Youve-Been-Pooping-Wrong-Your-Entire-Life-And-You-Dont-Even-Know-About-It

Squatty Potty / Get Educated
http://www.squattypotty.com/5-problems-with-sitting-on-your-toilet/

9/29/2015

[ボディメイク記録] 減量結果

前回の記録 6月3日
今回の記録 9月28日


★現状記録
筋グリコーゲンレベルは低め。直前のトレ履歴は、前々日に下半身、当日に上半身。


★身体計測
身長:180cm
体重:70.3kg(-6.8kg)
バスト:96cm(-5.0cm)
ウェスト:74cm(-8.0cm)
ヒップ:89cm(-5.0cm)
右上腕:29.5cm(-1.5cm)
左上腕:28.5cm(-1.5cm)
手首径:16cm
右大腿:54cm(-4.0cm)
左大腿:53cm(-4.0cm)
右カーフ:35.0cm(-1.0cm)
左カーフ:34.5cm(-1.0cm)
足首径:19cm


★主な種目のトレーニング重量
懸垂ワイド順手・・・5kg加重×7reps
ベンチプレス・・・75kg×4reps
デッドリフト・・・120kg×3reps
スクワット(スミスマシン)・・・80kg×6reps


★トレーニング種目明細
セット数: メイン5セットくらい。

メイン種目
- スクワット(週2回)
- デッドリフト(週2回)
- ベンチプレス(週2回)

補助種目
- インクラインベンチプレス(スミスマシン)
- インクラインベンチにうつ伏せになってラテラルレイズ
- インクラインベンチにうつ伏せになって上背部を使ってのダンベルローイング
- 懸垂(ワイド順手・ナローパラレル)
- ローイングマシン
- レッグカール
- カーフレイズ
- プレス
- ダンベルショルダープレス
- サイドレイズ
- 腹筋マシン
- カールアップ
- アームカール


★減量プロセス
基本的に上半身を週2回、下半身を週2回。上半身は胸、肩、腕、懸垂。下半身はデッドリフトとスクワットとレッグカールをこの順番で行った。

有酸素運動は、ウェイトトレーニング後に20分くらいエアロバイク漕ぐのと休みの日に早足で30分歩く程度。

カロリー摂取の振り分け目安は以下の通り。あくまで目安なので厳密には出来ていない。
- 食事回数は一日3回。トレーニング日はトレーニング直前にホエイとスクロース。
- トレーニング日はトレーニング前後の食事で炭水化物摂取。
- トレーニングしない日はなるべく炭水化物カット。
- 体重は1週間に0.5kg減のペース。

1週間のサイクルはこんな感じ。
1日目:下半身トレ/500kcal程度マイナス
2日目:上半身トレ/500kcal程度マイナス
3日目:休み/500kcal程度マイナス
4日目:休み/500kcal程度マイナス
5日目:下半身トレ/500kcal程度マイナス
6日目:上半身トレ/500kcal程度マイナス
7日目:休み/500kcal程度マイナス


★食事内容
- タンパク質の摂取量は2-3g/体重1kg/日。動物性食品とプロテインパウダーのみ摂取量にカウント。植物性タンパク質はアミノ酸組成と人体への吸収率が低いのでカウントしていない。
- 脂質の摂取量はあまり把握していないけど、炭水化物カットの日は卵や魚や乳製品など高たんぱく質食品に付随する脂質を普通に摂取、トレーニング日は脂質を減らしなるべく炭水化物でカロリーを摂るようにした。
- 健康のため、野菜、果物、豆も摂取。炭水化物カットは米やパスタを食べない程度でシビアにはやらず、野菜や豆類はなるべく食べるようにした。


★雑感
- 8月に旅行に合わせて2週間ほど維持期を入れた。
- トレーニング重量はあまり落ちなかった。自分には各部位週2回が合ってるらしい。
- 筋グリコーゲン残量のコントロールが結構うまくいった。カーボ減らしても高レップトレーニングを行わなければわりと筋グリコーゲン残量を維持できるようだ。
- ウェスト75cmあたりからなかなか落ちなくなってきた。効率を考えるとこの辺まで落としたら維持・増量期に移行した方が良さそう。
- 腕と肩前部の左右差がかなりあるなあ。なるべく差が縮まるようにしたい。肩後部はほとんど差がないのでやれば出来るはず。腹直筋の左右差は生まれつきっぽいので諦める。


★怪我
- 特に無し。順調だった。有酸素もやり過ぎないようにして膝関節を痛めないよう気をつけた。


★今後の予定
- 1週間程度の休息後、カロリー維持で高レップフェーズをやってから、中レップ低レップで増量。

9/26/2015

プロテインパウダーの選択


プロテインパウダー 消化吸収 価格 BCAA含有率 その他
ホエイ   速い 普通 高い カルシウム摂取できる
カゼイン カゼイネート やや遅い やや高い やや高い カルシウム摂取できる
  ミセラーカゼイン 遅い 高い やや高い  
ソイ   速い 安い 普通 イソフラボン過剰摂取に注意


プロテインパウダーは、いわゆる「プロテイン」のこと。乳製品や大豆のタンパク質を粉末にしたもの。

★プロテインパウダーの特徴
・プロテインパウダーの長所
- ものによっては通常の食品よりもタンパク質1gあたりの価格が安い。
- 脂質と炭水化物が少ないのでカロリーコントロールしやすい。
- 保存期間が長い。
- 栄養摂取量の管理が容易。
- 運動前・運動中に摂取しても高い強度の運動が可能(カゼインはキツイかも)。
- 運動直後の食欲が無い状態でも摂取しやすい。
- 食欲や消化能力の問題で運動量に見合うだけの食事を取るのが困難な場合に栄養摂取補助に使える。

・プロテインパウダーの短所
- 精製度の高い食品に共通の問題だが、微量栄養素が少ない。そのため食事の大半を占めるようにはしないほうが良い。

・プロテインパウダーの消化吸収速度
消化吸収が速いとエネルギーとして使われやすくなる(酸化される)ので、筋肉の餌という観点では無駄が増える。絶食を続けてから運動をした場合、例えば寝起きに何も食べずにトレーニングした後などはたぶん消化吸収が速い方が良いが、わざわざそんなことをせず運動前に摂取しておけば良いし、通常の食事は消化吸収に5時間くらいはかかるので、普通に生活していれば体内の栄養供給がすっからかんの状態でトレーニングすることにはならない。従って、消化吸収が速いプロテインパウダーはトレーニング直前やトレーニング中に摂取しても胃にもたれにくく高強度の運動ができるという点以外にはあまりメリットは無い。ペプチドとかは無駄に高価で無駄に酸化されるだけ。

・BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)
タンパク質は消化吸収過程でアミノ酸に分解され小腸と肝臓を経由してから血液に放出され、それから筋肉にたどり着く。小腸ではアミノ酸は一時的に蓄えられたり身体内で使われるタンパク質やホルモンの材料になったりする。肝臓では酸化されたり分解されて他の物質の材料になったりする。そのため食べたタンパク質のアミノ酸組成がそのまま血液中に放出されて、筋肉にたどり着くわけではない。BCAAは肝臓で代謝されにくくそのまま血液中に放出されやすい。またロイシンは筋合成のシグナルに関わってたりする。従って筋合成の観点ではBCAA含有率は大事で、プロテインパウダーのコストパフォーマンス(タンパク質1gあたりの価格)を考える場合は、BCAA含有率も加味した方が良いだろう。ちなみに肉や魚などのタンパク質のBCAA含有率は15-20%程度。


★ホエイ
BCAA含有率23-25%程度。消化吸収が速い。糖質や繊維質や脂質と一緒に摂取すると消化吸収が遅くなるので、維持期・増量期に通常の食事と同時に摂取する場合は消化吸収の速さは気にしなくて良い。ホエイ単体だとかなり速いので減量期に単体で使う場合は注意。BCAA含有率と価格と手に入れやすさと飲みやすさを考えると、維持期・増量期はホエイでタンパク質摂取量を底上げするのが便利。

ホエイとカゼインのプロテインパウダーはそれなりにカルシウムが含まれているのも良い。カルシウムが不足するとおそらく太りやすくなる。


★カゼイン
BCAA含有率20%程度。カゼインのプロテインパウダーには、ミセラーカゼインとカゼイネートがある。原材料にカゼインカルシウムやカゼインナトリウムと書かれているものがカゼイネート。カゼイネートは精製度が高く、消化吸収速度がミセラーカゼインより速い。ホエイよりは遅いが、BCAA含有率はホエイより低く、消化吸収速度はミセラーカゼインより速く、尖ったところが無いので使いにくい。価格はミセラーカゼインより安価。

ミセラーカゼインは減量時や、LeangainsのようなIntermittent Fastingで食事間隔を空ける時に使うと良い。日本メーカーのカゼインプロテインパウダーはほとんどがカゼイネート。ミセラーカゼインは海外製のを利用するのが良いと思う。私はオプティマムのナチュラルシリーズのカゼインを使ってます。

維持期・増量期でカロリーの摂取枠に余裕があるならスキムミルクも良い。ミルクタンパク質はホエイが20%で、カゼインが80%。精製度が低いので微量栄養素はプロテインパウダーより優れているし、価格もミセラーカゼインより安価だろう


★ソイ(大豆)
BCAA含有率17%程度。消化吸収が速い。男性は植物エストロゲン(イソフラボン)の摂り過ぎによるテストステロンレベル低下リスクが警告されるが、議論は決着してない模様。経験則では昔のボディビルダーはソイプロテインを大量に摂取していたがネガティブな効果は報告はされていない。

ソイは価格面以外では特にメリットが無いので、ベジタリアンや乳製品アレルギーでソイ以外に選択肢が無い人以外は、ソイにこだわる必要は無いだろう。目安としてはプロテインパウダー以外の豆製品も含めて大豆タンパク質は1日50g程度を上限に。食べ物全般に言えることだが、特定の食べ物を偏って大量摂取はせず、色んな食材を満遍なく食べることで、リスク分散および微量栄養素の相乗効果を狙うのが良い。

※追記:ソイプロテインパウダーの摂取で筋肉のダメージが軽減される可能性がある。
Soy Beverage Consumption by Young Men
http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1300/J133v03n01_03?journalCode=ijds19

Four Weeks of Supplementation With Isolated Soy Protein Attenuates Exercise-Induced Muscle Damage and Enhances Muscle Recovery in Well Trained Athletes: A Randomized Trial.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5098124/




[参考書籍]
The Protein Book / Lyle McDonald


関連記事:
タンパク質摂取量の目安

ゴールデンタイムはあるのか? 

