8/15/2017

消化吸収の速いタンパク質と遅いタンパク質の長期の比較(ホエイ相当vsカゼイン)

(1) Effects of Post-Exercise Protein Intake on Muscle Mass and Strength During Resistance Training: is There an Optimal Ratio Between Fast and Slow Proteins?
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28422532

https://www.researchgate.net/profile/Julien_Louis/publication/316266159_Effects_of_Post-Exercise_Protein_Intake_on_Muscle_Mass_and_Strength_During_Resistance_Training_is_There_an_Optimal_Ratio_Between_Fast_and_Slow_Proteins/links/590af1840f7e9b1d082491b4/Effects-of-Post-Exercise-Protein-Intake-on-Muscle-Mass-and-Strength-During-Resistance-Training-is-There-an-Optimal-Ratio-Between-Fast-and-Slow-Proteins.pdf

タンパク質の消化吸収速度と、血液中のアミノ酸濃度(特にロイシン濃度)の上昇の違いが、長期的な筋肥大およびストレングスの向上に影響を与えるのか。

タンパク質を摂取してから数時間程度の血液中のアミノ酸濃度と筋合成の度合いを調べた短期(acute)の研究だと、消化吸収が速くてロイシン含有率が高いホエイの優位性を示す研究が多い。これらの短期の研究を根拠としてサプリメーカーがホエイプロテインパウダーやロイシンに特化したサプリメントなどを売り込んでいるのだけど、以前も書いたように、これらの短期の研究だとトレーニング無しでもタンパク質摂取後に筋合成が起こっていて、トレーニング無しなら長期的には筋肥大も起きないだろうから、空腹時に筋分解が高まるなどしてどこかで帳尻を合わせている可能性がある。従って、短期の研究がホエイ優位を示しても、長期でも同じ結果になるのかは不明だった。

今回の研究は、レジスタンストレーニングに合わせて、消化吸収の速い水溶性のミルクタンパク質と、消化吸収の遅いカゼインを摂取し、長期的な筋肥大とストレングスの変化を比較している。長期でホエイ相当のタンパク質とカゼインの比較をしたまともな研究は恐らく初めてだと思う。



★実験方法
・被験者:レジスタンストレーニング歴のある若い男性。前年にプロテインパウダー摂取していない人のみ。だいたいの平均は身長180cm、体重76kg、体脂肪率17%、ベンチプレス1RMが90kg前後、スクワット3RMが95kg前後。


・プロテインドリンク
ミルクから精製された2種類のタンパク質を、割合を変えて混ぜ合わせて使用。
a) 水溶性ミルクタンパク質:消化吸収が速くアミノ酸組成がホエイに似ている。ホエイよりも精製されていない。
b) カゼイン:消化吸収が遅い。

この2種類のタンパク質の組み合わせを三つ作り、被験者3グループに割当。
FP(100) 水溶性ミルクタンパク質100%
FP(50) 水溶性ミルクタンパク質50% + カゼイン50%
FP(20) 水溶性ミルクタンパク質20% + カゼイン80%

プロテインドリンクに含まれるタンパク質の量は3種類とも20g。炭水化物も20g含まれている。これをレジスタンストレーニング終了後15分以内に摂取。


・レジスタンストレーニング
慣れるための準備期間が3週間、その後に本番9週間。トレーニング頻度は週に4回。3週間ごとにレップ数を減らし強度を上げるリニアピリオダイゼーション。


・食事
1日のトータルのタンパク質摂取量が体重1kgあたり1.5-2.0gになるよう食事指導。結果として平均で1.9g/kg程度摂取したのでタンパク質の摂取量は十分だと考えられる。


・体組成測定
DXA


・ストレングス測定
ベンチプレス1RM、スクワット3RM、アイソメトリックでの肘と膝の伸展・屈曲の力



★実験結果
プロテインドリンク摂取直後の血漿ロイシン濃度のピーク値、およびAUC(area under the curve:曝露量)に違いがあった。カゼイン80%のプロテインドリンクを摂取したグループ(FP20)は、水溶性ミルクタンパク質の割合が高いプロテインドリンクを摂取したグループ(FP100、FP50)に比べて、ロイシン濃度のピーク値とAUCが低くなった。




しかし長期的には3グループとも体組成とストレングスの変化に有意差なし。



★コメント
トレーニング後に摂取するプロテインドリンクの消化吸収が速くても遅くても、長期的な筋トレ効果は変わらないという結果になった。

今回の研究から得られる教訓は、

・摂取して数時間の血中のアミノ酸濃度や筋合成速度を測定した短期の研究は、そのまま長期の結果を保証するものではないだろう。
・ある一定のロイシン閾値を超えることが筋合成のトリガーになるといった、短期間の、そして複数ある筋合成ルートの一つでしか無いメカニズムが長期的な筋肥大を決めるわけではないだろう。
・運動後の「ゴールデンタイム」に、消化吸収の速いプロテインドリンクを慌てて飲む必要はなさそう。
・消化吸収が速いタンパク質と遅いタンパク質を組み合わせれば、筋合成促進と筋分解抑制の両面から効果を発揮でき筋肥大を最大化できる・・・という説もあまり意味がなさそう。

今後、この研究結果を覆す研究が出てくるかもしれないけど、現時点ではタンパク質の消化吸収の速度に神経質になる必要はないと思う。ただ胃腸が強くない人は消化吸収が速いプロテインパウダーを積極的に利用することで、胃腸のキャパシティがボトルネックにならず、十分な栄養を取ることが出来てより良い結果を得られるかもしれない。

基本は1日のトータルのタンパク質摂取量を確保し、一日に3,4回の食事、トレーニング前後の食事間隔があまり空かないように栄養供給するといった感じで良いだろう。

関連記事:ゴールデンタイムはあるのか?

