4/28/2016

力持ちの身体的特徴

力の強さにはかなりの個人差がある。例えばスクワットやデッドリフトのトップ選手は400kgを越える重量を挙げられるが、多くの人はトレーニングを積んでもその半分の重量すら困難である。一方で短距離走や長距離走だと、トップ選手の6,7割のパフォーマンスを出すのは比較的容易である。100mを15秒、フルマラソンを3時間、健康な若い男性なら趣味の範囲のトレーニングで達成できる。

走るという比較的単純な動作のパフォーマンスを左右するのは、筋肉の瞬発力や筋持久力や全身持久力なのだろうと想像できるし、アスリートのこれらの能力は一般人よりも何割か高いのだろうと納得できる。だが、重いものを持ち上げるという単純な動作で一般人とトップ選手の差が2倍以上開くのには、他にも要素があると考えられる。どのような要素があると力持ちになれるのか、以下に考察してみる。


★筋肉の出力
・神経系の適応
筋繊維の動員と発火頻度。強度の高いトレーニングを行えば容易に神経系の適応は完了する。

・瞬発型か持久型か
筋繊維のタイプ分けについてはいくつかあるけど面倒なので割愛。全体で見て筋肉の性質が瞬発型だと瞬間的に大きな力を発揮できる。生まれつきの影響が大きい。

・羽状筋の羽状角
羽状筋についてはこちらの記事を参考に。筋肉が羽状筋の場合は羽状角が出力に影響する。羽状角が大きいと筋肉の縮む速度が遅いが、大きな力を発揮できる。

短距離走者の筋肉の羽状角は、長距離走者の筋肉の羽状角よりも小さいという研究がある。羽状角が小さいほうが筋肉の縮む速度が速くスプリントに有利なのだろう。短距離走者同士でも、ベストタイムが速い選手の方が羽状角が小さいという研究もある。

羽状筋は肥大すると羽状角が大きくなるが、もともと持って生まれた羽状角に個人差があり、それにより速く動かすのが得意か、遅くても大きな力を出すのが得意かという運動能力の違いが生じていると思われる。

・太さ(断面積)
筋肉は太い方が大きな力を出せる。鍛えれば太くなる。


★骨格の違い
・骨格によるテコ比の違い
人間の身体が骨格筋を用いて外部に力を加える際には、ほとんどの場合テコの原理が働く。腱の付着箇所が力点、関節が支点、外部との接触箇所が作用点。第3種てこなので、力点に加わる筋肉の出力よりも作用点で働く力は小さくなる。

1) 上腕二頭筋を使って肘を曲げて手に持ったおもりを持ち上げる動作(アームカール)を例に図解してみると以下のようになる。


2) 骨が短いと作用点-支点の距離が小さくなり、テコ比(力点-支点の距離/作用点-支点の距離)は大きくなる。従って、筋肉の出力が同じ場合でも作用点で働く力は大きくなる。それに加えて骨が太くて関節が大きいと、力点-支点の距離が大きくなり、これもテコ比を大きくする。パワーリフティングの選手などは基本的には骨が短くて太い(下の図)。

3) 仮にドラえもんのビッグライトを当てて骨格と筋肉をそのまま拡大したら、テコ比は一定で筋肉が太くなるので、より大きな力を出せるようになる。格闘技の無差別級やストロングマンコンテストの選手などはこのタイプ。身長が高くて骨格がデカイ(下の図)。

4) 一方で、高身長でも腕と脚が細長く伸びた骨格だと、強い力を発揮するのは苦手になる。骨が長いとテコ比は小さくなり、筋肉の出力が同じ場合でも作用点で働く力は小さくなる。しかし、作用点は大きく動くようになり、筋肉の収縮速度が同じでも作用点の速度が速くなる。野球の投手に多いのがこのタイプ。腕が長い方が速い球を投げられるので有利になる(下の図)。