カゼイネートとミセラーカゼインの消化吸収速度

カルシウム・乳製品が体組成変化に与える影響 

低炭水化物食とタンパク質源の健康への影響

9/18/2015

ダイエットに効果のあるサプリメント

Lyle McDonald の記事から。近日リリース予定の女性のためのフィットネス本の内容が抜粋されている。女性向けの内容だけど男性にも有効。

Fat Loss Supplements
http://www.bodyrecomposition.com/fat-loss/fat-loss-supplements-2.html/


★はじめに
ダイエットに効果のあるサプリメントには、消費カロリーを増やすもの、食欲を抑制するもの、頑固な脂肪の分解を促進するものがある。ヨヒンビン以外は消費カロリーを増やすもので、ものによっては食欲も抑制する。消費カロリーの増加は良くて5-10%程度。副作用は心拍数が増え血圧が上がるものが多い。

ダイエットにはこれらのサプリメントが必須というわけではない。正しい食事と運動がダイエットの基本。これらのサプリメントは、低い体脂肪率でコンテスト等に向けて減量している人が、なかなか体重が落ちなくなってきた時の切り札として使うのが良いだろう。

詳しい服用方法についてはリンク先の記事や、Lyle McDonald の以前の書籍に書かれている。自分で調べられるレベルの人のみが使用した方が良いと思うので、意図的に私の記事には詳しく書いていない。

現時点では、この記事に書かれているサプリメントのみがダイエットに効果があると考えて良い。ガルシニアやカルニチンはダイエットには無意味。市販されていない薬物にはもっと効果のあるものもあるだろうけど私は詳しくは知りません。。


★カフェイン
- 1日600mgの摂取で100kcal程度消費カロリーを増やす。
- 女性の黄体期ではカフェインへの感受性が鈍り体内の滞在時間が長くなる。
- 睡眠への影響を避けるため就寝が近い時間帯に摂取しない。
- ストレスに対するコルチゾールの反応を高めるので、過剰摂取しないほうが良い。

★唐辛子
- 消費カロリー増加と脂肪の分解・燃焼にわずかな効果がある。
- 効果の持続時間は長くても数時間。

★緑茶(有効成分EGCG)&カフェイン
- EGCGとは没食子酸エピガロカテキンのこと。
- 消費カロリーを5%程度増やす。
- 緑茶で効果のある量を摂取するのは難しいので、サプリメントの利用が良い。
- 推奨服用方法は、130-160mgのEGCGと100mgのカフェインを一日三回摂取。

★ニコチン&カフェイン
- 消費カロリーを5%程度増やす。
- 食欲の抑制に効果大。
- 効果の持続時間は2時間程度。
- 推奨服用方法は、1mgのニコチンと100mgのカフェイン。

★エフェドリン&カフェイン(ECスタック)
- 1990年代に流行。過剰摂取と他の薬物との併用による死亡例あり。
- 消費カロリーを5-10%程度増やす。
- 食欲抑制し脂肪燃焼を増やしエクササイズのパフォーマンスを向上させる。
- 心拍数と血圧が上がる。慣れるとこの副作用は消える。
- 他の薬物とは逆に、使用を続けていると効果が増していく。
- 推奨服用方法は、20mgのエフェドリンと200mgのカフェインを一日三回摂取。使ったこと無い人は半分の量からスタート。

★ヨヒンビン
- 頑固な脂肪の分解を促進する。体脂肪率が低い人向け。
- わずかなインスリンの分泌でヨヒンビンの効果が消されるので、空腹時に使用し同時に有酸素運動を行い分解された脂肪を燃焼する。
- 運動中の心拍数が上がる。
- 保水効果があるので体脂肪が減ってないように見えるが、水が抜ければ減ってるのがわかる。摂取量を減らすと水が排出される。
- 推奨服用方法は、0.2mg/体重kgのヨヒンビンと100-200mgのカフェイン。
- 男女とも性器への血流が増す。男性は勃起に注意。
- 多量の摂取は不安発作のトリガーになるので、その性質のある人は使用禁止。

9/12/2015

インスリンにまつわる迷信と事実

インスリンの話。ネタ元へのリンクは記事の最後に。


★基礎知識
インスリンは血液中の糖(グルコース)のレベルをコントロールするホルモン。食事を行い血液中のグルコースレベルが上昇すると膵臓がそれを感知しインスリンを放出する。インスリンは肝臓や筋細胞や脂肪細胞がグルコースを取り込むのを促進する。血糖レベルが下がるとインスリンレベルも下がる。このサイクルは一日を通して起こっている。

インスリンは筋肉がタンパク質を新たに合成するのを刺激したり、脂肪分解を抑制し脂肪合成を刺激するといった働きもある。この脂肪合成・分解に関わる働きが、インスリンの悪い評判をもたらし、炭水化物が悪者扱いされるようになっている要因である。この炭水化物悪者説のロジックを簡潔に書くと、

高炭水化物の食事をする→インスリンがドバドバ分泌→脂肪合成が盛んになり脂肪分解が抑制される→肥満になる

逆に、

低炭水化物の食事をする→インスリンがあまり出ない→脂肪合成が抑制され脂肪分解が盛んになる→体脂肪が減る

しかしこの2つのロジックは多くの迷信に基づいている。


★多くの迷信と事実

迷信1:高炭水化物の食事は、慢性的な高いインスリンレベルをもたらす。
事実:健康な人においてはインスリンレベルは食後のみ上昇する。

健康な人においてはインスリンレベルは食後のみ上昇し、その時間帯は脂肪合成が脂肪分解を上回り、差し引きで体脂肪が増える。消化吸収を終えた後、次の食事までの時間帯は、脂肪分解が脂肪合成を上回り差し引きで体脂肪が減る。トータルの摂取カロリーと消費カロリーが同じなら、24時間での体脂肪の増減は差し引きゼロになる。


迷信2:炭水化物がインスリンレベルを上昇させ、それが脂肪を貯蔵させる。
事実:身体はインスリンレベルが低くくても脂肪を合成し貯蔵することが出来る。

例えば、hormone-sensitive lipase (HSL)という酵素は脂肪分解を促進し、インスリンはHSLの活動を抑制するが、脂質もHSLの活動を抑制する。従ってカロリー収支がプラスになれば、炭水化物を摂取しなくても体脂肪は増加する。
(そもそも脂質だけ摂取した場合でも迅速に貯蔵場所に送り込まれるシステムを用意しておかないと、消化吸収された脂質は長時間血中に残り続け健康に害をなすことになる。人体がそんな欠陥システムだったらとっくに進化の過程で滅びてる)。


迷信3:インスリンによって空腹になる。
事実:インスリンは食欲を抑制する。


迷信4:炭水化物のみがインスリンレベルを上昇させる。
事実:タンパク質もインスリンの分泌を促進する。

低タンパク質・高炭水化物と高タンパク質・低炭水化物の等カロリーの食事をそれぞれ摂取した場合、高タンパク質・低炭水化物の方がインスリンレベルが上昇した。

他の研究で高タンパク質・低炭水化物の食事を摂取した場合、インスリンレベルは大きく上昇し、それは血糖レベルの変動とは無関係だった。様々な食材を等カロリー摂取した場合のインスリンレベルの上昇を調べた研究では、炭水化物が含まれていない牛肉や魚を摂取した場合も、インスリンレベルは上昇している。

アミノ酸はグルコースへの変換なしに、ダイレクトに膵臓からのインスリン分泌を促進する。つまりタンパク質摂取によるインスリンレベルの上昇は、糖新生によるものではない。

タンパク質の摂取はグルカゴンの分泌を促進し、グルカゴンが脂肪分解を増やすという説があるが、グルカゴンが人体において脂肪分解を増やすというのは否定されている。タンパク質を摂取するとグルカゴンレベルが上昇するのは、タンパク質摂取でインスリンレベルが上昇しそれにより血糖値が下がり過ぎるのを防ぐため。グルカゴンは肝臓がグルコースを生成するのを促進する。


迷信5:インスリンレベルの急上昇は悪である。
事実:インスリンレベルの急上昇は、ノーマルで重要な生理学的機能に資する。

インスリンが分泌される段階は主に二つある。第一段階では、膵臓が血糖の上昇を感知し、蓄えていたインスリンを1-2分以内に放出、10分以内に終わる。この機能は耐糖能異常の人において損なわれていて、2型糖尿病の人においては完全に機能停止している。第二段階では蓄えの放出と新たな生成を、血糖レベルが上昇している間続ける。

もしインスリンが分泌されないとどうなるか、後ほど糖尿病患者のケースで述べる。


迷信6:インスリン注射をする糖尿病患者は体重が増える、つまりインスリンは健康な人にとっても体重増加の原因になる。
事実:健康な人においては、アミリンがインスリンと同時に分泌される。アミリンは食欲を抑制し脂肪分解を促進する効果を持つ。

アミリンは膵臓からインスリンと同時に分泌されるホルモンで、食欲を抑制し脂肪分解を促進する。1型糖尿病患者はアミリンを生成できず、2型糖尿病患者は機能が損なわれている。Pramlintideという薬はアミリンの機能を模倣するが、この薬は糖尿病患者において体重減少を生じさせることが知られている。