健康面も考えるならリスク分散のためにタンパク質源は分散させた方が良いだろう。筋肉の餌としてのタンパク質のクオリティを考えた場合、必須アミノ酸、特にBCAAの含有率が高い方が良いのだろうけど、1日に体重1kgあたり2g程度のタンパク質を動物性食品中心に摂取すれば、アミノ酸組成の差は消えるのではないだろうか。食事でのタンパク質摂取量が足りない場合は、追加で摂取するプロテインパウダーのアミノ酸組成の差が筋肥大に影響するかもしれない(この記事にあるミルクとソイの比較はこのケースかも)。

維持・増量時にタンパク質摂取量を確保するためにプロテインパウダーを利用する場合は、価格や飲みやすさなどの総合面からホエイプロテインパウダーが優れていると思う。減量時やintermittent fastingなどで食事間隔が大きく空き、肝グリコーゲンの枯渇によりタンパク質が分解されやすくなる状況では、カゼインなど消化吸収の遅いタンパク質を積極的に摂取したほうが良いだろう。

関連記事:プロテインパウダーの選択

関連記事:タンパク質摂取量の目安



★類似した過去の研究
2つあるけどどちらもいまいち。

(2)The effect of whey isolate and resistance training on strength, body composition, and plasma glutamine.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17240782

Whey vs Casein. Who will win?
https://evidencebasedfitness.net/whey-vs-casein-who-will-win/
この研究の中身の紹介と批評の記事

被験者数が少ないのも問題だけど、それ以外にもサプリメーカーがスポンサーなのが胡散臭くて、ホエイを摂取したグループのみ、やたらと良い数字が出ているのも胡散臭い。趣味でボディビルをやっている被験者が通常の食事に加えて一日に体重1kgあたり1.5gのプロテインパウダー(スポンサー提供)を摂取したら、加水分解ホエイ群のみが10週間で除脂肪体重が5kgも増えて体脂肪は1.4kg減って、カゼイン群は有意差なし。加水分解ホエイ群はスクワット1RMが80kgから156kgに上昇。トレーニング歴のある人が10週間でこの結果を得るのはちょっと考えにくい。体重1kgあたり1.5gという多量のプロテインパウダーを摂取するのも、実践面から参考にならない。


(3)Effects of soluble milk protein or casein supplementation on muscle fatigue following resistance training program: a randomized, double-blind, and placebo-controlled study
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4107592/
水溶性ミルクタンパク質群とカゼイン群の間でストレングスと筋肥大に有意差なかっただけでなく、プラシーボ群とも有意差なし。プロテインドリンクのタンパク質含有量が一回あたり10g(トレーニング日は3回、休息日は2回摂取)と少なかったためなのか、それとも一日のトータルのタンパク質摂取量がプラシーボ群でも十分だったのか。

8/06/2017

クレアチンについて

Examine.comのクレアチンについての記述を適当にピックアップして書きます。クレアチンは膨大な研究があるので自分で調べるのは無理っす。


★クレアチンの種類
- 市場には色々な種類があるけど、クレアチン・モノハイドレートが最も安価で最も効果的。粒を細かくした(micronized )クレアチン・モノハイドレートも、水に溶けやすくて実用面から使いやすい。


★摂取量
- ローディングフェーズでは1日に体重1kgあたり0.3gを5-7日間、その後の維持フェーズでは1日に体重1kgあたり0.03g以上を継続的に摂取する。ただ維持フェーズの0.03g/体重1kgという最低ラインは特に運動していない人に有効な量なので、運動量の多い人には足りないだろう(水泳のエリート選手が2g摂取を続けても筋肉中のクレアチンレベルが変わらなかったという研究がある)。
- 運動に熱心な人は一般的に維持フェーズで1日5g摂取する。筋肉量が多く活動量が多い人は、1日5-10gを摂取すると上積みの効果があるかもしれない。
- 早く効果を得たい人はローディングを行ったほうが良いが、ローディングを行わず最初から維持フェーズの摂取量を続けても、フルに効果を得るまで時間がかかるだけで最終的には同じ状態になる。


★摂取タイミング
- 運動前か運動後に摂取するのが良さそう。研究では有意差無しだけど、効果量や個人差の状況を見ると、どちらかと言うと運動後の方が良さそう。
- クレアチンと炭水化物を同時に摂取すると、グリコーゲン貯蔵が促進される。炭水化物と同時に摂取してもクレアチンの筋肉への取り込みは促進されないようだ。
- グリコーゲン貯蔵促進や、後述する胃腸の不具合回避の観点から、運動後にタンパク質と炭水化物を含む食事と一緒にクレアチンを摂取するのがおすすめ。


★注意点
- 十分な量の水を同時に摂取すること。水をあまり飲まず多量のクレアチンを摂取すると、胃痙攣になる場合がある。クレアチン・モノハイドレートで胃痙攣しやすい体質の人は、水に溶けやすいタイプのクレアチンを摂取すると良い。
- 一度に大量のクレアチンを摂取すると吐き気を催したり下痢になる場合がある。その場合は、一日複数回に分けて、食事と同時に摂取すると良い。
- 神経が鋭敏になったり落ち着きがなくなったりするという報告がある。プラシーボ効果かもしれないが、そのような症状を感じる人は寝る前には摂取しないほうが良いだろう。
- 一般的にローディングフェーズでは血中のクレアチニンレベルが上昇し、維持フェーズでは上昇しない。クレアチニンレベルは腎臓機能の生体指標として用いられるが、ローディングフェーズでのクレアチニンレベルの上昇は腎臓のダメージを意味するものではない。腎臓の状態を正しく示すクレアチニン値を得るためには、健康診断のタイミングでローディングを行わない方が良いだろう。