・筋肉が力を発揮しやすい範囲で動作ができるか
筋肉は伸びすぎても縮みすぎても最大の力を発揮できない。腕や脚が短い方がスクワットやベンチプレスでは力の出る範囲で動作が行える。デッドリフト(コンベンショナル)は脚が長めの方が膝関節の角度が開いて力が入りやすいようだ。これについては以前書いたので参考まで(骨格によるフォームの違い)。


★まとめ
骨格と筋肉の性質により競技の向き不向きがある。ベンチプレス300kg挙げる人が野球の球を投げる練習をしても大してスピードは出ないだろうし、160km/hの豪速球を投げるピッチャーがベンチプレスをやりこんでも重い重量は上がらないだろう。

従って、挙上重量で中級者か上級者かを判断するのはナンセンス。その人の遺伝的限界に対してどの程度達しているかで判断するべきだろう。また他の人と挙上重量を比べて得意になったり落ち込んだりする必要もない。過去の自分を上回れるかが大事だと思う。

4/23/2016

サプリメントの効果を調べるサイト


Examine.com
http://examine.com/

- サプリメント会社から資金援助を受けていない。
- 参照研究を示している。
- サプリメントによっては効果の程度、研究の信頼性も書かれている。

興味のあるサプリメントがあったら、ここで調べてみると良いと思います。問題は費用対効果。何らかの効果があるサプリメントは色々とありますが、コストに見合う効果が得られるかどうかは、その人の懐具合と目指すレベルによるでしょう。

あと効果の高いサプリメントだと、関節の強度や疲労耐性を超えてトレーニングできてしまい、それにより怪我をするリスクが上がります。身体が頑丈ではない人は注意。


関連記事:
ナチュラルボディビルダーがコンテストに向けて減量する時の推奨方法

ダイエットに効果のあるサプリメント

4/19/2016

減量時の食事調整例

私はだいたいこんな感じで減量しています。ウェイトトレーニングを行っている体脂肪率10-20%の男性。


★前提として以下を身につけていること
・体重変動の把握
朝起きて放尿してから体重測定。一週間の平均値で体重の増減を判断。

・食べ物のマクロ栄養素の大雑把な把握
スーパーやコンビニで売られているものは容器の栄養成分表示をチェック。外食はカロリー表示ある場合はチェック。自炊でよく使う食材は食品成分表でチェック。こまめに栄養成分を調べていると食べ物のマクロ栄養素が何となく把握できるようになる。

・摂取タンパク質量のカウント
各食事のタンパク質量を把握し、一日トータルで必要量を満たす。


★食べ物のカテゴライズ
◇減量でも必ず食べる
- タンパク質源:肉、魚、乳製品、卵、プロテインパウダー
- オメガ3脂肪酸:青魚(DHA・EPA)、亜麻仁油等(αリノレン酸)、魚油サプリメント
- 微量栄養素・繊維質:野菜、豆、生の果物

◇カロリー調整に使う
- 油:マヨネーズ、バター、ドレッシング、揚げ物、クリームチーズ
- 炭水化物:米、パン、麺類、芋、かぼちゃ、豆
- お菓子


★体重減少ペースの目安
1週間に体重を0.5-1.0%減らす。体重70kgだったら1週間に350-700gのペースで減らすのが目安。これは体脂肪率10-20%の男性の場合。体脂肪率がこれより高い場合はもっと速いペースでも可。女性は男性の基準体脂肪率に+7%程度して考える。


★減量プロセス
まずは体重変動が起きない食事量を把握。上記の食べ物カテゴリごとにどれくらい食べると体重が維持されるか把握。

最初の1週間くらいはグリコーゲンと水分が抜けることで体重がストンと落ちる。これは体重減少ペースの勘定には入れない。

減量が進むと、主に基礎代謝とNEATが減少し消費カロリーが低下する。これにより体重減少ペースが落ちてくる。そうしたら次の段階に移行。一時的な停滞の場合もあるので、体重が減らなくなっても1-2週間は様子見、炭水化物のリフィードで水が抜けるかどうかも試す。男性の場合はウェスト周りの変化も進捗管理に利用できる。ウェストが減っていればだいたい体脂肪は減っている。