従って、糖尿病患者のインスリン注射は、健康な人の体内でのインスリンレベルの変化による効果とは比べられない。


迷信7:インスリンレベルを下げることは食欲コントロールを改善させる。
事実:インスリンは満腹感にとって重要な多くのホルモンのうちの一つである。


迷信8:ここまで書かれた情報は健康な人に適用される。
事実:肥満や糖尿病の人にも適用される。

血糖コントロールとインスリンコントロールを混同してはいけない。血糖コントロール自体が、以下の食生活が健康に良いことの部分的な理由である、低GI炭水化物を摂取したり炭水化物の摂取量を減らすこと、タンパク質摂取を増やすこと、食物繊維を摂取すること、果物や野菜を摂取すること、加工食品よりもホールフードを摂取すること。

インスリン感受性の改善と血糖値の急変動を避けることによって、インスリンレベルは結果としてコントロールされる。


★乳製品とインスリン

よくある俗説:炭水化物はインスリンレベルを上昇させるので脂肪を蓄積させる

これまで説明してきたように、タンパク質もインスリンレベルを上昇させるし、長期的な体重増減はカロリー収支の問題である。

乳製品は血糖レベルをさほど上げないが、インスリンレベルを大きく上昇させる。実験では、精白パンと同等かそれ以上のインスリン反応を示した。

なぜ乳製品がインスリンレベルを大きく上げるのか。
・BCAAレベルの上昇とインスリン反応が相関。ロイシンは膵臓からのインスリン分泌を直接刺激。乳製品のタンパク質はBCAAの含有率が高い。
・乳製品は、glucose-dependent insulinotropic polypeptide (GIP)の生成を増加させる、GIPはインクレチンでインスリン分泌を促進する。血中に送り込まれる前の消化吸収段階でもインスリン分泌が刺激される。

研究では乳製品の摂取と体重増加の相関は示されていない。コントロール実験でも同様。むしろ乳製品を摂取した方が太りにくいという結果も出ている。もちろん高脂質の乳製品を大量に食べればカロリーオーバーするので太る。


★インスリンが欠如するとどうなるか

「インスリンが無いと高血糖になるのは、グルコースが細胞に取り込まれないため」というのは間違い。

グルコースは輸送体(transporter)によって細胞内に入る。筋細胞と脂肪細胞における第一の輸送体はGLUT-4で、インスリンはGLUT-4が細胞の中から細胞の表面に移動するのを刺激する。細胞の表面でグルコースはGLUT-4輸送体と結合し、細胞内に入る。しかしグルコースの輸送体はGLUT-4以外にも多くある。インスリンなしでも細胞のエネルギー需要を満たすグルコースを十分に取り込める輸送体が細胞内に存在する。

マウス実験で、筋細胞と脂肪細胞のインスリン受容体をノックアウトし、脳や肝臓のインスリン受容体は正常なままにしたら、マウスは糖尿病にはならず正常な血糖レベルを保った。

1型糖尿病の人にインスリン投与を行わないと、血糖値は急上昇する。しかしこれはグルコースが細胞内に取り込まれないためではない。血糖レベルには、血中に放出されるグルコース量と、血中から取り除かれるグルコース量の両方が影響する。絶食時(fasted:食べ物の消化吸収を行っていない状態)のインスリン無し糖尿病患者の体内では、グルコースは肝臓から血中に放出される。肝臓はアミノ酸等からグルコースを生成(糖新生)するか、肝グリコーゲンからグルコースを生成するかしてこれを行う。インスリンはこの肝臓のグルコース生成を抑制する働きをするが、インスリンが欠如していると、身体の状態関係なく肝臓はひたすらグルコースを生成し続けることになる。

またインスリンは肝臓でのケトン生成を抑制する働きもするので、インスリンが欠如していると肝臓は脂肪酸からひたすらケトンを生成し続ける。糖尿病性ケトアシドーシスである。インスリンが欠如していると筋肉と脂肪の分解も抑制されないので、肝臓にアミノ酸と脂肪酸がどんどん供給され、肝臓はグルコースとケトンをどんどん生成し血中に放出する。これが高血糖とケトアシドーシスが同時に起こるメカニズムである。

このようにインスリンは交通整理を行う警官や信号機に似た役割を果たす。交通警官や信号機によって交通の流れが制御されないと交通事故が起きるように、人体でインスリンが欠如するとグルコース生成とケトン生成のサイクルが暴走し死に至る。

2型糖尿病の人の場合、肝臓のインスリン抵抗性と細胞のインスリン抵抗性により、肝臓でのグルコース過剰生成と細胞でのグルコース取り込み不足が起こり高血糖になる。食後の高血糖は過剰生成と取り込み不足の両方が原因で、前者の影響の方が大きい模様。絶食時の高血糖は過剰生成の影響が支配的。


参考記事:
Insulin…an Undeserved Bad Reputation
http://weightology.net/weightologyweekly/index.php/free-content/free-content/volume-1-issue-7-insulin-and-thinking-better/insulin-an-undeserved-bad-reputation/

Insulin: An Undeserved Bad Reputation, Part 2
http://weightology.net/weightologyweekly/index.php/free-content/free-content/volume-1-issue-10-insulin-physical-activity-and-weight-regain/insulin-an-undeserved-bad-reputation-part-2/

Insulin: An Undeserved Bad Reputation, Part 3…MOOOOO!!!!
http://weightology.net/weightologyweekly/index.php/free-content/free-content/volume-1-issue-12-insulin-dairy-products-and-eat-slow-to-eat-less/insulin-an-undeserved-bad-reputation-part-3-mooooo/

Insulin: An Undeserved Bad Reputation, Part 4: The Biggest Insulin Myth of Them All
http://weightology.net/weightologyweekly/index.php/free-content/free-content/volume-1-issue-13-insulins-biggest-myth-and-ad-hominems/insulin-an-undeserved-bad-reputation-part-4-the-biggest-insulin-myth-of-them-all/

Insulin: An Undeserved Bad Reputation, Part 5: Addressing the Critics
http://weightology.net/weightologyweekly/index.php/free-content/free-content/volume-1-issue-18-insulin-an-undeserved-bad-reputation-addressing-the-critics/insulin-an-undeserved-bad-reputation-part-5-addressing-the-critics/

Insulin, an Undeserved Bad Reputation: The Biggest Insulin Myth, Continued…
http://weightology.net/weightologyweekly/index.php/free-content/free-content/volume-1-issue-19-insulin-an-undeserved-bad-reputation-the-final-chapter/insulin-an-undeserved-bad-reputation-the-biggest-insulin-myth-continued/


関連:
カルシウム・乳製品が体組成変化に与える影響

栄養素の貯蔵と引き出し

8/30/2015

ダイエット方法の評価軸

1. 継続性
ダイエットで最も重要なことは、消費カロリーが摂取カロリーを上回る状態を続けることである。不足した分のカロリーが、主に体脂肪と骨格筋を分解・燃焼することで賄われ、体重が減っていく。

特定の栄養素を食事から抜く、特定の食品群のみ食べるといったダイエットはカロリー収支をマイナスにしやすく、実行もしやすいので継続性に優れている。ただ、効率性や健康面で問題があるケースもあるし、特定の栄養素を抜いたから痩せるという間違った因果関係で理解すると、いずれは訪れる停滞期で行き詰まる。個人的には、ゆるくやるならこれらのダイエット方法は有用だと思うけど、イモ類や果物の摂取も禁止する厳格な糖質制限や原理主義的なマクロビオティックやパレオダイエットなどは、特定の疾患を持つ人以外が行うのは病的だと思う。下手すると摂食障害にもなるのであまり良い印象を持っていない。食事のおおまかな方針としては役に立つ方法も多いが、そうすると結局は、「加工度・精製度の低い食品(ホールフード)を中心にバランス良く食べ、カロリーオーバーしない食生活が健康によい」というごく当たり前の食事方針に収束する。

空腹感の抑制についての研究は、個人差と主観が入ってくるため興味が持てずあまり読んだことはないけど、一般的にはタンパク質の摂取量を増やすと空腹感が抑えられやすい傾向があるようだ。個人的には、カゼインを含むものを食べる、低カロリーで旨味成分のあるものを食べるといった方法が空腹感を抑えるのに効果を感じている。カゼインは卵やチーズ、脂質をカットしたい場合はカッテージチーズやカゼインプロテインパウダー(ミセラーカゼインがお薦め)。旨味成分のある食品は出汁の効いたスープや、パルミジャーノ等の熟成チーズを少量。


2. 効率性
そのダイエット方法が依拠する理論は生理学的に正しいのか、無駄な努力をせず効率的に結果を出せるか。例えば、糖質制限&ハードな筋トレで短期間で結果を出すことを謳うパーソナルトレーニング系のやり方は、グリコーゲン不足で無駄に苦しく筋肉も維持しにくいので、あまり効率的とは言えない。トレーニング歴のない体脂肪率の高い人なら筋肉減少は起こりにくく、ろくに食べずにハードなトレーニングを行えばカロリー収支のマイナスが大きくなるので体重は短期間で減るとは思うけど、その間はかなり辛いだろうし長期的な体重コントロールの方法を身につけるのも難しいだろう。そしてパワー系アスリートにこんなやり方をさせるのはマズイ(よく春先になるとプロ野球選手がこういった方法でダイエットしたというニュースが出てくる)。


3. 健康面
サラダのみ食べていてもジャンクフードのみ食べていても、カロリー収支がマイナスなら体重は減っていく。でもこういったダイエット方法は健康には良くないだろう。

健康によいダイエット方法の基本は以下の通り。
タンパク質の摂取量を増やし、炭水化物と脂質の摂取をほどほどにする。
・加工度・精製度の低い食品を中心に、多品目をバランス良く食べる。
・ジャンクフードやお菓子やアルコールはほどほどに。カロリーコントロール出来るなら何を食べても良いが、これらの食品は微量栄養素が乏しいので食事の大半を占めるような食べ方はNG。大雑把な目安としては、摂取カロリーの1~2割まではこれらの食品を食べても問題ないと思う(私はお菓子もビールも好きです)。
・たいていのものは適度に食べれば問題は無く、食べ過ぎれば当然身体には毒となる。All or Nothing で考えない方が良い。
・筋肉量の維持のためにウェイトトレーニングを行う。健康面への効用もある(詳細は失念)。
・標準以上の体脂肪率の人にとっては有酸素運動は消費カロリーを増やす効果のみで優先的に体脂肪を減らす効果は無いが、ウェイトトレーニングとは異なる健康面への効用(たしか循環器系への効用)があるので、疲れを溜めない程度にやると良い。

