11/13/2016

バランスの取れたトレーニング種目の選択-エクササイズ編-

前回の記事(バランスの取れたトレーニング種目の選択-メカニズム編-)の続き

★一般的なトレーニングプログラムに付け加えるべきエクササイズ
スクワット(レッグプレス)、デッドリフト、ベンチプレス、懸垂(ラットプルダウン)、ローイング、ショルダープレス、腕と脚のカールやエクステンションなどのアイソレート種目、といった一般的なトレーニングプログラムで生じる筋力のアンバランスと姿勢の悪化を防ぐために、付け加えた方が良いエクササイズを紹介していく。


個々人の骨格、筋力バランス、それまでのトレーニング歴などによって理想的なトレーニングプログラムは異なってくるけど、大雑把にバランスを取るにはどのようなエクササイズを行えば良いか見る。以下に紹介するエクササイズを参考にして、自分が効かせやすいエクササイズを選び、バランスの取れたトレーニングプログラムを組むのが良いだろう。左右差がある場合もあるので、その場合はアンバランスが大きい側を重点的に行う。

アンバランスのなおしかたの基本は、

- 強くて縮んでいる筋肉を緩めて伸ばす
- 弱くて伸びている筋肉を鍛える


一般的なトレーニングプログラムを行う場合、この図の赤い部分の筋肉を緩めて伸ばし、青い部分の筋肉をしっかり鍛えることを意識する。

緩めて伸ばすのは、他人の手を借りず自分でやる場合は、フォームローラーと静的ストレッチが手軽で良い。フォームローラーのやり方は、ターゲットの部位に体重をかけながら、ゆっくりコロコロと動かし心地よい痛みを味合う。

弱くて伸びている筋肉を鍛えるときは、軽めの重量でターゲットの筋肉をしっかり収縮させることを意識する。特に肩周りでは細かい筋肉を鍛えるので、無理に重い重量を扱おうとすると力を入れやすい大きな筋肉が使われてしまって、細かい筋肉が働かずバランスがさらに悪くなってしまう。


★肩周り
・緩めて伸ばす部位:
大胸筋、三角筋前部、広背筋、肩甲骨まわり、胸椎

◇フォームローラー例

[大胸筋、三角筋前部]


[広背筋、大円筋]

Lat & Thoracic Cage Mobility On Foam Roller 広背筋にはこれも良い


[胸椎](肩甲骨のやや下から肩甲骨の真ん中あたりまでを行う)

◇ストレッチ例
[大胸筋]



[広背筋]




[僧帽筋上部]

[肩甲骨周り]
- 肩甲骨があまり動かない場合は、よくある肩甲骨剥がしのエクササイズなどをやると良い。肩甲骨の可動域を確保するのは怪我の予防に非常に重要。
- 肩甲骨の前傾は胸椎の過度の屈曲の矯正や小胸筋のストレッチ

[首]
- 首の後ろを伸ばして屈曲を鍛える




・主に鍛える動作:
上腕の外旋、水平方向の外転、肩甲骨の上方回旋、肩甲骨の外転、細かい筋肉による肩甲骨の下制

[上腕の外旋]
Cable External Rotation 可愛い。脇を締め胴体は捻らず上腕の外旋だけで行う。それと三角筋後部で引っ張らないように注意する。三角筋後部を使うと上腕骨頭が前方に動いて肩の前側がゴリゴリ当たる。


Cuban Press


The Face Pull


[水平方向の外転と肩甲骨の内転]
Seated Cable Rows 肩甲骨から動かし始めて腕は後からついてくる意識で。広背筋で重い重量を引かないように。

Seated Bent Over Rear Delt Raise 僧帽筋上部で引っ張り上げないように。シュラッグではないので。

[肩甲骨の上方回旋と挙上]
- 普通のシュラッグではなく腕を挙げてのシュラッグが良い。

EricCressey.com: Wall Slides with Overhead Shrug

Scaption with a shrug

[肩甲骨の外転]
- フルレンジでのプッシュアップや、肩甲骨プッシュアップ。前鋸筋を鍛える。

The Perfect Push Up - Do it right! ボトムでは肩甲骨を寄せ、トップでは肘を伸ばし肩甲骨を突き出す。

Scapula Pushup 肩甲骨のみ動かしてのプッシュアップ

1-Arm Quadruped Protraction 肩甲骨の動かし方がよくわからない場合は片腕ずつやるとわかりやすいかも。

TonyGentilcore.com Band Wall Walks このエクササイズは外旋と外転が同時に鍛えられる。バンドをはめていったん肩甲骨を寄せてから肘を前に突き出す。脇を締め肘を突き出した状態を維持するのに気をつけながら、腕をトコトコ上下に動かす。

