10/30/2016

骨盤の前傾の矯正

★なぜ骨盤の前傾を扱うのか
トレーニングを継続的におこなっている人に骨盤の傾きの問題がある場合は、大抵は前傾している。一般的なトレーニングプログラムだと前傾を促す筋肉ばかり鍛えてしまう傾向があるし、ベンチプレスやスクワットなど動作中に骨盤の前傾を強調する姿勢になりやすい種目が多い。仮に骨盤が後傾していたら腰椎がフラットになるので、既にデッドリフトやスクワットで腰を痛めてトレーニングを続けていない可能性が高い。


★骨盤につながっていて前傾・後傾に影響を与える主な筋肉

実際の各筋肉の付着部分は筋肉によって異なるけど簡略化のために大雑把な図で



背骨の伸筋: 脊柱起立筋群、(たぶん広背筋も)

背骨の屈筋: 腹直筋、外腹斜筋

股関節の伸筋: ハムストリングス、臀筋群

股関節の屈筋: 腰筋、腸骨筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋


★骨盤の前傾のメカニズム
- 背骨の伸筋と股関節の屈筋が固く縮こまっている
- 背骨の屈筋と股関節の伸筋が弱くて伸びている


★骨盤が前傾していると起こる問題
- 臀筋群が上手く働かず、ハムストリングスと大内転筋に過度の負荷がかかりやすくなる。特にハムストリングスはストレッチされた状態で強い負荷がかかるので怪我をしやすい。
- 腰椎が過度に伸展している。これも腰の怪我リスクを高める。
- 臀筋群が後ろから引っ張らないため、大腿骨が股関節のソケットから前の方にずれてゴリゴリして痛むことがある。前側の腿の付け根が痛くなる場合は、この問題が起きている可能性がある。


★重量と見た目の問題
- 臀筋群がしっかり働いていないので、スクワットやデッドリフトで現状の身体能力に対して重量を最大限に持ち上げられていない。
- 尻の見た目が貧弱。
- 腰椎が過度に伸展している分、内臓が前に押し出され、体脂肪率が低くても下腹部がぽっこり出る。


★骨盤前傾の矯正エクササイズ
アンバランスの矯正の基本的な考え方は、
- 固く縮こまっている筋肉をほぐして伸ばす
- 弱く伸びている筋肉を鍛える

従って骨盤の前傾では、
- 背骨の伸筋と股関節の屈筋をストレッチやフォームローラーなどでほぐして伸ばす
- 背骨の屈筋と股関節の伸筋を筋トレで鍛える

◇伸ばす
股関節の屈筋と大腿四頭筋を静的ストレッチ(大腿直筋は二関節筋)。写真の左側のポーズをやるときは、下の脚の臀筋を収縮させると、その脚の前側にある股関節の屈筋が伸びやすい。写真の右側は特に大腿直筋が伸びるポーズ。フォームローラーでコロコロするのも良い。静的ストレッチとフォームローラーは効果が異なるのでできれば両方やった方が良い。


脊柱起立筋群のストレッチは慎重に。筋トレのデッドバグで骨盤後傾させると自然に伸びるのでそれで十分かも。広背筋もストレッチしておいた方が良いと思う。

梨状筋のストレッチもやった方が良いようだ。

◇筋トレ
・背骨の屈筋の強化

腹直筋と外腹斜筋を鍛える。デッドバグやリバースクランチで特に下腹部を鍛えると良い。腹直筋の上部を鍛えても骨盤にあまり影響を与えない。骨盤後傾させたプランクも良い。通常のクランチをやる場合は、腹直筋下部と外腹斜筋を先に収縮させてから、クランチをやると良い。

デッドバグ(dead bug)
腹直筋の下部と外腹斜筋を収縮し、骨盤を後傾し腰椎のアーチをフラットにする。背中全体が床にべたっと付くように。ドローインを同時に行うと骨盤を後傾しやすい。この骨盤と腰椎の姿勢をキープしたままデッドバグの動作を行う。(もちろんこの骨盤と背骨の位置でデッドリフトなどをやってはだめ)