★運動面の効果
- 筋肉中のクレアチンレベルが上昇することで、ATP-PCr系のキャパシティが増大し、パワーとストレングスが向上する。初心者に比べると、エリートアスリートでは効果が小さい。
- 筋肉の保水量が増えることで体重が増加する。一般的には1-2kg程度増える。筋肉量の多い人がクレアチン摂取量を多めにすると2kg以上増えることも。クレアチン摂取量が少ないと体重増加も小さくなる。
- 筋肥大(タンパク質合成による筋肉組織の増加)を促進する効果がありそうだが、多くの研究では筋肉の保水量の増加と切り分けるのが困難。
- 運動中に疲労をやや軽減するかも。
- 筋肉へのダメージをやや軽減する。
- 筋持久力をやや向上させる。
- 持久運動での筋肉のカタボリックを抑制するかも。
- 体温上昇による疲労を低減する。


★パフォーマンス向上の大きさ
- クレアチンの効果は個人差が大きいが、一つの目安として数字を出すと、レジスタンストレーニングとクレアチン摂取を組み合わせると、プラシーボ群に比べてストレングス・パワーが2倍前後伸びることがメタアナリシス研究で示されている。
- トレーニング歴があってクレアチン摂取歴のない若い男性だと、ベンチプレスがプラシーボ群に比べて+7kg、スクワットが+10kg伸びた。
- クレアチン群とプラシーボ群の1RMの差はトレーニング8週間まで開き、その後は差が同じ。


★健康面の効果
- 食後の血糖値の上昇をやや抑えるかも。
- 骨密度をやや高めるかも。
- うつ状態の改善。SSRIの効果を増大させるようだ。
- テストステロンレベルの一時的な上昇。
- ベジタリアンの認知能力をやや向上させるかも(肉や魚にクレアチンが含まれていて、これらの食品を食べないとクレアチン不足になる)。
- 運動によるミトコンドリアDNAへの酸化ダメージをやや軽減。
- 尿酸レベルをやや低下。


★食品の含有量
クレアチンは動物の骨格筋や心臓に多く含まれている。レバーなど内蔵の含有量は少ない。以下は生肉の含有量で、調理すると低下する。長時間の加熱や水分の喪失によりクレアチンが多く失われる。
- 牛肉・豚肉1kgあたり約5g。
- 鶏肉1kgあたり約3.4g
- 魚も肉と同じくらいのクレアチン含有量。ニシンが多め。エビはほぼゼロ。


★健康への悪影響
特になし。


★男性型脱毛症を進行させるリスク
クレアチンの摂取によりDHTレベルが上昇したとする研究が一つだけある。従ってDHTレベルの上昇により、男性型脱毛症を進行させるリスクがある。ただ同様の結果を報告した研究は他になく、またクレアチンの摂取と男性型脱毛症の進行の関係について直接調べた研究もない。とりあえず男性型脱毛症ではない人は大丈夫だろう。

7/27/2017

ベンチプレスの背中のアーチ


上の動画を見て、なるほど~と思ったので紹介。


★脊椎の怪我リスク
脊椎は自然なS字カーブのニュートラルポジションを逸脱しつつ、強い力が加わると怪我のリスクが高くなる。デッドリフトやスクワットは圧縮方向の力とせん断方向の力が強く加わるので、脊椎はニュートラルポジションを維持する必要がある。

ベンチプレスでは、良いフォームで行えば脊椎に強い力が加わらないので、脊椎がニュートラルポジションから多少逸脱しても怪我のリスクは低い。もちろん過度に逸脱すれば怪我のリスクは高まる。

脊椎の安全or危険は、以下のとおり。(脊椎が健康であることが前提)
a) ニュートラルポジションを維持しつつ強い力が加わる→安全
b) ニュートラルポジションから逸脱するが強い力は加わらない→安全
c) ニュートラルポジションから逸脱しつつ強い力が加わる→危険


★ベンチプレスでの良い背中のアーチの作り方
1) 腰椎を限界まで反るのではなくて、背中全体を反る。腰椎は自然にカーブしているのであまり反ることを意識せず、胸を突き上げ胸椎を反るのを意識する。動画のような背中のアーチを作るには胸椎の柔軟性が要求されるので、普段から胸椎の柔軟性トレーニングをしておく必要がある。猫背・反り腰の人は、まずは姿勢矯正を行わないと、良いアーチが作れないだろう(下の参考記事を参照)。

2) 尻はベンチにつける。下の「悪い背中のアーチ」の図のように、尻を浮かして、腹を突き出して、腰を反ると、腰への負担が大きくなる。

3) 臀筋に力を入れる。そうすると骨盤の前傾(=腰椎の過度の反り)を防げるし、脚から上半身への力の伝達(レッグドライブ)がやりやすくなる。

4) 肩甲骨は引き寄せて動かさない。動かすのは肩関節と肘関節のみ。脊椎も肩甲骨も動かさない。

5) 挙上中はグラグラしない。脊椎にも肩関節にも危険。





★目的によるアーチの違い
競技としてベンチプレスを行う場合は、限界までアーチを作って挙上距離を短くしたほうが有利になる。単なる筋トレとしてベンチプレスを行う場合は、挙上距離を長くした方が筋肥大効果が高まり、力を発揮できる関節の角度の範囲が広くなる。ただ、アーチを作ると肩関節への負担が小さくなるので、肩の怪我リスクとトレーニング効果のバランスを考えると、筋トレ目的のベンチプレスでは軽くアーチを作るのが良い思う。