8/19/2015

栄養素の貯蔵と引き出し


★マクロ栄養素
多量に消費される栄養素。ビタミン・ミネラルなどはミクロ栄養素。
・炭水化物
・脂質
・タンパク質
・(アルコール)


★主なエネルギーの貯蔵場所
・炭水化物:肝臓と骨格筋にグリコーゲンとして貯蔵される。個人差があるが肝臓に50g程度、骨格筋に350-450g程度。カーボローディングを行えばもっと貯蔵できるが、最大限貯蔵しても一日の必要エネルギーに満たない程度。
・脂質:体脂肪。ほぼ無制限にエネルギー貯蔵でき、数ヶ月分の必要エネルギーを蓄えることも可能。
・タンパク質:筋肉や臓器。10-15kgくらい。身体機能の構成要素でもありエネルギー貯蔵場所でもある。分解してエネルギーを取り出すことはできるが、通常はエネルギーの貯蔵・引き出し場所としては用いられない。
・アルコール:身体には貯蔵できない。


★摂取栄養素が活動エネルギーに使われる優先順序
身体の貯蔵容量に対しての摂取量が大きいほど、優先的にエネルギーとして使われる。

貯蔵余地があまりない栄養素が入ってきたら、それは優先的に使われる。炭水化物は摂取量に対して貯蔵容量が小さいので優先的に燃焼されエネルギー利用される。タンパク質はその次。脂質はエネルギー利用の優先順序が低い。

タンパク質、炭水化物、脂質を含む通常の食事たくさん食べると、炭水化物、タンパク質が優先的にエネルギー利用され、あまったエネルギー分の脂質が体脂肪として貯蔵される。

炭水化物やタンパク質からも脂質を合成して体脂肪として蓄えることは出来るが、変換によりエネルギーの一部が失われる。飢餓との戦いで進化してきた人間の身体は、エネルギーを無駄遣いするようなことは避けるので、通常は炭水化物から脂質はあまり合成されない。グリコーゲン貯蔵を高水準にし、さらに炭水化物を大量摂取すれば脂質合成が活発に行われるようになる。アルコールは貯蔵できないので、最優先で代謝される。



★カロリー収支の原則

(カロリー収支) = (摂取カロリー) - (消費カロリー)

カロリー収支がプラスなら、余ったカロリーが身体に貯蔵される。

細かいことを言うと、食べたものの一部は消化吸収されずにウンコとして排泄されるし、糖尿病のように消化吸収された栄養素が利用されずに尿から排泄されるケースもあるが、簡便のため摂取カロリーを身体が利用するエネルギーとする。

お金の収入と支出のバランスと同じで、収入が支出を上回れば、余った分が貯蓄として増えていく。お金はいつ収入があっても、分割または一括して収入があっても、紙幣や小銭などどのような形であっても、トータルの収支バランスの結果が貯蓄の増減を決める。カロリー収支も同様で、食べる時間帯や一日の食事回数がどうであっても、エネルギーの形が脂質でも炭水化物でも、トータルのカロリー収支のバランスの結果が体重の増減を決める。

筋肉を例えるなら・・・自動車などの耐久財かな。生活を便利にするものだが、維持コストがかかる。貯蓄(体脂肪)が少なくなってくると、換金され支出に回される。

従って、夜食べると太るとか、食事回数を増やすと太りにくいだとか、食べる順ダイエットとか、GI値とか、MCT(※1)とかは体重増減の観点からはナンセンス。トータル収支がプラスなら余ったエネルギーが貯蔵され体重は増えるし、マイナスなら蓄えたエネルギーが引き出され体重が減る。ウェイトトレーニング無しの減量では、体脂肪と筋肉の両方が減少する。

※1:中鎖脂肪酸。通常の脂質よりも優先的に代謝される。厳密には、MCTは他の脂質よりも食事誘発性熱産生が大きいので、身体が利用できるエネルギーが同質量の他の脂質よりも少なくなり太りにくいとは言える。

ダイエットの時の食事は、タンパク質多めで、残りのカロリーを炭水化物と脂質からそれぞれほどほど摂取するのが良い。炭水化物が少なすぎるとレプチンレベルが低下し消費エネルギーの減少をもたらす。また、筋グリコーゲンレベルが低いと強度の高いウェイトトレーニングが行えず、筋グリコーゲンレベルが低いままだと筋肉が分解されやすくなり、筋肉の維持が困難になる。脂質(飽和脂肪酸)の摂取量が少なすぎるとテストステロンレベルが低下する。従って、炭水化物が少なすぎても脂質が少なすぎても、なるべく体脂肪を減らし筋肉を維持するという観点では非効率なダイエットになる。

食事回数は1日3回なら特に気にしなくて良い。1日1回だと絶食時に筋肉の分解→糖新生によるエネルギー供給が起きやすくなり、その分体脂肪が減少しにくくなる。1日2回の食事は、消化に時間のかかるタンパク質を意識して摂取し身体へのアミノ酸供給が維持されるようにすればOKだけど、考えるのが面倒な場合は1日3回食べましょう。

いわゆる飢餓モードは3-4日間絶食すればなるが、1食抜いたくらいではならない。食事量を少なくした後に一気に食べると、減っていたグリコーゲンと水分が回復し体重が大幅に増える。でもこれは体脂肪が何kgも増えたわけではない。体脂肪の増減と、グリコーゲン+水分の増減を区別することが重要。


★体脂肪の分解
通常の体脂肪率の人の身体においては、体脂肪の分解はボトルネックにならない。体脂肪の分解と貯蔵は日々行われている。時間当たりの消費エネルギーを考えれば、食後はエネルギー収支プラスで脂肪貯蔵と炭水化物貯蔵と筋肉合成(タンパク質貯蔵)が行われ、食間にはエネルギー収支マイナスになり貯蔵からの引き出し(分解・燃焼)が行われる。

体脂肪率が10%台前半(※2)になってくると、定期預金のように分解されにくい頑固な脂肪の問題が出てくる。これに対処するにはテクニックが必要になる。

※2:男性の場合。女性は+7%程度して考える

貯蓄がわずかしかないのにフェラーリや自家用ジェットを所有するような人は常識的な価値観からすると気違いじみているが、わずかな体脂肪で大量の筋肉を保有しようとするのはこれと似た行為であり、飢餓を避けようとする身体から見れば気違いじみている。そのためどうにかしてそれを避けようと、体脂肪率が低くなればなるほど、支出(エネルギー消費)を減らし、貯蓄(体脂肪)を守り増やし、筋肉を優先的にエネルギー源にしようとする。これに抵抗するには、ウェイトトレーニングで筋肉に負荷を与えこの組織をなるべく残すよう身体に指示する、分解されにくい頑固な脂肪を分解するような食事とトレーニングを行う、トレーニング(もしくは薬物)により摂取カロリーが脂肪ではなく筋肉になるべく回されるようにする、といった方法で減量を行う必要がある。

運動歴の無い体脂肪率の高い人は、貯蓄が豊富にあり車を持ってない人に例えられる。このような人は、トレーニングにより体脂肪減と筋肉増を同時に行うことができる。



関連記事:
ダイエットの原則

The Sutubborn Fat Solution メモ (頑固な脂肪について)

7/31/2015

体脂肪率の測定


人間の体脂肪の正確な測定は、死体にならないと無理である(食品の栄養成分分析みたいなことをやれば測定できるでしょう)。体組成計などで出される体脂肪の数字は大雑把な推測であり、数値の扱いには注意が必要である。


【体脂肪の推測方法】
★2分割モデル(two compartment model)
体組成を、体脂肪とそれ以外(除脂肪部分)の2つに分けて推測値を出す。除脂肪部分には内蔵や筋肉や骨や水分が含まれる。水中体重秤量法、空気置換法、生体電気インピーダンス法、皮下脂肪厚法などがこれに該当する。

★4分割モデル(four compartment model)
2分割モデルは誤差が大きくなりやすく、出来るだけ正確な体組成を知るための基準となる方法が必要である。その基準となる方法が4分割モデルである。4分割モデルでは、体組成を、ミネラル、水分、体脂肪、タンパク質の4つに分けて推測値を出す。具体的な方法は、水中体重秤量法もしくは空気置換法で身体密度を測定し、重水希釈法(Deuterium dilution)で身体水分量を測定し、二重エネルギーX線吸収法(DEXA)で骨のミネラル量を測定する。これらの測定値を方程式に入れて、ミネラル、水分、体脂肪、タンパク質の推測値を算出する。以下、体組成の各推測方法の正確さは4分割モデルとの比較により判定する。


【誤差の種類】
ここのでの誤差を、4分割モデルとの差と定義する。誤差には、集団の平均の誤差と、個人個人の誤差がある。平均を比較すると4分割モデルとの差が小さくても、個人個人のデータを見ると差が大きく開いていることがありうる(多くの推測方法はこのパターンになる)。時間が経過し体組成が変わった時にその変化をどれだけ正確に測れるかという観点での誤差もある。


【体組成の推測方法】
★水中体重秤量法
水中体重秤量法は、水中に全身を沈め、水中での体重と置換された水量から身体密度を算出し、それにより体脂肪量を推測する方法である。

・問題点
- 肺に残った空気、皮膚や髪の毛などに付着した泡、消化管内の空気などが浮力に影響する。
- 除脂肪部分の密度から体脂肪量の推測値を算出するのだが、除脂肪部分の密度は人種によって異なる。また除脂肪部分の密度は、ダイエットなどで体重が変動すると変化することがあり、その時々の保水状態によっても変わりうる。