初級編は、片脚を床すれすれに伸ばしてまた元の位置に戻す。強度を上げるには、両腕を同時に動かしたり、脚を上げたり。

 他には片脚を上げてから下ろしたり、両足を上げてから下ろしたり。いずれも骨盤の後傾を維持するように。


・股関節の伸筋(臀筋群とハムストリングス)の強化
グルートハムレイズ、ルーマニアンデッドリフト、プルスルーヒップスラストなど。かかとで踏ん張ると臀筋群に効く。


以上のエクササイズは、骨盤が前傾していない人も筋肉のバランスを取るためにトレーニングプログラムに組み入れた方が良い。


★骨盤の後傾
運動不足の人には骨盤の後傾が見られる場合がある。骨盤の後傾の矯正の仕方は、前傾の矯正で伸ばす筋肉と鍛える筋肉を入れ替えれば良い。メカニズムを理解すれば簡単なので、具体な説明は省略。


★その他
- トレーニングをしている時間以外でも良い姿勢を維持するよう心がける。デスクワークでも座りっぱなしは避け、こまめに立ち上がって伸びをしたりウロウロしたりする。
- 腰筋が弱い場合。片脚もも上げ静止を20秒以上維持できない場合は腰筋が弱いので鍛えたほうが良い。
- トレーニングをしていると一般的に内転筋が強くなっている。スクワットでかなり負荷がかかるし、スモウデッドをやる人はさらに鍛えられている。バランスを取るため、内転筋をストレッチしつつ外転を行う筋肉も鍛えたほうが良い。股関節の外転の鍛え方は、膝の健康の記事を参考に。


参考サイト:
Hips Don't Lie
https://www.t-nation.com/training/hips-dont-lie

Core Training for Smart Folks
https://www.t-nation.com/training/core-training-for-smart-folks

Get Your Butt In Gear! 1
https://www.t-nation.com/training/get-your-butt-in-gear

Get Your Butt In Gear! 2
https://www.t-nation.com/training/get-your-butt-in-gear-2

10/23/2016

intermittent fasting(リーンゲインズ方式)の最新研究

Effects of eight weeks of time-restricted feeding (16/8) on basal metabolism, maximal strength, body composition, inflammation, and cardiovascular risk factors in resistance-trained males
http://translational-medicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12967-016-1044-0?__s=xd85fbqhz9qszcjaruiv


time-restricted feeding(一般的にはintermittent fasting)の効果を調べた研究。

time-restricted feeding(TRF)は、一定の時間内に1日分の食事をし、後の時間は何も食べない食事方法。この研究でのやり方はリーンゲインズとほぼ同じで、食事は24時間のうち8時間以内、後の16時間は何も食べない。細かいことを言うとリーンゲインズはトレーニング直前には食べなかったと思うので、そこが違いかな。


★被験者
- イタリアのジムでそれなりにトレーニング歴のある男性を募集。53名集まってそのうちアナボリックステロイドの使用歴がある7名が除外、12名が実験プロトコルの説明を受けて辞退。残り34名が参加。
- 平均年齢29歳
- 平均体重85kg
- 平均除脂肪体重74kg
- TRFグループ17名、通常食事グループ17名


★食事
- 被験者は一日あたりのトータルの食事量はこれまで通り食べるように指示された。栄養士の指導のもと、自己管理での維持カロリーの食事。タンパク質は1日に体重1kgあたり1.9gくらいと、十分な摂取量。
- TRFグループは、午後1時、午後4時、午後8時に食事。カロリー配分は午後1時から順に40%、25%、35%。
- 通常食グループは、午前8時、午後1時、夜8時に食事。カロリー配分は午前8時から順に25%、40%、35%。
- 両グループともこの食事に加えてトレーニングの30分後に20gのホエイプロテインを摂取。


★トレーニング
- 週に3日 分割法 各種目6-8レップ限界までを3セット。
- 実施時間帯は午後4時-6時。
- 実験以外のトレーニングは禁止。


★結果
- 除脂肪体重は、両グループとも実験前と実験後では有意差無し。
- 体脂肪量は、TRFが-16.4%で有意差有り、通常食が-2.8%で有意差無し。
- テストステロンレベルとIGF-1レベルがTRFグループで低下、通常食は有意差無し。
- 除脂肪体重、1RM、腕と脚の太さの変化はそれぞれ両グループとも有意差無し
- 血糖レベルとインスリンレベルはTRFで低下、通常食は有意差無し。
- レプチンはTRFで低下だが体脂肪量で調整すると有意差無し、通常食は有意差無し。
- アディポネクチンはTRFで増加、通常食は有意差無し。
- TRFは甲状腺ホルモンT3が減少だがTSHは変わらず、通常食は有意差無し。
- コレステロールはHDLがTRFが増加、通常食は有意差無し。LDLは両グループとも有意差無し。
- 中性脂肪はTRFが減少、通常食は有意差無し。
- 炎症関連の指標であるTNF-αとIL-1βはTRFが減少、通常食は増加傾向。
- 安静時代謝は両グループとも有意差無し。