参考記事:
胸椎の姿勢矯正

バランスの取れたトレーニング種目の選択-エクササイズ編-

骨盤の前傾の矯正

7/21/2017

減量時に助かるアイテム(※個人の感想です)

★タンパク質源
・カッテージチーズ
カッテージチーズの主成分であるカゼインは消化吸収が非常に遅いので、アミノ酸の長時間供給の観点から減量時に向いている。カロリーオフカルピスを原液で少量かけると食べやすい。
カルピスの他のフレーバーをかけると色々な味になって楽しい。個人的には以下のレモン味がベスト。


・青魚の缶詰
オメガ3脂肪酸の摂取も兼ねて。鯖やサンマの塩焼きなど。蒲焼きや味噌煮は米が無いと味が濃い。水煮単品はちょっとキツイ。
味はこれが良かった。


・ミセラーカゼインプロテインパウダー
オプティマムのナチュラルカゼインのチョコ味とザバスホエイストロベリー味を混ぜて、少量の低脂肪乳で練り練りするとイチゴチョコ味になっておいしい。トルコアイスくらいの固さに練る。
国内メーカーでは普通の価格で買えるミセラーカゼインが見つからない、海外メーカーの人工甘味料の味付けが苦手、ということでオプティマムのナチュラルカゼインを個人輸入しています。





あとはツナ缶とか。私は偏食で肉が食べられないけど、サラダチキンなど脂質の少ない肉も良いですね。


★野菜
・ノンオイルドレッシング
生野菜に

・マジックソルトなど
茹で野菜に
・シーズニング
お酒にも合う低カロリーの料理が簡単に作れる



★旨味成分
旨味成分があるものを飲み食いすると空腹感を抑えやすい。

・低カロリーのインスタントスープ

・わさび茶漬けの元
乱切りキュウリにふりかけるとおいしい。お湯入れてスープとして飲むのもなかなかおいしい。

・ハードタイプのチーズ
パルミジャーノ・レッジャーノなど。旨味成分が豊富。少量をかじる。



★デザート
・ゼロカロリーゼリー
ブルボンも同じようなの出してるけど、たらみの方が食べごたえあって好み。

・かき氷器で氷を削ってCCレモンゼロをかける。


★便通対策
私の場合は以下の2点の組み合わせで毎朝ウンコが出ます。

・1日分の食物繊維
カゼインプロテインパウダーを練り練りしたものに乗せるとクリスピー食感が加わって美味。

・新ビオフェルミンS


関連記事:
減量時の食事調整例

[ボディメイク記録] 減量結果

前回の記録 5月27日
今回の記録 7月20日


★現状記録
筋グリコーゲンレベルは低い。直前のトレ履歴は、当日に上半身、前々日に下半身。


★身体計測
身長:180cm
体重:71.7kg(-6.3kg)
バスト:98.5cm(-1.0cm)
ウェスト:75.0cm(-7.0cm)
ヒップ:89.5cm(-4.5cm)
右上腕:28.5cm(-1.5cm)
左上腕:28.5cm(-1.5cm)
手首径:16cm
右大腿:55.5cm(-2.5cm)
左大腿:54.5cm(-2.5cm)
右カーフ:35.0cm(-1.0cm)
左カーフ:34.0cm(-1.0cm)
足首径:19cm


★主な種目のトレーニング重量
ベンチプレス・・・80kg×2reps
デッドリフト・・・125kg×1reps
スクワット(スミスマシン)・・・80kg×5reps
ヒップスラスト・・・85kg×10reps


★トレーニング種目明細
セット数: メイン3セットくらい。
レップ数:1セット目1-3レップ、2セット目3セット目5レップくらい
RPE:9か10(限界まで1レップ残しか0レップ残し)
インターバル:3-4分

重量は落とさず、レップ数を減らし、RPEを高めた。セット数も減らした。筋肉を維持できる最低限のトレーニングを目指した。トータルのボリューム(重量×セット数×レップ数)は通常時の半分くらいになっている。
減量中はエネルギー不足によりRMが低下。筋肉へのメカニカルな刺激はエネルギー十分の時のRMに対しての追い込み度(限界まで何レップ残すか)が関係すると考え、エネルギー十分の時のRPE7か8(限界まで3レップ残しか2レップ残し)と同じレップ数をやるには、エネルギー不足の時はRPE9か10が必要と考えた。またグリコーゲンレベルが低いので、低レップだとATP-PCr系の寄与が高まるのも好都合。セット間インターバルは長めにしてなるべく回復するように努めた。


メイン種目
- スクワット(週2回)
- デッドリフト(週2回)
- ベンチプレス(週2回)

補助種目
- ルーマニアンデッドリフト
- ヒップスラスト
- インクラインベンチプレス(スミスマシン)
- ナローグリップベンチプレス
- インクラインベンチにうつ伏せになってラテラルレイズ
- 片腕トラップレイズ
- キューバンプレス
- フェイスプル
- ローイングマシン
- カーフレイズ
- 片腕ランドマインプレス
- ショルダープレス
- サイドレイズ
- フロントレイズ
- デッドバグ