・誤差
水中体重秤量法は集団の平均では誤差が非常に小さい。人種による身体密度の違いを考慮した研究では多くは0.1%-1.2%程度、体脂肪量を過小算出するという結果が出ている。しかし個人個人の誤差はかなり大きくなる。高い場合は5-6%の誤差が出る。また時間経過による体脂肪量変化を求めようとした場合も、多くの人々ではそれなりに誤差が小さいが、一部の人々では10%程度の大きな誤差が出ている。残念なことに、水中体重秤量法は2分割モデルの中では最も誤差が小さい方法である。


★空気置換法(Bod Pod)
水中体重秤量法と同様の原理に基づく。研究によっては集団の平均の誤差と個人個人の誤差については水中体重秤量法と同程度の結果が出ているが、別の研究では水中体重秤量法より大きな誤差が出ている。時間経過による体脂肪量変化についてはかなり悪い結果が出ている。体組成評価に使うことお薦め出来ない。(力士の身体測定で使われているようです)。




★生体電気インピーダンス法
微弱な電流を身体に流す。除脂肪部分は水分を多く含んでいて電流を流しやすく、体脂肪は水分が少なく電流を流しにくい。得られた電気抵抗値から、除脂肪量と体脂肪量を推測する。

・問題点
- 電流は最も抵抗の小さいところを流れる。
- 除脂肪部分は保水状態の変動がある。
- 電流が流れるのは身体の一部分だけである。例えば両足のみ電極に接触するタイプの場合、片方の足から股間を通ってもう片方の足に電流が流れるだけで、胴体から上は無視される。
- 誤差の出る他の方法で出された体組成の推測値を元に推測値を出している。従って誤差が増幅される。通常メーカーは、多くの人を集めて、それらの人々を水中体重秤量法を用いて体組成の推測値を出し、体組成計の出す電気抵抗値と個人の変数(身長や体重や性別や年齢)から、水中体重秤量法の体組成推測値に相関する結果が出るように方程式を調整する。
(※タニタのサイトを見るとDEXAの推測値に相関するようにしているようです。DEXAも4分割法に比べると誤差があるので問題点は残ったまま。実際にタニタのサイトのグラフを見ると、体脂肪量のDEXAから個人個人のばらつきはかなり大きい。そしてDEXAも4分割法からの誤差がある)

・誤差
- ボディビルダーを被験者とした研究では、体脂肪率の4分割法との誤差(2σ)が8%という結果が出ている。
- 長期にわたっての体脂肪量変化についても結果は良くない。体脂肪量の減少を過小に出す傾向がある。ある研究では、体脂肪量の変化の推測について、生体電気インピーダンス法はBMIと同程度の正確さしかないという結果が出ている。

・結論
生体電気インピーダンス法を体組成の推測に使うのはお薦め出来ない。使うなら少なくとも3ヶ月、できれば半年の間を空けて数値を出す。出てきた数値は非常に大雑把な推測値でしかないというのをよく覚えておく。推測値に振り回されないように。(マルチ周波数で全身を測るタイプのは比較的良いかもとコメント欄に書き込みあり)。




★皮下脂肪厚法
キャリパーという計測器を用いて複数箇所の皮下脂肪の厚みを測り、その数値から身体密度をの推測値を出し、それを元に体脂肪率の推測値を算出する。

・問題点
- 皮下脂肪を一定の基準でつまむのに技術が必要。
- 身体密度の推測値を出す方程式は、それを開発するのに用いられた集団と同様の人種や年齢幅の人にのみ有効。
- 方程式を作るにあたっては水中体重秤量法を基準としているので、生体電気インピーダンス法と同様に、水中体重秤量法の誤差に皮下脂肪厚法の誤差が加わり、誤差が大きくなる。

・誤差
体脂肪率の誤差は、時間経過の集団の平均についてはかなり良いが、個人の誤差についてはかなり悪い。皮下脂肪厚法を用いる場合は、単純に皮下脂肪の厚さのみを測り、体脂肪率の推測値は算出しないことをお薦めする。皮下脂肪の厚さが減れば、体脂肪は減っている。



★二重エネルギーX線吸収法(DEXA)
骨密度の測定によく使われる。体脂肪、骨(ミネラル)、それ以外の部分の3つに分割して測定する。2分割モデルと異なり、人種間の骨密度の違いによる影響を受けない。身体の各部位ごとに体組成の推測値を出すことが出来る。

・問題点
- ハードやソフトによって出てくる数値が異なる。
- 扇ビームは視差による誤差が起こりうる。
- 除脂肪部分の保水状態に影響を受ける。

・誤差
- 集団の平均についてはかなり良いが、他の方法と同様に個人個人の誤差は大きくなる。
- 時間経過による体重変化についても個人個人の誤差はそれなりに大きい。

・結論
水中体重秤量法と同程度の誤差で、研究によってはそれよりも悪い。体組成の変化を追跡するのにDEXAを使うのはお薦めしないが、もし使う場合は最低でも3-6ヶ月の間隔を空けて使う。



★まとめ
体脂肪率の推測値を求める方法はどれも大きな誤差が伴う。しかしそれらの方法は無意味なのではなく、使い方に気をつけ、出てくる数字には大きな誤差があることを意識しておくことが重要である。
・体脂肪率として出てくる数字は大雑把な推測値であることを覚えておくこと。数字を鵜呑みにしない。
・時間経過による体組成の変化の推測値についても同様。
・最も優れた方法でも時間経過による体脂肪率の変化については4-5%程度の誤差がある。誤差以上に体脂肪率が変化する期間、最低でも3-6ヶ月程度は間隔を空けて測定すると良い。
・除脂肪部分イコール筋肉ではない。
・体脂肪率の推測値を無理に出そうとする必要はない。体重と身体各部位の周径(ウエスト等)の計測は、体脂肪が減っているのかどうかの良い目安になる。
・時間経過による体脂肪の変化を追跡したい場合は、水中体重秤量法か皮下脂肪厚法をお薦めする。極度の肥満の人の場合はこれらの方法には向いていないので体重と周径の計測を行う。
・皮下脂肪厚法を用いて体脂肪の変化を追跡する場合は、体脂肪率の推測値を計算する必要はない。各部位の皮下脂肪厚を足しあわせ、それが減っていれば体脂肪は減っている。
・どのような方法を用いるにせよ、測る時のコンディションを同一にする。同じ技術者が、同じ機器を用いて、日の同じタイミング(食事や保水状態や運動)に行う。



【参考サイト】
The Pitfalls of Body Fat “Measurement”: Part 1
http://weightology.net/weightologyweekly/?page_id=146

The Pitfalls of Body Fat “Measurement”: Part 2
http://weightology.net/weightologyweekly/?page_id=162

The Pitfalls of Body Fat “Measurement”, Part 3: Bod Pod
http://weightology.net/weightologyweekly/?page_id=175

The Pitfalls of Bodyfat “Measurement”, Part 4: Bioelectrical Impedance (BIA)
http://weightology.net/weightologyweekly/?page_id=218

The Pitfalls of Body Fat “Measurement”, Part 5: Skinfolds
http://weightology.net/weightologyweekly/?page_id=250

The Pitfalls of Body Fat “Measurement”, Part 6: Dual-Energy X-Ray Absorptiometry (DEXA)
http://weightology.net/weightologyweekly/?page_id=260

The Pitfalls of Body Fat “Measurement”, The Final Chapter
http://weightology.net/weightologyweekly/?page_id=283



★私のコメント
コメント欄の日付を見ると2010年頃の記事と思われ、その後の技術発展で各測定方法の正確さが向上している可能性もあります。メーカーのサイトを見る場合は、集団の平均の誤差と、個人個人の誤差を分けて考える、どの方法と比較して正確さを謳っているか、どの方法で得られる体組成の値に相関するように作っているか、といった点に気をつけると良いと思います。

私が体脂肪量の変化を追跡する場合は、体重、ウエスト、見た目の変化をチェックします。筋肉量がどうなっているかはウェイトトレーニングの重量の変化をチェックします。体組成計は使いません。誤差が大きいものだとわかっていても、残念な数字が出るとモチベーションが低下してしまうので。

男性は太った痩せたがウエストに如実に表れるので、ウエストを測定すると良いと思います。女性の場合はよくわからないのですが・・・皮下脂肪の付き方に個人差があるので、太腿、ヒップ、ウエスト、二の腕あたりを測っておくと良いと思います。単純に、以前はきつかったパンツがゆるくなったとかでも良いと思います。

多くの人が日常的に利用できる体組成計は生体電気インピーダンス法です。この方式の機器は大抵は体重を減らせば、低い体脂率が出るようになっています。低い体脂肪率の数字を出したかったら、まともに食事運動をせず体脂肪と除脂肪体重を減らすのが手っ取り早いです。不健康な痩せ方を助長しているように私には思えるので、正直これらの機器のメーカーに対しては良い印象を持っていません。プロスポーツの世界でも、不正確な機器で算出された体脂肪率の値を絶対視する傾向があるように思えます。

アスリートなら、競技パフォーマンスと階級制競技の場合は体重を気にすれば良いでしょう。ボディメイクやボディビルやフィジーク競技を行うなら、見た目を気にすれば良いです。体組成計が出す体脂肪率に振り回されないことが大事です。

6/23/2015

腰痛について4~推奨エクササイズ~(Low Back Disorders)

★基本概念
脊椎への負荷をなるべく減らしながら、脊椎を支える筋肉を総合的に鍛える。脊椎はS字カーブを保ったニュートラルの姿勢の時にもっとも負荷に耐えることができ、怪我のリスクが低くなる。また腰の健康は体幹の筋肉の持久力に関連する。従って、脊椎のニュートラル姿勢を維持しながらのアイソメトリックトレーニングが中心になる。