☆コメント
期間が短いので体組成の変化が小さく、体組成測定の誤差の影響が大きいのではないかというのと、食事が自己管理なのとが欠点だが、これまでのintermittent fastingの研究に比べると、とても良い研究デザイン。特に筋肉愛好家の男性を対象としているので、ボディメイクを行う人にとって参考になる。

intermittent fastingでも除脂肪体重や1RMや腕と脚の太さは通常食と変わらず、人間の身体は柔軟に適応するんだなあと思える。○時間食べなかったらカタボリック!(強迫的トレーニー)とか、朝食を抜いたり食事間隔を空けたりすると太る!(迷信ダイエッター)とかは考えなくて良いだろう。

維持カロリーなのにTRFグループでは体脂肪量が減っていたのは、アディポネクチンの効果ではないかと論文著者は推測している。ただはっきりと理由はわからないようだ。単に摂取カロリーが少なかった可能性もある。8時間以内に一日分の維持カロリーを食べるのは結構キツイから、自然と少し減ってしまったのかもしれない。もしかしたら体重測定のタイミングが朝食時間~昼食時間の間で、TRFグループは朝食が無いぶん水分等が抜けていて体重が軽くなっていたのかもしれない(こんなマヌケなことはやらないと思うが測定時間が書いていないので)。

テストステロンレベルの低下は、摂取カロリーが(もしかしたら)少なかったからなのかもしれないし、intermittent fastingにテストステロンレベルを下げる効果があるのかもしれない。体脂肪の減少量からするとせいぜい一日100-200kcal程度のアンダーカロリーなのに、テストステロンレベルは26%低下していて、要因は摂取カロリーだけではないように思える。

現状のエビデンスだと維持カロリーもしくはマイルドなカロリーカットとウェイトトレーニングの組み合わせでは、intermittent fastingは除脂肪体重に悪影響はなさそうと言えるようだ。筋肉愛好家にも十分に利用可能な食事方法に思える。ただもっとカロリーを減らして体脂肪減少ペースを速くした場合に、除脂肪体重がどうなるのかという問題はある。

増量の場合は、intermittent fastingではテストステロンレベルとIGF-1レベルの低下が筋肥大に悪影響を与えるかもしれない。今後の研究で、この程度の低下では筋肥大に影響がない、カロリーオーバーならテストステロンレベルは通常食と同じになる、逆にintermittent fastingの方が筋肥大にも優れている、などといった結果が出るかもしれないが、現状わかってることを組み合わせて考えると、筋肉を増やすのを第一の目的とする人は、朝から晩まで分散させて食べるのが無難な選択だと思う。

健康面では通常の食事パターンよりもかなりメリットがありそうなのが良い。intermittent fastingは、健康リスクが気になる増量期にこそ行うと良いんじゃないかと個人的には思う。一日200-300kcal程度のカロリーオーバーなら、健康関連の指標については今回の結果と同じく、通常の食事パターンよりも良い結果が出るのではないかと思う。運動してるとはいえカロリーオーバーは健康には良くないので、少しでもダメージを減らせるなら良い。

筋肉が増えるのはゆっくりでもいいが、健康面を大事にしたいという人には、intermittent fastingは良い選択肢だと思う。今回測定していない健康リスク指標に悪影響が出る可能性もあるが、単に朝食を抜くだけでそんなに過激なことをやっているわけではないし、メジャーな健康リスクに関わる指標は改善しているし、IGF-1レベルの低下は発がんリスクを下げだろうし、たぶん全体的に見て健康には良いだろう。一日分に必要なマクロ栄養素とミクロ栄養素を8時間以内にちゃんと食べるように意識する。特にタンパク質とミクロ栄養素が不足しないよう注意する(高タンパクで精製度の低い食事は短い時間にたくさん食べるのが大変)。もちろん自分でやってみて体調が良くなかったら続けない方が良い。

人類の歴史を考えると朝昼晩の決まった時間に食事を出来るようになったのはごく最近で、進化上は人間の身体は不規則な食事や一時的な絶食に適応しているという話があって、これは多分そのとおりだけど、淘汰圧がかかっているのは個体の若い時の生存と生殖であって、急激に寿命が伸びた現代の中高年以降にはその淘汰圧がかかっていない。だから不規則な食事や一時的な絶食が中高年以降の人間の健康に良いとは、件のストーリーからは演繹できない。それと生物の個体の生存と生殖にはトレードオフがあるので、カロリー制限やファスティングで個体の生存確率が上がるなら、生殖能力が犠牲になっている可能性がある。今回の研究でのテストステロンレベルの低下はその表れかもしれない。