★運動内容
- 筋トレは基本的に上半身を週2回、下半身を週2回。
- 有酸素運動は、ウェイトトレーニング後に20分くらい有酸素マシン(エリプティカルトレーナー)を漕いだ。それと保育園の送り迎えで平日は計一時間くらい歩いた。


★食事内容
- 食事回数は一日2回。昼と夜。トレーニング日はトレーニング直前にホエイプロテインパウダー。総カロリーはトレーニング日でもそれ以外でもあまり変わらず。
- 序盤から炭水化物源の主食はカットし、特にリフィードは入れなかった。家庭の平和のため夕食内容は基本的に嫁任せなので、摂取カロリーを削れる時に削っていった。
- タンパク質の摂取量はだいたい2.5g/体重1kg/日。動物性食品とプロテインパウダーのみ摂取量にカウント。
- 脂質の摂取量はあまり把握していないけど、卵や魚や乳製品など高たんぱく質食品に付随する脂質を普通に摂取した。
- 健康のため、野菜や豆も摂取。
- 週末に缶ビールを1本飲んだ。お酒弱いので1本でも酔えて有り難い。


★雑感
- 摂取カロリーを削れる時に削っていったら、以前よりも減量ペースが速くなった。グリコーゲンと水分の変動を除いて、2ヶ月弱で体重が6%くらい減少。筋トレは維持を目指してトレーニングボリュームを半分くらいに減らした。筋トレ重量の下がり方はこれまでの減量とあまり変わらない感じだった。
- 維持カロリーだと、若い初心者はボリュームを1/3にしても筋肉量と筋力を維持・向上できるという研究がある。減量時にトレーニングボリュームを減らしても筋肉量を維持できるのか調べた研究が存在するのか知らないけど、とりあえず私の身体はボリュームを半分に減らしても大丈夫なようだ。いい感じで無駄な努力をしなくて済んだ。
- もうちょっと体脂肪を減らしたいけど、これ以上減らしても摂取カロリー戻すと体脂肪が今くらいのレベルにすぐ戻って徒労感があるので、とりあえずこの程度にしておくのが自分の身体にとっては費用対効果が良いだろう。それに育児の負荷があるので、多くの労力を割けない。
- 終盤はグリコーゲンが抜けすぎて力が入りにくくなった。あと睡眠の質が落ちた。


★怪我
- 昨秋痛めた右肘の上腕骨内側上顆炎はだいぶ良くなってきたが、スクワットでバーを強く握るとまだ痛むので、完全には治っていないようだ。懸垂とアームカールがまだ出来ない。


★今後の予定
- とりあえず維持してからゆるやかに増量。減量は生活への負荷が大きいので、あまり体脂肪を増やしたくないなあ・・・。
- クレアチンを試してみるつもり。もう若くないので、元気なうちに色々と試したい。

7/11/2017

低炭水化物食とタンパク質源の健康への影響


★低炭水化物食と死亡リスクのメタアナリシス研究
(1) Low-Carbohydrate Diets and All-Cause Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3555979/

10年20年といった長期のスパンの観察研究を集めて、システマティックレビューとメタアナリシスを行った研究。聖路加国際病院の能登洋氏他の研究。この方の名前で検索すると、糖質制限派の方々から叩かれてる記事が出てきますね。

まあ余計なことはあまり書かず、中身を見ていきます。

摂取カロリーに占める炭水化物の割合を十分位数に区切ってスコア付け。最も炭水化物摂取量が低いグループは総摂取カロリーに占める炭水化物の割合が30-40%くらい、最も摂取量が多いグループは60-70%くらい。

最も炭水化物摂取が多いグループの全死因死亡率に対しての、最も炭水化物摂取量が少ないグループの全死因死亡率をリスクレシオとして算出。リスクレシオは約1.3となった。

つまり最も炭水化物摂取が多いグループに比べると、最も炭水化物摂取量が少ないグループは死亡リスクが1.3倍になる。炭水化物の摂取量が少ないと死にやすくなるという、糖質制限派の人にとっては受け入れられない結果になっている。

この研究の強みは、人種構成や食習慣が異なる様々な地域のデータをまとめて解析していること。弱みは、タンパク質源がどのような食品か、炭水化物源がどのような食品か、どのような脂質を摂取しているか、食物繊維などの栄養素の摂取量はどうなのかといった点が考慮されていないこと。



★植物性食品と動物性食品の影響
(2) Low-carbohydrate diets and all-cause and cause-specific mortality: Two cohort Studies
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2989112/
(1)の解析対象にもなっている研究。アメリカの医者と看護師が対象のコホート研究。栄養と健康について普通の人よりも意識が高いと考えられる。

この研究では、年齢、運動、BMI、エネルギー摂取量、飲酒、高血圧、喫煙、マルチビタミン摂取、閉経、閉経後のホルモン療法で結果を調整している。(当記事内の他のコホート研究でもメジャーな交絡因子については調整されてる)

最も低炭水化物グループで摂取カロリーに占める炭水化物の割合が35-37%%くらい、タンパク質が動物性18%くらいで植物性4%くらい。それほど極端な低炭水化物ではないけど、各階級のリスクレシオを見ると、低炭水化物になるほど死亡リスクが上がっているので、もっと極端な低炭水化物食だとさらに死亡リスクが高まると考えられる。