[第一段階]
油とお菓子をカット。ドレッシングはノンオイルに。脂質はタンパク質源の食べ物に十分に含まれている。炭水化物も精製度の高いものを中心にある程度減らす。繊維質摂取のため、芋やオートミールを優先的に食べる。減量中は便秘になりやすい。

[第二段階]
タンパク質の摂取量は減らさず、タンパク質源を低脂質のもの中心に。肉だったら脂身がすくないもの。乳製品は低脂肪のもの。全卵は控えめに。魚の脂質はオメガ3脂肪酸が豊富なので魚はそのまま。果物は控える。

[第三段階]
炭水化物をさらに減らす。ウェイトトレーニングの強度が維持できる程度には食べる。

[第四段階]
食べ物を削るのが難しくなってくるので、有酸素運動で消費カロリーを増やす。有酸素運動はウェイトトレーニングに支障が出ないよう、また関節を痛めないよう、軽いものにする。ウォーキング、エアロバイク、ゆっくり泳ぐなど。個人的にはエリプティカルトレーナーが関節へのダメージが小さくて良い感じ。

<イメージ図>


第四段階までやって体重が減らなくなってきたら、2週間程度のダイエット休止を行う。もしくは2ヶ月に1度といった決まった頻度でダイエット休止を行うのも良い。ダイエット休止では主に炭水化物の摂取量を増やし、摂取カロリーを引き上げ、消費カロリーと摂取カロリーをバランスさせる。

消費カロリーは、エネルギーのストック(体脂肪水準)とフロー(摂取カロリー)の両方が影響する。フローを戻してやることで、消費カロリーをある程度回復することを目指す。戻すと言っても減量前に比べればバランスの取れるカロリーは低下しているので、食べ過ぎないように注意する。

リフィードで炭水化物を一気に入れてから維持モードにする方法と、少しずつ摂取カロリーを増やしてい行く方法がある。最初の数日はグリコーゲンと水分が回復して急激に体重が増える。その後は体重が横ばいになるようにする。個人差はあるけど炭水化物を1日あたり50-100g程度増やすのが目安。一日のトータルの炭水化物摂取量は100g以上が望ましい。

旅行などの予定がある場合は、その期間をダイエット休止にするのも良い。その場合は厳密に食事管理をすることは困難なので、楽しむのを優先しつつも食べ過ぎないようにし、体重を維持することを目指す。

2週間程度のダイエット休止が終わったら再び減量スタート。


★その他留意事項
息抜きのために週に一回くらいはお菓子も可。200kcal以内が目安。和菓子など脂質が少ないものが良い。私は下半身トレの日に甘いものを食べてます。どら焼きなど。テンション上がる。

ウェイトトレーニングは行わず体脂肪率が高い人は、インスリン抵抗性の問題で炭水化物への反応が悪い場合があるので、炭水化物を優先的に減らすのも良いかもしれない。



関連記事:
体重減少への代謝適応

なぜダイエットをしてもリバウンドしやすいのか

減量ペースの違いによる体組成変化と運動パフォーマンス変化

タンパク質摂取量の目安

4/12/2016

レップ数を変化させるトレーニングの筋肥大効果

Is Daily Undulating Periodization Best for Muscle Growth?
http://www.lookgreatnaked.com/blog/is-daily-undulating-periodization-best-for-muscle-growth/

Brad Schoenfeld のブログから。

これまでの研究では、レップ数が少なくても、中くらいでも、多くても、十分なトレーニングボリュームを行えば、同じように筋肥大が起こることが示されている(下の関連記事参照)。では、レップ数を変化させると効果はどうなるのか。

一週間のうちでトレーニング日ごとにレップ数を変えるトレーニングプログラム(Daily Undulating Periodization)と、常に一定のレップ数でトレーニングを行うプログラムの筋肥大への効果を比較する研究を行った。


★研究内容
被験者は若い男子学生。平均4年(最低1年以上)のレジスタンストレーニング歴。年齢23.3±2.9歳。

以下の2つのグループに分ける
- 常に一定のレップ数を行うグループ。レップ数は8-12RM。
- レップ数を変化させるグループ。1日目に2-4RM、2日目に8-12RM、3日目に20-30RM。