★腰の健康のためにやってはいけないエクササイズ種目
腰の健康のためにはシットアップは厳禁。レッグレイズも腰への負荷が高いのでNG。ローマンチェア等を使ってのバックエクステンション、床にうつ伏せになってスーパーマンポーズ、いずれも腰への負荷が大きいので腰を痛めている人には厳禁。競技パフォーマンス上どうしてもこれらのエクササイズが必要なアスリー トは、痛めないよう注意しながら行う。


★著者の推奨エクササイズ種目

カールアップ(腹直筋に主に負荷がかかる)
- 胸椎を軽く曲げて腹直筋中心に負荷をかける。腰椎と頚椎はなるべくニュートラルの姿勢を保つ。
- 仰向けに寝て手は腰の下にいれて腰椎がニュートラル姿勢を保つように支える。
- 片足のみ膝を90度に曲げる。こうすると腰が曲がりにくくなる。
- 首に不快感を感じる場合は、口蓋(前歯の後ろあたり)に舌を押し付けると首の筋肉が安定する。
- 肘は床に置いたまま、胸椎を曲げて肩と首を床から浮かす。浮かし過ぎるのも良くない。

[負荷の上げ方]
- 肘を床から数cm浮かす。
- 指先を額に軽く乗せながら行う。手を首の後ろに回すと引っ張って首が曲がりやすいのでこうする。アスリート向け。

サイドブリッジ(腰方形筋、腹斜筋、腹横筋に主に負荷がかかる)
- 脊椎のニュートラル姿勢を維持、腹回りの力を抜かず体幹を安定させ続けること。
- 初心者は両膝を90度に曲げて床につける。
- 大腿部、腰、胴体は真っ直ぐにして、片方の腕の肘を曲げ肘・前腕・手を床につけて上体を支える。
- もう片方の腕は床側の肩を抑えて安定させる。肩を抑えずに胴体の脇に腕を置いておくと負荷が上がる。

[負荷の上げ方]
- 膝を伸ばし、膝から下で脚を交差させ両足を床につける。膝は床から浮く。脚・腰・胴体が真っ直ぐ。
- サイドブリッジ→プランク→逆側のサイドブリッジ、を連続的に行う


バードドッグ(脊柱起立筋群に主に負荷がかかる)
- 脊椎のニュートラル姿勢を維持、腹回りの力を抜かず体幹を安定させ続けること。
- 両手両膝を床につけて四つん這いになる。
- 初心者は片脚、もしくは片腕を床から浮かす。高く上げすぎて、胴体がねじれないように注意。

[負荷の上げ方]
片腕と片脚を同時に上げる。右腕左脚、左腕右足の組み合わせ。水平以上に上がらないよう注意する。


★初心者向けトレーニングプログラム。
- 腰のウォームアップにキャットキャメルエクササイズを行う(猫とラクダのポーズを交互に行う)。可動範囲限界までやらないこと。軽く曲げ伸ばしを5,6回。立ちっぱなしや座りっぱなしなど同じ姿勢を続け腰が疲れている時にやるのも効果的。腰が軽くなる。
- ゆっくりとランジ。上体は起こしたまま。上体が前に曲がると腰への負荷が高くなる。
- カールアップ、サイドブリッジ、バードドッグを行う。最大8秒程度のアイソメトリック。8秒過ぎたら一旦緩めて筋肉に酸素供給してから、再びアイソメトリック。一回のアイソメトリック持続時間を伸ばすのではなく、回数を増やすことで持久力を高める。
- いずれのエクササイズも呼吸は自然に行う。呼吸をしながら脊椎の姿勢を維持できるよう訓練する。


★アスリート向け応用
エクササイズバイクを強めの強度で漕いで心拍数を上げてから、上記のエクササイズを行う。息が苦しい状況で体幹を維持する訓練になる。


★詳しいエクササイズ方法を知りたい場合
今回の参考書籍には、具体的なエクササイズについてはあまり詳しく書かれていない。エクササイズにフォーカスした続編が出ているので、興味のある方はどうぞ。これもまた価格が高いので、Low Back Disordersで満足した私は続編は読まなそうです・・・。


参考書籍:
Low Back Disorders / Stuart McGill
http://www.amazon.com/Low-Back-Disorders-Second-Edition/dp/0736066926

関連記事:
腰痛について1~基礎知識~(Low Back Disorders)

腰痛について2~予防~(Low Back Disorders)

腰痛について3~リハビリとトレーニング~(Low Back Disorders)

6/16/2015

腰痛について3~リハビリとトレーニング~(Low Back Disorders)


★リハビリのプロセス
1. どの動作が腰を痛める要因になっているか洗い出す。
2. 自分の脊椎がどういう姿勢になっているのか、どこの筋肉がどう収縮しているのか意識する。ものを持ち上げたりかがんだりするときは、脊椎をニュートラルの姿勢にし、腹周りの筋肉を軽く収縮させ、腰を曲げるのではなく股関節と膝関節を動かす。
3. 体幹を安定させる筋肉の動作を学び、筋肉の持久力を高めるエクササイズを行う。
4. その人の行うあらゆる活動において体幹を安定させることのできる筋肉の動作を身につける。


★他の関節との違い
脊椎は膝や肩とは異なり、これらの関節のリハビリに有効な手法は使えない。負荷をかけながら可動範囲内で動かすのは四肢の関節のリハビリには有効だが、脊椎には逆効果になる。また腰痛の症状は様々なので、全てのケースを同じアプローチ方法で扱うことは出来ない。


★リハビリの留意点
- リハビリエクササイズは毎日やった方が良い。
- 腰に痛みがある場合はエクササイズは止める。
- 有酸素運動と組み合わせるのも良い。特に早歩き。


★体幹の筋肉
体幹の筋肉の強さ(strength)はアスリートには必要だが、一般人の腰の健康のためには体幹の筋肉の持久力(endurance)が重要。それと体幹の筋肉の前後左右の持久力のバランス。腹筋群と脊柱起立筋群の強さのバランスも重要。また姿勢や負荷のかかり方によって体幹の筋肉の動員のされ方は連続的に変化する。従って体幹の全ての筋肉が重要であり、それらが協調して動員されることで脊椎が正しい姿勢を保ち障害を防止する。特定の筋肉をトレーニングする方法はワークしないだろう。


★呼吸
日常動作や多くのスポーツでは、バルサルバ法のように呼吸を意識的に止めて体幹を固めることはあまりない。従ってエクササイズでは、自然に呼吸をしながら体幹の筋肉を協調動作させ体幹を固めることが出来るよう訓練する。


★健康のためのトレーニングとパフォーマンスのためのトレーニング
筋骨格系の観点からはアスリートは健康とは言い難い。パフォーマンス向上のためには過大な負荷をかけ続ける必要があり、身体組織にダメージが蓄積されていき、怪我のリスクが上がっていく。不幸なことに、多くの一般人の患者がアスリートのパフォーマンス向上のためのトレーニングプログラムを見てそれを真似してしまう。健康のためのトレーニングは、パフォーマンス向上のためのトレーニングとは極めて異なる。健康のためのトレーニングは、脊椎への負荷をなるべく小さくしながら、筋肉の持久力と協調動作を高め、日常生活や仕事で行うタスクにおいて脊椎の安定性を維持することに重点が置かれる。


★柔軟性
腰を痛めた人には、腰のストレッチは良くない。前屈や、仰向けに寝て膝を抱え込んで丸まって腰を伸ばすようなストレッチはやらないほうが良いだろう。脊椎の柔軟性が必要なアスリートは行う。


参考書籍:
Low Back Disorders / Stuart McGill
http://www.amazon.com/Low-Back-Disorders-Second-Edition/dp/0736066926

関連記事:
腰痛について1~基礎知識~(Low Back Disorders)

腰痛について2~予防~(Low Back Disorders)

腰痛について4~推奨エクササイズ~(Low Back Disorders) 

6/14/2015

腰痛について2~予防~(Low Back Disorders)

.

腰痛を予防するには、普段の生活で以下の点に気をつける。


★物を持ち上げる時
脊椎が直立時と同じ姿勢になるようにする。腰を曲げて地面から物を持ち上げるのではなく、脊椎が自然なS字を維持するように体幹を固定し、股関節と膝関節を使って物を持ち上げる。脊椎はこのニュートラルな姿勢の時に最も負荷に耐えられる。物の形状や大きさによってフォームは少しずつ違ってくるが、基本的にはスクワットかデッドリフトの動きになる。尻の筋肉に負荷がかかるのを感じると良い。腰を曲げて腕や上背部で引っ張り上げるのは良くない。それとなるべく身体に物を近づけながら持ち上げると、反作用モーメントが小さくなって良い。軽い物なら片足を後ろに上げてバランスをとりながら片手で持ち上げるのも良い。


★長時間腰を曲げた後
長時間座った後や中腰の姿勢を続けた後、立ち上がってすぐに重い物を持ち上げると腰を痛めやすい。少なくとも数分間は立った状態に腰を慣らしてから、物を持ち上げる。仕事の都合上、そのような時間的な猶予がない場合は、座っている時になるべく腰が丸まらないようにしておく。


★腹圧(腹腔内圧)について。
バルサルバ法で腹圧を高めると、体幹は固まるが脊椎の圧縮方向への負荷が増える。物を持ち上げたりといった日常動作では軽く腹筋周りに力を入れる程度で良く、通常は自然に体幹の筋肉が動員されるので意識的に体幹の筋肉に力を入れて腹圧を高める必要はない。この自然な体幹の筋肉の動員が上手く出来ない人は、ふとした日常動作で腰を痛めやすい。後ほど紹介されるエクササイズで体幹の筋肉が上手く動員されるよう訓練する。ウェイトリフティング等で高重量のものを持ち上げる場合は、バルサルバ法で腹圧を高めて体幹を固める必要がある。