ただこの研究はここからが面白くて、低炭水化物食でも動物性食品を多く摂取すると死亡リスクが高まり、植物性食品を多く摂取すると死亡リスクが低くなる(下図参照)。つまり植物性食品を積極的に食べる食生活なら、低炭水化物食になるにつれて死亡率が下がる。主なカロリー源がパンやパスタやお菓子やジュースなどの精製された炭水化物から、ナッツや豆やオリーブオイルなどに置き換わっているからだと考えられる。また植物性食品を積極的に食べる食生活のグループでも赤身肉を1日70gくらい食べている。肉はほどほどに食べ、植物性食品を多く食べるのが健康に良いのだろう。

動物性食品中心の食生活では、赤身肉の健康にネガティブな成分の摂取が増えることに加えて、食物繊維やフィトケミカルの摂取が少ないことが死亡リスクに影響していると考えられる。いきなり赤身肉を槍玉に挙げていて違和感あるかもしれないけど、赤身肉とその他の動物性食品の健康への影響についてはこれから詳しく見ていく。

アメリカ人の高炭水化物食なんてピザやフライドポテトやケーキや菓子やジュースばかりだろうけど(偏見)、それでも動物性食品よりも炭水化物中心に食べる方が死亡リスクが低い。





★赤身肉
要点:アメリカ人ばりに赤身肉をたくさん食べると死亡リスクが高まる。日本人の常識の範囲内で食べるのは問題ないだろう。赤身肉を食べなすぎても死亡リスクが高まるかもしれない。

(3) Red Meat Consumption and Mortality: Results from Two Prospective Cohort Studies
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3712342/
(2)の研究と同じ調査データを使用した研究。赤身肉の摂取量が増えると、それに比例して死亡率が高まる(下図参照)。ヘム鉄の過剰摂取、N-ニトロソ化合物、複素環アミン、多環芳香族炭化水素などの発がん性物質、加工肉のナトリウムと亜硝酸塩、これらの物質の過剰摂取が死亡率の上昇に影響を与えていると現時点では推測されている。

下のグラフでの1servingは85g。例えば一日あたり赤身肉200gを食べ続けると、死亡リスクが約1.5倍になる。BMIやカロリー摂取量など主な交絡因子に加えて、ホールグレイン・果物・野菜の摂取量でも調整済みの数字なので、体型に気をつけて太らないようにしても、野菜や果物も食べても、赤身肉をたくさん食べ続けると死亡リスクが高まる。加工肉(ハムやソーセージ)でも非加工肉でも死亡リスクは高まる(Table 2)。脂質が少なくても高まるだろう。



(4) Meat intake and cause-specific mortality: a pooled analysis of Asian prospective cohort studies.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3778858/
調査対象がアジアの研究。赤身肉を食べる量が増えると死亡率がやや下がる。上のアメリカの研究と結果が異なるのは、もともとの赤身肉の消費水準がアメリカに比べてアジアでは大幅に少ないためと思われる。アメリカみたいに赤身肉を食べすぎるのは死亡率を高める要因だけど、食べなすぎるのも健康には良くないのかもしれない。もしくはアジアでは赤身肉を食べられるということが生活水準の豊かさの指標になっていて、豊かだから医療へのアクセスなども良好で死亡率が低いということなのかもしれない。



★飽和脂肪酸
要点:赤身肉とセットで語られることの多い飽和脂肪酸もついでに。飽和脂肪酸については気にしなくて良さそうだけど、牛脂に多く含まれるフィタン酸は糖尿病リスクを高めるかもしれない。

(5) Intake of saturated and trans unsaturated fatty acids and risk of all cause mortality, cardiovascular disease, and type 2 diabetes: systematic review and meta-analysis of observational studies
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4532752/
飽和脂肪酸は健康に悪くないという考えが今は優勢のようだ。しかし細かく見ていくと、飽和脂肪酸にも種類があり、含まれる炭素の数が偶数(even)か奇数(odd)かで分類され、乳製品に多く含まれる種類の飽和脂肪酸(odd-chain)は糖尿病リスクを下げ、牛肉などに多く含まれる種類の飽和脂肪酸(even-chain)は糖尿病リスクを高める可能性がある。ただ、血中のeven-chain飽和脂肪酸は、食品の摂取よりも炭水化物やアルコールからの脂質合成に関連しているという見方もあるし、耐糖能に関連するodd-chain飽和脂肪酸は摂取よりも体内合成によるものという見方もある。

(6) Odd Chain Fatty Acids; New Insights of the Relationship Between the Gut Microbiota, Dietary Intake, Biosynthesis and Glucose Intolerance
https://www.nature.com/articles/srep44845
2017年の研究で、動物実験と人間での実験を組み合わせたもの。乳製品に多く含まれるodd-chain飽和脂肪酸であるC15:0は食品摂取量と血中レベルが相関するが、C17:0は相関しない。C17:0の血中レベルは体内合成次第と考えられる。フィタン酸(牛脂に多く含まれる)とC17:0の血中レベルが逆相関していて、フィタン酸がC17:0の体内合成(C18:0からのα酸化)を妨げるようだ。動物実験だとC15:0の血中レベルは耐糖能と相関なしだが、C17:0の血中レベルが耐糖能と逆相関する。つまり赤身肉の脂質が糖尿病リスクに関わるとしたら、飽和脂肪酸ではなくてフィタン酸が悪影響を与えているのかもしれない。その場合はフィタン酸の体内での代謝が直接的に、もしくはC17:0に耐糖能に関わる働きがあってフィタン酸がC17:0の血中レベルを下げることで間接的に悪影響を与えていると考えられる。
またC17:0の摂取量と血中レベルが相関しないことから、乳製品が糖尿病リスクを抑えるというのも、乳製品に多く含まれるC15:0やC17:0の効果ではなくて、その他の生物活性物質の影響なのかもしれない。