[肩甲骨の下制]
ShoulderPerformance.com: Prone 1-arm Trap Raise 三角筋を使うのではなくて、僧帽筋下部を使う。肩甲骨を尾てい骨がある方向に引きつけて、腕はあとからついてくるイメージ。

Prone Cobra


★体幹・股関節
・緩めて伸ばす部位:
広背筋、脊柱起立筋群、ハムストリングス、股関節の屈筋、大腿四頭筋、内転筋群、腰方形筋

◇フォームローラー例

[内転筋群](個人的には仰向けの方がやりやすい)

[股関節の屈筋](男性は片脚ずつやったほうが良いかも)

[ハムストリングス]

◇ストレッチ例

[腰方形筋]

[ハムストリングス]

[股関節の屈筋]


[内転筋群]

・主に鍛える動作:
腹直筋下部、外腹斜筋、股関節の伸展、股関節の外転・外旋、

[腹直筋下部・外腹斜筋]
デッドバグ(dead bug)
腹直筋の下部と外腹斜筋を収縮し、骨盤を後傾し腰椎のアーチをフラットにする。背中全体が床にべたっと付くように。ドローインを同時に行うと骨盤を後傾しやすい。この骨盤と腰椎の姿勢をキープしたままデッドバグの動作を行う。(もちろんこの骨盤と背骨の位置でデッドリフトなどをやってはだめ)
初級編は、片脚を床すれすれに伸ばしてまた元の位置に戻す。強度を上げるには、両腕を同時に動かしたり、脚を上げたり。


プランク
関連記事:プランクのやり方

[股関節の外転・外旋]
- チューブを使うと良い。

X Band Walk

Athletic Mini Band Side Steps つま先は開き気味で、かかと側から足を運ぶようにすると良い。つま先から足を運ぶと、おそらく太ももの外側の筋肉を使ってしまう。

The Band Side Lying Clam

[股関節の伸展(臀筋群とハムストリングス)]
臀筋群はグルートブリッジ、ヒップスラスト
- かかとで踏ん張って、トップで膝が90度くらいになるように。腰椎はニュートラルのままで腰を反らせないよう注意する。トップで臀筋群を強く収縮させると良い。
- まずは両足自重。10レップくらい余裕なら片足自重。これも余裕ならバーベル使ってヒップスラスト。無理な重量でやると腰や大腿四頭筋を使おうとして臀筋群に効かないので、軽めの重量でケツを収縮させるのを意識すること。自重だとこんな感じ。この動画イイネ! 是非音声も聞いていただきたい(ヒップスラストは5:45くらいから)。



ハムストリングスは、ルーマニアンデッドリフト(RDL)など。股関節の伸展でハムストリングスに効く種目が良いだろう(レッグカールは膝関節の屈曲なのでちょっと違う)。RDLは尻を後ろに引いて大腿四頭筋を関与させないことを意識。背中はタイトなままで。



★その他
普段の生活で良い姿勢を意識する。座りっぱなしは避けて、こまめに立ち上がって伸びをしたり、うろうろしたり軽くストレッチをしたりする。トレーニングのときだけ良い姿勢になっても、一日の時間の大部分を占めるのは普段の生活なので。



参考サイト:
15 Ways to Foam Roll
https://www.t-nation.com/training/feel-better-for-10-bucks
Neanderthal No More - Part 1
https://www.t-nation.com/training/neanderthal-no-more-1
Neanderthal No More - Part 2
https://www.t-nation.com/training/neanderthal-no-more-2
Neanderthal No More - Part 3
https://www.t-nation.com/training/neanderthal-no-more-3
Neanderthal No More - Part 4
https://www.t-nation.com/workouts/neanderthal-no-more-4
Neanderthal No More - Part 5
https://www.t-nation.com/workouts/neanderthal-no-more-5


関連記事:
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