いずれのグループもトレーニングは週に三回で、毎回全身をトレーニング。種目は、ベンチプレス、ミリタリープレス、ワイドグリップラットプルダウン、シーテッドケーブルロウ、バックスクワット、レッグプレス、ニーエクステンション。

測定したのは、上腕二頭筋、上腕三頭筋、大腿四頭筋(外側広筋)についての筋肥大、およびスクワットとベンチプレスの1RM、それと上半身の筋持久力(50% 1RMでベンチプレスを何回できるか)。

トレーニング期間は8週間。

結果は以下の画像のとおり。

両方のグループとも筋肉の厚み(筋肥大)、筋力、上半身の筋持久力が伸びた。グループ間での有意差は無しだが、レップ数を変化させるグループの方が上半身の筋肥大と筋力と筋持久力の伸びが良い傾向があった(画像のESの数値)。


★実際のトレーニングへの適用
レップ数を変化させた方が、その差は小さくても上半身の筋肥大、筋力、筋持久力を伸ばす可能性がある。趣味で身体を鍛えている人にとっては、おそらく大きな差は出ないだろう。ボディビルダーやアスリートには重要な差になるかもしれない。

なぜ上半身には小さな差が出て下半身には差がでなかったのかはわからないが、今回の研究結果に基づけば脚のトレーニングには両方のトレーニング方法が同等の選択肢となる。

今回の実験期間は8週間と短いので、もし仮にこの小さな差がそのまま続くとしたら、長期間では大きな差が出ることになる。

他に重要な点としては、レップ数を変化させるグループの方がトレーニングボリューム(重量×レップ数×セット数)が少なかった。レップ数を変化させた方がレップ数を8-12RMに一定にするよりも、少ないボリュームで同等以上の効果を出すことを示している。またボリュームを等しくすれば、より良い結果を出す可能性がある。


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[上半身と下半身の差についての私の考察]
被験者はおそらく大学の運動部員だろう。それなりにレベルの高いアスリートなので、足腰は最大出力の面でも持久力の面でも鍛え込まれていると思われる。一方で、上半身はそこまで鍛え込まれていないだろう。上半身をフルに使う主なスポーツは、ボート、体操、水泳くらいだと思うけど、それらの種目でもベンチプレスの動きが競技で使われるわけではない。従って上半身の方が最大出力(1RM)でも筋持久力でも適応する余地が大きかったのではないだろうか。

2-4RMを行うことで神経系の適応が起こり最大出力が伸び、20-30RMを行うことで筋グリコーゲン貯蔵量の増加やミトコンドリア密度の増加や毛細血管の発達といった筋持久力に関する適応が起こった。どのレップ数でも筋原線維の筋肥大は起こっているだろうけど、上記の筋持久力に関する適応でも筋肥大が起こると思われるので、上半身では筋肥大に差が出た。大雑把に書くと、

最大出力=筋原線維の断面積×神経系の適応
筋肉の太さ=筋原線維+持久力関連の部分(筋形質のグリコーゲン貯蔵量など)

下半身は神経系の適応も持久能力も十分に発達していたため、レップ数による差が出なかったのではないだろうか。

筋肉の仕組みについて詳しくないので変なこと書いているかもしれませんが、以上が今回の研究結果に対する私の仮説。この仮説が正しいなら、トレーニング期間が長くなると上半身も神経系の適応と持久力の適応が上限に達し、レップ数を変化させても筋力と筋肥大の伸びに差が出なくなる。


いずれにしろ高レップをやっても損はないだろうから、高レップトレーニングを行う日を作るか、普段のトレーニングの最終セットを高レップにすると良いと思う。

2-4RMはBIG3以外は怪我のリスクが高そう。特に肩周りやアイソレート種目。私はミリタリープレスとニーエクステンションを2-4RMでやったら怪我する自信があります。


関連記事:
低負荷トレーニングと高負荷トレーニング(8-12レップと25-35レップ)

レップ数によるトレーニング効果の違い(3レップと10レップ)

4/07/2016

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