あと今回の研究は男性のみが対象。intermittent fastingの反応には性差がある。女性はfastingは14時間にすることがLeangainsでは推奨されている。

intermittent fastingの研究は健康面ではフロンティアだと思う。ボディメイクの面でフロンティアなのかは現状のエビデンスでは何とも言えない。炭水化物の摂取をサイクルさせるダイエットのカテゴリとして何かしらのメリットがあるかもしれないが、ファスティング自体がカロリーの振り分けを改善するのかは今のところ不明。

intermittent fastingのこれまでの研究について興味がある場合は、strengtheoryの記事にリンクが張られていたこの記事が非常に参考になる。

ちなみに私は増量期でも朝はプロテインパウダーとコーヒーのみにしてます。朝カーボ摂らなければintermittent fastingに近い効果が得られるだろうと考えているのと、筋肉合成の面でタンパク質摂取をある程度分散させたほうがわずかでも有利になるのではないかと思うのと、以前朝コーヒーだけを試したらうんこが出なくて困ったのと、単に朝は食欲が無いのとで、こういうスタイルにしています。ちなみに減量期も維持期も同じで朝はプロテインパウダーとコーヒー。

最後に。。一般ジムにこれだけステロイド利用者がいるってすごいなあ・・・。7名というのも自己申告だろうから実際は被験者内にもいたかもしれない。

10/20/2016

膝の健康のために

ネタ元
 ↓
18 Tips for Bulletproof Knees
https://www.t-nation.com/training/18-tips-for-bulletproof-knees


★保護
・ニースリーブを着用する
- 適当なニースリーブを買って脚のトレーニングの際に着用する

・ウォームアップをしっかり行う

・痛みのでる運動は止める
- 無理はしないこと。

・着地時の衝撃を吸収する
- ジャンプしたり走ったりするときは、関節と筋肉を使って柔らかく着地する。なるべく音を立てないように着地するのを意識。

・正しい姿勢をとる
姿勢が悪いと日常生活でもトレーニングでもダメージが蓄積していく。詳しくはNeanderthal No More シリーズを参照。


★ストレッチなど
・足首と股関節の可動域を広げる
- 足首は膝を曲げた状態でのストレッチと、膝を伸ばした状態でのストレッチの両方をやる。
- 股関節のストレッチはこの記事でいくつか紹介されているので参考に。

・大腿四頭筋とふくらはぎをストレッチ
- アスリートを対象としたプロスペクティブ研究で、膝蓋大腿関節の痛みが発生したアスリートは、大腿四頭筋と腓腹筋が固かった。
- 腓腹筋のストレッチは膝を伸ばした状態でやると良い。

・大腿直筋を伸ばす
- 台かテーブルに腰掛けて、片足の膝を抱えて胸に寄せてそのまま後ろに倒れ込んで背中をつける。もう片方の脚は下にだらんとし、その際に脛が地面に対して垂直なら問題なし。垂直にならず突っ張ってるなら大腿直筋が固いか短縮しているのでストレッチする(下の画像は固い例)。
大腿直筋は膝と股関節にまたがる二関節筋なので、膝と股関節を同時に伸ばしたストレッチをすると良い。伸ばしている側の脚の臀筋を同時に収縮させると、大腿直筋がよく伸びる。

・フォームローラーやマッサージ
- 大腿四頭筋と大腿直筋のあたりに(膝上から股関節まで)
- 大腿の外側。主に外側広筋と腸脛靭帯。


★筋肉を鍛える
・股関節の外転と外旋を強化する
- 膝蓋大腿関節の痛みを抱えるアスリートは、股関節の外転と外旋の強さが大幅に低下していることが報告されている。
- 外転と外旋を行うには大殿筋と中殿筋後部を使う。
- 脚のトレーニングを行う前に、大殿筋と中殿筋を刺激するするために軽いエクササイズを行う。
- もちろんこれらの筋肉を強化するためにボリュームのあるトレーニングも行う。スクワットなどをやった後に行うのが良いだろう。

エクササイズ例:
X-band walk

side steps

Side-lying Clam

- つま先は開き気味で、かかと側から足を運ぶようにすると良い。つま先から足を運ぶと、おそらく太ももの外側の筋肉を使ってしまう。

- side stepsをやったあとそのままバンドをつけて自重スクワット(もちろん膝とつま先が同じ方向を向いて)を行うと、膝を外に押し出して臀筋を締める良いフォームが意識しやすい。