★乳製品
要点:乳製品の摂取量が多くなると、前立腺がんのリスクが高まる。乳製品の摂取量が多く、血縁者に前立腺がんを患った人がいる場合は、前立腺がんに注意したほうが良いだろう。乳製品は健康に良い面もある。トータルの健康への影響を考えた場合、前立腺がんリスクを補って余りあるかもしれない。乳製品の摂取は全死因死亡率には影響なし。

(7) Dairy products intake and cancer mortality risk: a meta-analysis of 11 population-based cohort studies.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5073921/
牛乳で男性の前立腺がんリスクが増大する以外は、ガンの死亡率に影響なし。

(8) Dairy consumption and the risk of 15-year cardiovascular disease mortality in a cohort of older Australians.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23389303
心臓血管の疾患には影響なさそう。

(9) Dairy products, calcium, and prostate cancer risk: a systematic review and meta-analysis of cohort studies.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25527754
牛乳、低脂肪牛乳、チーズでも前立腺がんリスクが上がる。乳製品の摂取を1日400g増やすごとに、前立腺がんリスクが7%上がる。

(10) Milk and dairy products: good or bad for human health? An assessment of the totality of scientific evidence.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27882862
乳製品は一部のガンを抑制したり、どっちかというと健康に良い傾向みたい。全死因死亡率には影響なし。

(11) Proliferative effect of whey from cows' milk varying in phyto-oestrogens in human breast and prostate cancer cells.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22280936
試験管内の実験だけど、ホエイ(液体)に前立腺がん細胞の増殖効果がある。ホエイが除かれているチーズでも前立腺がんリスクが上がるので、ミルク全体に含まれる何らかの生物活性物質が前立腺がんリスクを上げるようだ。ホエイプロテインパウダーでもその物質は残っているのだろうか? 前立腺がんリスクのみを気にするのなら、なるべく精製度の高いプロテインパウダーの方がリスクが低くなるかもしれない。その分、健康に良い影響を与える生物活性物質も減るので、トータルでの健康へのリスクを考えた場合、どちらが良いのかは不明。ただプロテインパウダーだとミルク換算ではかなり大量に摂取することもできるし、タンパク質源は分散させるにこしたことはないだろう。

(12) A milk protein, casein, as a proliferation promoting factor in prostate cancer cells.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25237656
こっちはカゼインを使っての試験管内での実験。カゼインでも前立腺がん細胞の増殖効果が確認された。



★魚
要点:脂質の多い魚はほどほどに食べるのが良さそう。

(13) Fish consumption and mortality in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition cohort
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4356893/
研究対象はヨーロッパの人。魚の摂取量と全死因死亡率に相関なし。トレンドとしては脂質の多い魚を食べなすぎでも、食べ過ぎでも死亡リスクが上がる傾向(有意差は無し)。魚は水銀やダイオキシンやポリ塩化ビフェニルなどの汚染物質が含まれている可能性があって、ダイオキシンやポリ塩化ビフェニルは脂質に溜まるので、食べ過ぎでも健康に悪影響が出るのかもしれない。もしくはデンマークなどの特定の国の魚の食べ方(燻製や酢漬け)が発がん性に影響しているのかも。ただ食べなすぎでも魚の健康効果を得られなくなるので、ほどほどに食べるのが良いだろう。

他の研究では、魚の摂取量と死亡率には相関無しか、摂取量が増えると死亡率が下がるといったものも出ている。



★鶏肉
要点:鶏肉の健康への悪影響はあまり気にしなくて良さそう。

(14) Prospective investigation of poultry and fish intake in relation to cancer risk
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3208759/
アメリカ人対象。魚と鶏肉をまとめて白身肉と呼んで、赤身肉を白身肉に代替したとすると、多くのガンの発生率が下がる(一部のガンは発生率が上がる。Figure1)。赤身肉の摂取量をそのままで、鶏肉の摂取量を増やしても、ガンの発生率が全体で見て上がる感じではない(Figure2)。

(15) Red Meat Consumption and Mortality: Results from Two Prospective Cohort Studies
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3712342/
アメリカ人対象。この研究では赤身肉を鶏肉に代替したとしたら、死亡率が下がる。魚と代替した場合よりも死亡率が下がる。ナッツでも鶏肉でも魚でも低脂肪乳製品でもホールグレインでも豆でも、赤身肉と代替すると死亡率が下がる(下図参照)。

あと(4)のアジア人を対象とした研究で、鶏肉の消費量と死亡率の関係のデータもあって、これは鶏肉の消費量が増えると死亡率が下がる(Table3)。


★卵
要点:毎日1個や2個なら問題なさそう。極端に卵を多く食べるケースがあまり無いのでデータが無い感じ。そもそも卵は脂質が多いので、総摂取カロリーの面から普通はあまり多く食べないだろう。

(16) Egg Consumption and Human Cardio-Metabolic Health in People with and without Diabetes
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4586539/



★炭水化物
要点:精製度の高い炭水化物はあまり多く食べない方が良さそう。

(17) Amount, type, and sources of carbohydrates in relation to ischemic heart disease mortality in a Chinese population: a prospective cohort study
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4144114/
シンガポールの中国系対象。虚血性心疾患のリスクのみだけど、トータルの炭水化物摂取量はリスクに関係ない、デンプンの摂取量が増えるとリスクが上がる、米を麺類に代替するとリスクが上がる、米を野菜や果物や全粒粉パンに代替するとリスクが下がる。ただ米と一緒に食べられることが多い食べ物が疾患リスクに影響を与えている可能性があって、デンプンの過剰摂取が問題なのか、一緒に食べられることの多い食べ物が問題なのか切り分けるのは困難とのこと。