★座り方
同じ姿勢で長時間座ることは、特定の身体組織に負荷がかかり続け腰痛リスクを高める。一般的に良い姿勢とされる背筋をピンと伸ばして座るのもずっと続けるのは腰に良くない。たったひとつの冴えた座り方は無く、理想的な座り方は、こまめに姿勢を変えて同じ組織に負荷がかかり続けないようにすることである。背筋を伸ばしたり、椅子の上であぐらをかいたり、足を組んだり、足を机の上に投げ出したり、リクライニングしたり・・・状況が許す範囲で姿勢をこまめに変えるのが良い。また数十分おきに立ち上がり、伸びをしたり軽く身体を動かしたり歩いたりすると良い。伸びの仕方は、立ち上がり両手をゆっくりと天井に向けて伸ばし(元気玉を作る姿勢)、息を深く吸い込む。


★寝起き
寝てる間に椎間板が水分を引き込んで膨らみ脊椎がキツキツになる(それで寝起きは背が少し伸びている)。日中は重力による圧縮方向の力が加わって水が抜ける。朝起きてすぐは腰を曲げる運動はしない方が良い。少なくとも起床後1-2時間は腰に負担がかからないようにする。寝過ぎ(8時間以上の睡眠)も椎間板がさらにパンパンになり脊椎に負荷がかかる。


★胴体を捻ることについて
無理のない可動範囲内で捻るだけなら問題は無い。捻りのない姿勢(脊椎がニュートラル)で、捻り方向のトルクがかかることも問題はない。しかし捻った状態で捻り方向の高いトルクがかかるのは危険(例、ゴルフのフルスイング)。


★歩く
腕を大きく振って早足で歩くのは腰に良い。ゆっくり歩くのは腰に負荷がかかるので腰が悪い人は避ける。


参考書籍:
Low Back Disorders / Stuart McGill
http://www.amazon.com/Low-Back-Disorders-Second-Edition/dp/0736066926

関連記事:
腰痛について1~基礎知識~(Low Back Disorders)


腰痛について3~リハビリとトレーニング~(Low Back Disorders)

腰痛について4~推奨エクササイズ~(Low Back Disorders)

6/12/2015

腰痛について1~基礎知識~(Low Back Disorders)




腰痛についての記事をいくつか書こうと思います。ネタ元は Stuart McGill著の Low Back Disorders です(Amazonリンク)。お値段が結構します。私は中古で購入しました。私はこの分野についてほぼ予備知識無しなのですが、エビデンスベースで論理的に書かれていますし、自分自身の腰を痛めた体験と照らし合わせても納得がいく内容なので、信頼できる著作ではないかと思います。Low Back Disorder は正確に訳すと下背部の障害ですが、この記事では大雑把に腰痛と記述します。


★腰痛とはなにか
腰痛といっても、椎間板に問題がある場合や靭帯にダメージがある場合や椎間関節に問題がある場合など様々なケースがある。診断が難しい。腰痛の85%が原因不明という話があるが、正確な診断できなくて(匙を投げるように)原因不明とされているケースが多いと思われる。


★下背部の障害が発生するプロセス
一回のイベントが怪我につながるケースは稀。障害発生のきっかけとなる出来事がフォーカスされやすく、それまでの蓄積ダメージはなかなか目につきにくい。目立つ出来事に目を奪われ、それまでのプロセスを理解しないと正しい対処ができない。


★障害発生の基本的な考え方
身体に障害発生の許容量を越える負荷がかかると、障害が引き起こされる。
1. 一発の大きな負荷で障害が発生するケース。
 例:乗り物やスポーツで腰に大きな衝撃が加わる。
2. 小さな負荷が何度も繰り返し加わることで障害許容量が低下し、障害許容量が負荷を下回ることで障害が発生するケース。
 例: 荷物を何度も持ち上げ続けて疲労が蓄積していき、障害許容量が低下して障害発生する。
3. 同じ姿勢を続けることで一定の負荷がかかり続け障害許容量が低下し、障害発生するケース。
 例: 農作業などで中腰の姿勢を続ける。


★負荷と休息と適応
身体組織の健康維持のためにはある程度の負荷が必要。適切な負荷とその後の休息により、身体組織に適応反応が起こり障害許容量が上昇する(丈夫になる)。


★腰痛発生のリスクファクター
心理社会的な変数と生体力学的な変数の両方が重要なリスクファクター。身体組織のダメージは過大な負荷により引き起こされ、ダメージは痛みを引き起こす。痛みは心理社会的な変数によって知覚のされかたが変わってくる。この本では生体力学的な面の分析が中心。

[疫学調査により特定されたリスクファクター]
- 同じ姿勢を続けること。特に長時間腰を曲げたり捻ったり横に傾けたり。
- 座っりぱなし。
- 胴体を頻繁に動かす、脊椎を速く捻る、捻り過ぎる。
- 頻繁に物を持ち上げたり押したり引いたり。
- 振動が加わり続ける。特に座った状態で全身に振動が加わり続ける(例えば振動が続く乗り物を運転)
- 腰へのせん断力、圧縮方向の力、伸ばす方向へのモーメント、これらの一発の大きな負荷と繰り返し負荷。
- 滑って転んで腰を打つ。

[身体組織への影響を調べた研究により特定されたリスクファクター]
- 腰を可動範囲いっぱいに曲げることを繰り返す。これをやるとヘルニアになる。
- 寝起き。寝てる間に椎間板が水分を引き込んで膨らみ脊椎がキツキツになる(それで寝起きは背が少し伸びている)。日中は重力による圧縮方向の力が加わって水が抜ける。朝起きてすぐは腰を曲げる運動はしない方が良い。
-  腰へのせん断力、圧縮方向の力、これらの一発の大きな負荷と繰り返し負荷。ねじれ方向のズレとモーメント。
- 負荷が少なすぎて身体組織が弱くなる。
- 急に大きな負荷がかかる。

[リスクファクターとなる個々人の特徴]
- 脊椎の可動範囲。可動範囲が広いとそれだけリスクが高くなる。
- 体幹の筋肉の持久力。持久力が低いとリスクが高くなる。
- 筋肉の動作の乱れ。体幹の筋肉がうまく協調して動かないと脊椎の安定が崩れ怪我のリスクが高くなる。
- 年齢。年齢が高いと脊椎は脆くなる。
- 性別。女性の方が脊椎が脆い。
- 腹回り。太いとリスク高い。



関連記事:

腰痛について2~予防~(Low Back Disorders)

腰痛について3~リハビリとトレーニング~(Low Back Disorders)

腰痛について4~推奨エクササイズ~(Low Back Disorders)

6/04/2015

[ボディメイク記録] 増量結果


前回の記録 12月17日
今回の記録 6月3日


★現状記録
筋グリコーゲンレベルは普通。直前のトレ履歴は、前日に下半身、当日に上半身。


★身体計測
身長:180cm
体重:77.1kg(+4.6kg)
バスト:101cm(3.0cm)
ウェスト:82cm(6.0cm)
ヒップ:94cm(+1.0cm)
右上腕:31cm(+1.0cm)
左上腕:30cm(+1.0cm)
手首径:16cm
右大腿:58cm(+2.0cm)
左大腿:57cm(+2.0cm)
右カーフ:36.0cm(+0.5cm)
左カーフ:35.5cm(+0.0cm)
足首径:19cm


★主な種目のトレーニング重量
懸垂ワイド順手・・・5kg加重×6reps
ベンチプレス・・・75kg×5reps
デッドリフト・・・120kg×3reps
スクワット(スミスマシン)・・・80kg×7reps


★トレーニング種目明細
セット数: メイン5セットくらい。

メイン種目
- スクワット(週2回)
- デッドリフト(週2回)
- ベンチプレス(週2回)


補助種目
- インクラインベンチプレス(スミスマシン)
- インクラインベンチにうつ伏せになってラテラルレイズ
- インクラインベンチにうつ伏せになって上背部を使ってのダンベルローイング
- 懸垂(ワイド順手・ナローパラレル)
- ローイングマシン
- レッグカール
- カーフレイズ
- プレス
- ダンベルショルダープレス
- サイドレイズ
- 腹筋マシン
- 台に肘を置いて身体を浮かせてのレッグレイズ
- アームカール


★増量プロセス
カロリー摂取の振り分け目安は以下の通り。あくまで目安なので厳密には出来ていない。
1. トレーニング前の直近の食事は炭水化物多め。
2. トレーニング後24時間は500-1000kcalくらいオーバーカロリー。
3. 24時間を過ぎたら維持カロリーからややアンダーカロリーに食事を抑える。次のトレーニング日が来たら1.に戻る。

基本的にはHSTのやりかた。高レップ(15repsくらい)のフェーズは全身を週に3回。
1日目:全身トレ/500-1000kcakオーバー
2日目:休み/維持~アンダーカロリー
3日目:全身トレ/500-1000kcakオーバー
4日目:休み/維持~アンダーカロリー
5日目:全身トレ/500-1000kcakオーバー
6日目:休み/維持~アンダーカロリー
7日目:休み/維持~アンダーカロリー

中レップ・低レップのフェーズは上半身と下半身を週に2回ずつ。
1日目:上半身トレ/500-1000kcakオーバー
2日目:下半身トレ/500-1000kcakオーバー
3日目:休み/維持~アンダーカロリー
4日目:上半身トレ/500-1000kcakオーバー
5日目:下半身トレ/500-1000kcakオーバー
6日目:休み/維持~アンダーカロリー
7日目:休み/維持~アンダーカロリー


★食事内容
- タンパク質の摂取量は2-3g/体重1kg/日。動物性食品とプロテインパウダーのみ摂取量にカウント。
- 食事回数は1日3回で、トレーニング日はトレーニング前にプロテインパウダーとスクロースを摂取。スクロースは角砂糖をお湯に溶いたもの。摂取カロリーの把握がしやすいので角砂糖を使っている。
- 脂質の摂取量はあまり把握していないけど、1g/体重1kg/日くらいだと思う。卵や魚や乳製品など高たんぱく質食品に付随する脂質を主に摂取した。揚げ物やドレッシングなどの付加的な脂質はあまり摂取していない。
- トータルカロリーの調整は炭水化物で行った。米、パスタ、ミューズリーが主体。甘いものも適当に。
- 健康のため、野菜、果物、豆も摂取。