- アブダクションマシンは軌道が固定されているので使わないほうが良い。取っ手のついてない1000円くらいのトレーニングチューブを買って、適当に結んで輪っかを作って使うのがおすすめ。柔らかめのを買うと肩周りのエクササイズにも使える。輪っかを二重にすれば抵抗が増えて臀筋のトレーニングに使える。

・臀筋群とハムストリングスを鍛える
- 一般的には大腿四頭筋に偏重したトレーニングを行っているので、膝と股関節の前後のバランスを取るため臀筋群とハムストリングスも鍛える必要がある。
- エクササイズ例:
グルートハムレイズ、デッドリフト、ルーマニアンデッドリフト、リバースハイパー、ヒップスラスト

・内側広筋斜頭(VMO:vastus medialis obliquus)のアイソレートは忘れる
- 外側広筋が強すぎることで膝の左右で筋力差が生じ、横に引っ張られてしまうことが膝の痛みにつながる。内側広筋斜頭を強くすれば、左右の筋肉のバランスが取れると考えられる。
- ただ内側広筋斜頭を完全にアイソレートするのは非常に困難。
- 内側広筋斜頭を無理にアイソレートしようとするのではなくて、レッグエクステンションなどで大腿四頭筋を全体的に鍛えるのが良いだろう。


★トレーニング全般
・リハビリ局面ではアイソレート種目をちゃんとやる
- ストレングスを求めるとコンパウンドをやりたくなるが、コンパウンド動作では弱ってる筋肉があると他の強い筋肉で代替しようとするので、筋肉のアンバランスがさらに拡大してしまう。まずはアイソレートで弱い筋肉を強くするのが重要。

・長期的に筋肉のバランスが取れるようなトレーニングプログラムにする
- 偏ったトレーニングプログラムを続けると筋肉のアンバランスは時間の経過とともに拡大してく
膝の前後:大腿四頭筋とハムストリングス
膝の左右:外側広筋と内側広筋斜頭

・片脚でのトレーニングも行う
- 左右の脚の筋力バランスを整えたり、膝の安定に重要な大腿四頭筋と臀筋群を鍛えたり。

・正しいフォームでトレーニングする


★食事・サプリメント
・抗炎症作用のある食生活
- 飽和脂肪酸を摂りすぎない
- オメガ3脂肪酸の摂取を増やして、オメガ6脂肪酸の摂取を減らす。

※オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率が重要で、オメガ3脂肪酸も摂取しすぎると健康に悪いんだけど、現代の一般的な食生活ではオメガ6脂肪酸を摂りすぎる傾向があるので、オメガ3脂肪酸の摂取を増やすことを意識してオメガ6脂肪酸を減らすのが良い。

・関節の健康に良いとされるサプリメントを摂取
- グルコサミンとコンドロイチン

※Examine.comを読んだ感じでは、グルコサミンは硫酸塩(塩酸塩は効果ない)の形で摂取すれば。関節の劣化を遅らせるわずかな効果がありそう。グルコサミンを服用してさえいれば関節の健康を保てるようなものではない。費用対効果をどう考えるかの問題なので、ランニングのように膝を酷使するスポーツを行っていてお金に余裕がある人は、わずかにあるかもしれない効果のために服用するのもありだろう。(個人的には運動量を調整したり膝周りの筋肉を鍛えたりしたほうが費用対効果はずっと高いと思う)

コンドロイチンについては、効果を示す研究は実験デザインが良くないものが大半。大規模調査だと効果なしの傾向。現状ではプラシーボ効果を上回る効果があるとは言えない。


10/12/2016

肩の健康のために

 ネタ元
  ↓
Shoulder Savers - Part 1
https://www.t-nation.com/training/shoulder-savers-1

Shoulder Savers - Part 2
https://www.t-nation.com/training/shoulder-savers-2

Cracking the Rotator Cuff Conundrum
https://www.t-nation.com/training/cracking-the-rotator-cuff-conundrum

Push-Ups, Face Pulls, and Shrugs
https://www.t-nation.com/training/push-ups-face-pulls-and-shrugs

★日常生活編

・机に座りっぱなしは避ける
- こまめに立ってうろついたり伸びをしたりストレッチをしたりする。背中を丸めて前かがみになり、肩が丸まり首が突き出る姿勢は肩にも背骨にも良くない。うつむいてスマホを見続けるのも良くない。
- 背筋を伸ばした一般的に良いと言われる姿勢も、ずっとその姿勢を続けるなら身体には良くない。身体にとって良いたったひとつの姿勢というものはなくて、良い姿勢というのは、こまめに姿勢を変えて一箇所に負荷がかからないようにすること。
- 一週間に数時間のエクササイズで姿勢を矯正しようとしても、残りの大部分の時間を悪い姿勢で過ごしたらあまり意味がない。

