4/12/2016

レップ数を変化させるトレーニングの筋肥大効果

Is Daily Undulating Periodization Best for Muscle Growth?
http://www.lookgreatnaked.com/blog/is-daily-undulating-periodization-best-for-muscle-growth/

Brad Schoenfeld のブログから。

これまでの研究では、レップ数が少なくても、中くらいでも、多くても、十分なトレーニングボリュームを行えば、同じように筋肥大が起こることが示されている(下の関連記事参照)。では、レップ数を変化させると効果はどうなるのか。

一週間のうちでトレーニング日ごとにレップ数を変えるトレーニングプログラム(Daily Undulating Periodization)と、常に一定のレップ数でトレーニングを行うプログラムの筋肥大への効果を比較する研究を行った。


★研究内容
被験者は若い男子学生。平均4年(最低1年以上)のレジスタンストレーニング歴。年齢23.3±2.9歳。

以下の2つのグループに分ける
- 常に一定のレップ数を行うグループ。レップ数は8-12RM。
- レップ数を変化させるグループ。1日目に2-4RM、2日目に8-12RM、3日目に20-30RM。

いずれのグループもトレーニングは週に三回で、毎回全身をトレーニング。種目は、ベンチプレス、ミリタリープレス、ワイドグリップラットプルダウン、シーテッドケーブルロウ、バックスクワット、レッグプレス、ニーエクステンション。

測定したのは、上腕二頭筋、上腕三頭筋、大腿四頭筋(外側広筋)についての筋肥大、およびスクワットとベンチプレスの1RM、それと上半身の筋持久力(50% 1RMでベンチプレスを何回できるか)。

トレーニング期間は8週間。

結果は以下の画像のとおり。

両方のグループとも筋肉の厚み(筋肥大)、筋力、上半身の筋持久力が伸びた。グループ間での有意差は無しだが、レップ数を変化させるグループの方が上半身の筋肥大と筋力と筋持久力の伸びが良い傾向があった(画像のESの数値)。


★実際のトレーニングへの適用
レップ数を変化させた方が、その差は小さくても上半身の筋肥大、筋力、筋持久力を伸ばす可能性がある。趣味で身体を鍛えている人にとっては、おそらく大きな差は出ないだろう。ボディビルダーやアスリートには重要な差になるかもしれない。

なぜ上半身には小さな差が出て下半身には差がでなかったのかはわからないが、今回の研究結果に基づけば脚のトレーニングには両方のトレーニング方法が同等の選択肢となる。

今回の実験期間は8週間と短いので、もし仮にこの小さな差がそのまま続くとしたら、長期間では大きな差が出ることになる。

他に重要な点としては、レップ数を変化させるグループの方がトレーニングボリューム(重量×レップ数×セット数)が少なかった。レップ数を変化させた方がレップ数を8-12RMに一定にするよりも、少ないボリュームで同等以上の効果を出すことを示している。またボリュームを等しくすれば、より良い結果を出す可能性がある。


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[上半身と下半身の差についての私の考察]
被験者はおそらく大学の運動部員だろう。それなりにレベルの高いアスリートなので、足腰は最大出力の面でも持久力の面でも鍛え込まれていると思われる。一方で、上半身はそこまで鍛え込まれていないだろう。上半身をフルに使う主なスポーツは、ボート、体操、水泳くらいだと思うけど、それらの種目でもベンチプレスの動きが競技で使われるわけではない。従って上半身の方が最大出力(1RM)でも筋持久力でも適応する余地が大きかったのではないだろうか。

2-4RMを行うことで神経系の適応が起こり最大出力が伸び、20-30RMを行うことで筋グリコーゲン貯蔵量の増加やミトコンドリア密度の増加や毛細血管の発達といった筋持久力に関する適応が起こった。どのレップ数でも筋原線維の筋肥大は起こっているだろうけど、上記の筋持久力に関する適応でも筋肥大が起こると思われるので、上半身では筋肥大に差が出た。大雑把に書くと、

最大出力=筋原線維の断面積×神経系の適応
筋肉の太さ=筋原線維+持久力関連の部分(筋形質のグリコーゲン貯蔵量など)

下半身は神経系の適応も持久能力も十分に発達していたため、レップ数による差が出なかったのではないだろうか。

筋肉の仕組みについて詳しくないので変なこと書いているかもしれませんが、以上が今回の研究結果に対する私の仮説。この仮説が正しいなら、トレーニング期間が長くなると上半身も神経系の適応と持久力の適応が上限に達し、レップ数を変化させても筋力と筋肥大の伸びに差が出なくなる。


いずれにしろ高レップをやっても損はないだろうから、高レップトレーニングを行う日を作るか、普段のトレーニングの最終セットを高レップにすると良いと思う。

2-4RMはBIG3以外は怪我のリスクが高そう。特に肩周りやアイソレート種目。私はミリタリープレスとニーエクステンションを2-4RMでやったら怪我する自信があります。


関連記事:
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