★雑感
- 前回の増量は体脂肪が結構ついて減量が面倒だったので、今回はあまり体脂肪が付かないよう、ゆっくりと増量した。


★怪我
- 特に怪我無し。


★今後の予定
- 減量を始める。2-3ヶ月でサクッと終わらせるか、長めにやって体脂肪率一桁を目指すか。調子を見ながら判断する。

4/24/2015

デッドリフト時の脛の保護

デッドリフトの際にバーが脛に当たって痛い時があるので、何か良いものないかなぁと思って探していて見つけたのがこれ。ちょっとお値段高めだけど、米Amazonでかなり評価が高かったので買ってみた。

想定用途としては、ロープ登り、デッドリフト、クリーン、クロスフィット、トレイルラン等とのこと。

一回使ってみた感想は・・・これはとても良いものだ! 脛の部分に薄い衝撃吸収材が入っていて、打撲と擦傷の予防になる。耐久性はまだわからないけど、想定用途からしてデッドリフトではそう簡単には駄目にはならなそう。

米Amazonで買おうとするとこの商品は日本には発送できませんと言われるので、私は国内Amazonで買いました。Rock Tape で検索すると出てくると思います。(日本で買えるのは旧モデルなのかな? 商品名にⅡがついていない)
 
※2017年6月現在では、米AmazonでMサイズとLサイズが日本に発送可能。

サイズは2種類あって、ふくらはぎの最大周径が15インチ以上の人はL/XL、15インチ以下の人はS/Mが目安(公式サイト参照)。


RockTape RockGuards のS/Mサイズを着用した状態。ふくらはぎの最大周径は35cm。

水洗い可

4/19/2015

低負荷トレーニングと高負荷トレーニング

ネタ元: Lyle McDonaldの記事
Effects of Low-Versus High Load Resistance Training – Research Review
http://www.bodyrecomposition.com/research-review/effects-of-low-versus-high-load-resistance-training-research-review.html/


★実験方法
被験者: トレーニング経験のある若い男性。1.5-9年のトレーニング歴で、皆さんスクワットとベンチプレスは自体重以上を挙上できる。
期間: 8週間
人数: 18名。各グループ9名。(当初24名で途中で6名脱落)
食事: 自由+トレーニング後にホエイプロテイン24gを支給

低負荷グループ: 25-35レップ/3セットを7種目
高負荷グループ: 8-12レップ/3セットを7種目

- エクササイズ種目は、ベンチプレス、ミリタリープレス、ワイドグリッププルダウン、シーテッドケーブルロウ、スクワット、レッグプレス、レッグエクステンション。
- 各種目週3回トレーニング。トレーニング間隔は最低1日は空ける。
- 各セットは限界まで行い、毎週重量を増やそうと試みた。


★結果
筋肥大。各筋肉の厚みを測定。グループ間の結果に統計的有意差は無し。
- 低負荷グループ: 上腕二頭筋+5.3% 上腕三頭筋+6.0% 大腿四頭筋+9.3%
- 高負荷グループ: 上腕二頭筋+8.6% 上腕三頭筋+5.2% 大腿四頭筋+9.5%

1RM測定。スクワットはグループ間に有意差有り、ベンチプレスは有意差無し。
- 低負荷グループ: スクワット+8.8% ベンチプレス+2.0%
- 高負荷グループ: スクワット+19.6% ベンチプレス+6.5%

上半身の筋持久力。50%1RMでのベンチプレスを何回できる測定。
- 低負荷グループ: +16.6%
- 高負荷グループ: -1.2%


★コメント
- 神経系の適応を考えると高負荷グループの1RMが伸びるのは不思議ではない。
- 筋肥大については、筋繊維の種類ごとには測定していない。Type I/Type Ⅱの変化に違いがある可能性。
- 低負荷グループと高負荷グループとではトータルのトレーニングボリュームが異なる。
- 低負荷高レップのトレーニングは実際にやるとなると非常にキツイ。(実験では低負荷グループの被験者の約半数が嘔吐したとのこと・・・)


★結論
- 高負荷トレーニングと同等の筋肥大が得られるとしても、低負荷高レップのトレーニングや加圧トレーニングは非常にキツイし時間もかかるので実用的ではない。怪我をしていて高負荷のトレーニングが行えない場合か、筋持久力を伸ばしたい場合に行うと良いだろう。


★個人的な感想
私は増量期はHSTベースのトレーニングをしているので、低負荷高レップ(15-25レップ)のフェーズを取り入れています。高レップトレーニングは関節周りの組織を強化し怪我予防になり、持久力もつくので、低中レップトレーニング期の準備になる。また完全休養空けは低負荷でも筋肉に刺激が入るし、スタートラインを低くしておくとその後の漸進的な負荷増大が行えるので効率的かなと。でもまあキツイのでこのフェーズ早く終われと思いながらやっています。



関連記事:
レップ数によるトレーニング効果の違い

2/25/2015

タンパク質摂取量の目安





★はじめに
測定方法の限界により、人間が必要とするタンパク質摂取量を正確に算出するのは困難であり、研究者の間でも意見が分かれている。必要摂取量は運動の有無や強度、摂取カロリーによっても変わり、また実験では有意差なしとなるわずかな差でも運動パフォーマンスの違いが明暗を分けるアスリートのような人もいる。従って、摂取量はあくまで大まか目安でしかない。

摂取量の目安を出すにあたり、タンパク質の摂取量が足りない場合のコストと、タンパク質の摂取量が過剰である場合のコストを考えた場合、後者の方がコストが小さい。従って、間違えるのなら多めに摂取して間違えた方が良いので、摂取量は多めに出している。


★タンパク質摂取量
体重1kgあたりの一日に必要なタンパク質摂取量gで記述する。例えば趣味で筋トレをする人の場合、維持・増量時は1日に体重1kgあたり2g程度のタンパク質摂取が目安となり、体重70kgの人は一日に140g程度のタンパク質摂取となる。

必要タンパク質摂取量は除脂肪体重に比例すると思われるが、除脂肪体重を正確に測定するのは困難であり、身体が絞られたアスリートの場合は体脂肪率が低いため、体重をそのまま必要タンパク質摂取量の計算に使って良いだろう。体脂肪率が高い人は、必要タンパク質を割り引くか、大まかな除脂肪体重を使うと良い。


★運動量による違い
運動の強度と運動時間が増えるほど、必要なタンパク質摂取量は多くなる。

持久系運動は、ストレングス/パワー系運動よりも必要タンパク質摂取量は少ない。

アスリートとは、一日数時間の運動を週に5日以上実施するような競技者を想定している。また、わずかな運動パフォーマンスの差が成績に大きな影響を及ぼす高いレベルの競技者を想定している。


★性別による違い
図の数字は男性向けであり、女性は図の数字から20%程度減らすと良い。女性は体脂肪率が高く、また性ホルモンの影響でタンパク質の使用量が男性よりも少ない


★減量時 
大まかな目安としては、維持・増量時よりもタンパク質摂取量を20%程度増やすと良い。ここでの減量はカロリー不足が消費カロリーの20%程度の軽めの減量を想定している。例えば消費カロリー2500kcalだったら、摂取カロリー2000kcal、カロリー不足500kcal程度である。明確な関係式が出せるわけではないが、基本的には消費カロリーに対する摂取カロリーの割合が低くなるほど(急速な減量を行うほど)、タンパク質摂取量を増やす。


★タンパク質のクオリティ
高品質のタンパク質をそれなりに含んだ食事を想定している。植物性タンパク質は全般的に質が低いが、アミノ酸組成は食物間で補いあうので、多品目のホールフードの食事を摂る限りにおいてはタンパク質摂取量に算入して良い。(私の場合、食べる品目が減る傾向があるため、減量時は動物性タンパク質のみタンパク質摂取量にカウントしています)



[参考書籍]
Girth Control / Alan Aragon
The Protein Book / Lyle McDonald

1/31/2015

ベルトをすべきか


ライル・マクドナルドのサイトにリンクがあったブログを読んでて見つけた面白そうな記事を紹介。書いているのはパワーリフティングの世界記録持ってた人とのこと。いくつか記事を読んでみたけど、他にもリフティングや身体のメカニズムについての面白い記事がある。

Should you wear a belt or not? Study write-up
http://www.strengtheory.com/should-you-wear-a-belt-or-not-study-write-up/

スクワットの際のベルトの着用の有無がどのような差をもたらすのかを調べた研究をもとに記事を書いている。内容を抄訳すると、

・研究結果
- ベルト着用の有無で、外腹斜筋、脊柱起立筋の筋活動に違いは見られなかった。
- 大腿四頭筋には違いが見られ、ベルト着用の方がより筋活動が高かった(特にスティッキングポイント通過時)。
- ハムストリングスはベルト着用の方が、セットを通じて筋活動が高かった(ベルト着用しないとセット開始時は同じ程度でレップを重ねると筋活動が低下していく)。
- ベルトをした方が腹圧が高まった。

・結果から得られるインプリケーション
- ベルトをした方が同じ重量でも容易に上がるようになるが、筋活動は大腿四頭筋とハムストリングスはベルトをした方が高く、脊柱起立筋と外腹斜筋については同程度という結果になった。ベルトをすることで筋肉の負荷が低下するわけではなく、より大きな力を引き出すことが出来る。
- 脊柱起立筋は、しゃがむ局面と立ち上がる局面で同じ程度の筋活動だった。外腹斜筋は立ち上がる局面の方が筋活動が高い。スクワットのボトムで重量に負けて背中が丸まるのは、脊柱起立筋の問題ではなくて腹筋側が弱いためだと思われる(脊柱起立筋の弱さが問題ならラックアップしてしゃがむ局面で背中が丸まるだろう)。


なぜ大腿四頭筋とハムストリングスがより強い力を発揮できるようになるのかよくわからないけど、結論としてはベルトを着用した方がより効果的にトレーニングが出来そうなのでそうしよう。