・身体の片側ばかりを使わない
利き腕じゃないと出来ないことは仕方がないが、いつも一方の腕で頬杖をついたり、いつも片方の肩にバックパックを担いだりといったことは避ける


★トレーニングで気をつけること

・肩峰の形
肩峰の形には個人差があって、オーバーヘッドプレスやストレートバーでのベンチプレスで肩を痛めやすいタイプの人がいる。これらの種目で肩に違和感を感じたり痛くなったりする場合は、他の種目で目的の筋肉を鍛えると良い。

・前鋸筋
- 前鋸筋は、頭上で腕を動かす際に、僧帽筋とともにバランスをとりながら肩甲骨の制御を行う。上腕骨と肩甲骨が上手く連動して動くようにするには前鋸筋もしっかり働くようにしないといけない。
- 肘を伸ばしたまま肩甲骨を寄せて開くプッシュアップをすると良い。高レップが良い。キツイ場合は膝をついたりして負荷を調整する。
動画:Scap Push-Ups

・ベンチプレス
肘を開いて鎖骨に下ろすフォーム(いわゆるボディビルスタイルのベンチプレス)はやめる。あとは体幹を固めるとか、肩を突き出さないとか基本的なことに注意する。

・肩だけを鍛える日はやめる
肩だけを1時間とかやると肩関節に負荷をかけすぎてしまう。バランスを取るエクササイズをやっていれば刺激は十分。もし肩のトレーニングをやるなら、オーバーヘッドプレスとラテラルレイズを少々付け加えると良い。

・軟組織のケア
アクティブリリース、ロルフィング、グラストン、マッサージ、フォームローラーなど。(私はよくしらないです。なんかこのジャンルは胡散臭い感じのものもありますが、この記事を書いている人は信頼できると思うのでエキスパートがやれば高い効果があるのだと思います)

・シーテッドロウ
- 肩甲骨を寄せる動きを鍛えるのを意識する。
- 膝と股関節を使って引くのはよくない(デッドリフトみたいな動き)。
- 僧帽筋上部に力が入って肩が上がって、広背筋と大円筋と上腕三頭筋長頭で引くのも良くない。これをやると胸部の後彎(前かがみ)が悪化する。
- 肩甲骨まわりが固くて引ききれないのを、頭を前に突き出して肘を曲げることで誤魔化すのもよくない。
動画:Good Seated Cable Row

・ラテラルレイズ
肩甲骨と同一平面上で上腕を動かす。真横から約30度前に出して上下させると良い。腕を外旋して親指を上に向けてやるとさらに安全。

真上から見た図

動画:Scapular Plane Lateral Raises

・腹直筋
- クランチなどで腹直筋ばかりを鍛えすぎると体幹の前側(肋骨と骨盤の間)が縮まり、前かがみの姿勢になる。肩甲骨が前傾し肩が前に出て肩を痛めやすくなる。
- プランクやサイドブリッッジなど外腹斜筋も動員したコア安定のトレーニング、それと腹筋の下の方を鍛えて骨盤の前傾を矯正する(これについては今度書きます)。

・ストレートバーでのベンチプレスとバックスクワット
- ベンチプレスは腕と肩の動作域に遊びが無い→ときにはダンベルプレスで代替する、ニュートラルグリップ(手のひらが向かい合う)、動作範囲を短くする(深くまで下ろさない)といった対策で肩への負荷を減らす。
バックスクワットでの腕の姿勢(上腕が外旋・肩が外転)は、肩に負荷がかかる→腕が辛くない特殊なスクワットバーを使う、フロントスクワット、デッドリフトや片脚でのトレーニング(ランジとかスプリットスクワットとか)といった対策で肩への負荷を減らす。

・利き腕と反対側の腕
野球のピッチャーなど利き腕とそうじゃない腕の差が大きい人は、以下の対策が効果的な場合が多い。特に利き腕じゃない方の肩が痛くなるケース(私はバドミントンをやっていたのですがまさにこのケース)。
- 利き腕側は肩甲骨とローテーターカフの安定性を高めるエクササイズが効果的。
- 利き腕じゃない方の肩は可動域を広げるエクササイズ(特に大胸筋、広背筋、三角筋前部のストレッチ)と上腕の外旋動作を鍛えるエクササイズが効果的。

・肩甲下筋
- 肩甲下筋を鍛える。上腕骨頭を後ろに引くのに重要な役割。上腕骨頭を後ろに引けないと前に飛び出してゴリゴリ。
- 台の上にうつ伏せになって、上腕はサポートされた状態で、肩甲骨は下制し、上腕を内旋
- 肩甲骨の裏側の脇の横あたりに筋肉の動きを感じればOK。
動画:Prone Internal Rotations

・胸椎を伸ばす
前かがみの姿勢を矯正するためにフォームローラーで胸椎を伸ばす。ゆっくりと反りすぎないようにやる。肩甲骨のやや下から肩甲骨の真ん中あたりまでをほぐす
動画:Thoracic Extensions on the Foam Roller

・アップライトローは止める
特にストレートバーでのアップライトローで肘を高く上げると肩を痛めやすい。三角筋と僧帽筋上部を鍛えたかったら他に安全な種目はいくつもある。


★エクササイズのバランスの取り方

以下の各動作の1)と2)のエクササイズを両方ともバランス良くやる。一般的に、1)のエクササイズが足りなくて、2)のエクササイズを多くやっていることが多い。偏ると肩の怪我をしやすい。

トータルのレップ数でバランスを取るようにする。重量はそれほど気にしなくて良い。普通は肩甲骨の寄せや上腕の外旋の動作で高重量は扱えないし、怪我のリスクを考えると高重量でやらない方が良い。

動画へのリンクを張ってるのもあるけど、やり方がよくわからなかったら適当に検索してください。あまりメジャーじゃない種目は英語の方が検索ヒットするので英語のまま書いてます。

◇肩甲骨の寄せ、突き出し

1) 肩甲骨の寄せ
全てのローイング(やり方は前述のシーテッドロウを参考に)

Rear Delt Fly
あまり良い動画が見つからなかったけど、軽い重量で肩甲骨を寄せるのを意識する。

Prone Trap Raise Variations

Face Pulls

2) 肩甲骨の突き出し

腕立て伏せ

ディップス


◇肩甲骨の下げ、上げ

1) 肩甲骨の下げ
Scapular Wall Slides

Prone Trap Raise Variations

Behind-the-Neck Band Pulldowns

Prone Cobras to 10&2 (held for time)

Straight-Arm Lat Pulldowns (strict!)

2) 肩甲骨の上げ
シュラッグ

クリーン&スナッチ

Seated Dumbbell Cleans
たぶんこのやり方で良いと思う。軽い重量で高レップ。上げる時に上腕の外旋、下げるときは内旋のエキセントリック動作にせず小指側から下ろすと肩に負荷がかかりにくい。

Cuban Presses


◇上腕骨の外旋、内旋
上腕骨を外側に回転させるのが外旋、内側に回転させるのが内旋。


1) 上腕骨の外旋
Seated Dumbbell Cleans

Cuban Presses

Rear Delt Fly

Prone Trap Raise Variations

Prone Cobras to 10&2 (held for time)

その他外旋動作全て

2) 上腕骨の内旋
ベンチプレス、プッシュアップ

懸垂、ラットプルダウン

フロントレイズ

ディップス

オーバーヘッドプレス

その他内旋動作全て



関連記事:
懸垂のやり過ぎによる怪我リスク(肘と肩)

10/05/2016

懸垂のやり過ぎによる怪我リスク(肘と肩)

ネタ元
  ↓
Strength Training Programs: Are Pull-ups THAT Essential?
http://ericcressey.com/strength-training-programs-pull-ups-essential

懸垂をやり過ぎることによる怪我のリスクについて。主に二つあり、まずは肘に高負荷がかかること、それと広背筋が他の筋肉に比べてアンバランスに強くなることによる身体の歪みと肩の怪我リスク。


★怪我リスク
1. 肘への負荷
腕が引っ張られるので、関節では骨同士が離れる方向に力が働く。骨が離れて腕がちぎれないようにしているのは腱や靭帯。高負荷の懸垂ではこれらの軟組織に強いストレスがかかり、トレーニングを続けると肘を痛めるリスクがある。

どれくらいの重量の懸垂を高負荷と呼ぶかは関節の強度との相対的なもので、その人の関節周りの強さにもよるし、体重にもよる。力士などは自重懸垂でも肘に相当な負荷がかかるだろう。

※体感では、逆手懸垂が最も肘を痛めやすい。というか私は痛めたことがある。逆手のプル動作は引く時に肘に捻じれが発生して怪我リスクが上がると思う。逆手のベントロー(ドリアンロー)も気をつけたほうが良いと思う。プル動作は多分パラレル(ニュートラル)グリップが最も肘を傷めにくい。


2. 広背筋が他の筋肉に比べて強すぎると起こる問題
広背筋は背骨の強力な伸筋である。広背筋が他の筋肉に比べてアンバランスに強く縮こまっていると、腰部の反りが強くなる。

広背筋は上腕骨にくっつく途中で、胸部の後ろ側と肩甲骨にもくっついている。このため広背筋に引っ張られて、前から見ると胸が開いた状態になる。また広背筋が僧帽筋下部を圧倒するため、肩甲骨は広背筋に引っ張られて下の方に押し付けられ、肋骨に張り付いたままになり、僧帽筋下部が肩甲骨を寄せたり下げたりする働きをしなくなる。ちなみにBIG3でも肩甲骨が下に押し付けられることが多いので、ウェイトトレーニングを熱心にやる人ほど肩甲骨が下に押し付けられてしまう。


頭と背骨だけ描くとこんな感じ。

肩の後ろ側は広背筋の腱や、大円筋や小円筋や三頭筋の長頭や三角筋後部が集中している。肩甲骨が動かないと、広背筋だけで肩の伸展(上腕を後ろに動かす動作)を行い、他の筋肉は衰える。

ローイング動作で広背筋のみ使うと、肩甲骨は胸部とくっついて前傾し、上腕骨は肩との接合部で前に飛び出る形になり、肩の前部がゴリゴリ圧迫され痛めやすい。



上腕骨に連動して肩甲骨が内側に動くと、上腕骨をしっかり後ろに引ける。


広背筋が強すぎて縮んでいるとると肩峰下のスペースが減り肩を痛めやすい。

腕を上に上げる動きではローテーターカフと僧帽筋下部の働きが重要。広背筋が強すぎるとこれらの筋肉は弱っている。

膝を曲げて仰向けに寝て、背中は床にべったりつける(アーチは作らない)。この姿勢で腕を頭の上に伸ばす(肩の伸展)。肩が不健康になっていると、腕が床までいかなかったり痛みがあったりする。

無理に腕を頭の上まで上げようとすると、腰を反らせて胸部を肩ごと後ろに倒して首を前に突き出す動きになる。この動きで肩の動かなさをカバーしている人は要注意。

※私はこうなってしまう。ショルダープレスをやると肩が痛い。矯正しないと。


★姿勢矯正

身体のアンバランスの直し方の基本は、
- 縮んだ側の筋肉をストレッチ
- 伸びた側の筋肉を強化

背骨についていえば、広背筋が強すぎるケースでは
- 腰椎が過度に伸展し、
- それを補ってバランスを取るために胸椎は過度に屈曲し、首が前に突き出て頚椎が過度に伸展。

この悪い姿勢を直すには、
- 腰椎の伸筋(広背筋)をストレッチし、腰椎の屈筋(腹筋)を強化。
- 首の後ろ側をストレッチし、首を曲げる筋肉を強化。
- 肩甲骨が広背筋の縮こまりから解放され、僧帽筋やローテーターカフでコントロールできるようにする。

★エクササイズ例

・既に広背筋が強い場合、懸垂をやる際は加重を増やすのではなくて、レップ数とセット数を増やす。

・自分の身体の状態をよく確認し、懸垂が痛みをもたらすようなら控える。

・肩の前部や肘が痛い場合は、マッサージやフォームローラーなどの治療を行うこと。

・腕を上げてのシュラッグで、張り付いた肩甲骨を動かし、僧帽筋上部を鍛えて広背筋の引っ張りに対抗する。


・首の後ろ側を伸ばし、首を曲げる筋肉を鍛える。


・腹筋を鍛える。

・肩甲骨を動かし僧帽筋下部を鍛える。いずれのエクササイズも臀筋に力を入れ、コアを安定させ、腕を上げる時に腰が反って頭が前に出ないように気をつける。


・広背筋のストレッチをする。


・水平方向のプル(ローイング動作)のトレーニングも行う。上腕と肩甲骨を同時に動かす正しいフォームで行うこと。

・下の動画のように、背中をべったり壁にくっつけて、腰を反らさず首を前に突き出さず、腕を上に上げて手が壁に付くかテストする。姿勢の歪みが激しい場合は、懸垂はしばらくは控えて、上のようなエクササイズを行い、まずは姿勢矯正した方が良さそう。