(18) Dietary Glycemic Load and Index and Risk of Coronary Heart Disease in a Large Italian Cohort
http://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/225342
イタリア人対象。精製度の高い炭水化物をたくさん食べると、女性は冠動脈心疾患リスクが高まる。男性は有意差なし。

(19) High carbohydrate intake from starchy foods is positively associated with metabolic disorders: a Cohort Study from a Chinese population
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4652281/
中国人対象。デンプン摂取量とメタボになるリスクは相関、デンプン以外の炭水化物摂取量とメタボリスクは相関無し。



★長期的な糖質制限食について
以上の知見を元に、長期的な糖質制限食についての個人的なコメントを書いておきます。

a) カロリーオーバーになっているので、一日のうち一食はお米を抜くといったライトな糖質制限。
→おすすめ。カロリーオーバーは万病の元。炭水化物を抜くなら朝か昼がおすすめ。

参考:ダイエットでは夜に炭水化物を集中的に食べよう

参考:インスリンにまつわる迷信と事実

b) 胚芽米、雑穀米、全粒粉など精製度の低い穀物や豆類やイモ類やナッツなどから主にカロリーを摂取し、タンパク質源として肉、魚、乳製品、卵をバランス良く食べ、野菜もしっかり食べる常識的に考えて健康的な食生活。
→非常におすすめ。手間とお金がかかるけど・・・。

c) 米やパンなど糖質源となる食品はなるべく食べず、そのかわりに赤身肉をたくさん食べる食生活。
→おすすめしない。

d) 糖質を多く含む食品はすべて悪者として、米やパンだけでなくイモや豆類や根菜や果物まで拒否する食生活。
→おすすめしない。

e) ケトジェニックダイエット
→特定の疾患の人と、極度に低い体脂肪率を目指す人が短期的に行う以外は、おすすめしない。

参考:女性の糖質制限

参考:高タンパク質/低炭水化物食がメンタルに及ぼす影響



以上は、運動習慣は平均レベル、カロリーオーバーにならず普通体型を維持するのが条件。運動量が多い人は精製された炭水化物の摂取量を増やしても良いと思う。運動には心臓血管系やインスリン感受性への好影響がある。それに精製度が低くて食物繊維たっぷりのヘルシー食生活で、運動量が多い人が必要な摂取カロリーを食べようとすると消化能力が追いつかなくなってしまう。摂取カロリー1000kcalあたり食物繊維10g程度を目安に食べると良いと思う。運動量が多いとタンパク質の摂取量も増やす必要があるので、タンパク質源は分散させよう。

今回の記事は、健康を主眼として考えた場合の話で、多少リスクが上がってもいいから好きなものをたくさん食べるというのも選択肢の一つ。その場合も、色んな食べ物を分散して食べ、適度な運動を行うと健康を害するリスクを抑えることが出来るだろう。

大切なのは、「○○という食品は健康に良い」「□□という食品は健康に悪い」「△△のカテゴリの食品は避け○○のカテゴリの食品はいくらでも食べて良い」といった善悪二元論みたいなアプローチは止めること。

現時点の科学で解明できていることなんてごく僅かだし、部分最適は全体最適を意味しない。細胞レベルの挙動や特定の健康指標に関する短期の実験結果が、数十年のトータルでの健康への影響を説明するわけではない。現状わかっている部分的なことだけ見て、それを元に「最高の食生活」を組み立てるのは浅知恵だろう。特定の食品ばかり食べず、特定のカテゴリの食品を排除せず、なるべく多くの食品をバランス良く食べリスク分散することが最も良い方法だと思う。

またアップサイドとダウンサイドのリスクを考えても、ケトジェニックダイエットのような特殊な食生活はうまみがない。例えば若い時の株式投資だったら、少数銘柄に集中投資するのも一つの選択肢になる。上手くいったときのリターンが大きいし、失敗してもお金が無くなるだけで若ければやり直せる。でも特殊で極端な食生活は、仮に上手くいったとしても寿命が大幅に伸びるわけではないし、何十年も続けて失敗したらもうやり直せない。アップサイドが限定的で、ダウンサイドがどれだけあるかわからず、やり直しがきかない。うまみの無い賭け。

あと、「人類の歴史を考えると農耕が始まったのはごく最近で、それ以前の人間の生活では○○の食材はほとんど食べてない。人間の身体はその当時のような食生活に適応しているから、現代でもそういう食生活をすると健康で長生きできる」といったストーリーを極端な食生活の論拠にするのを見かけるけど、この考え方は根本的に間違っている。進化による適応はその性質をもたらす遺伝子が繁栄したからであって、個体が健康で長生きしたからではない。個体は遺伝子の使い捨ての乗り物であり、基本的には繁殖を終えるまで元気に動けばよく、それ以降も丈夫で長持ちする個体になっても無駄にコストがかかるので遺伝子拡散競争で不利になる。

ただ人間は子孫の繁栄を助けることで遺伝子の拡散を後押しできるから、生殖・子育てを終えたあとも個体が健康で長生きしたほうが有利な面がある。しかしそれを考慮しても、狩猟採集時代の平均寿命は死亡率の高い幼少期を生き延びたとしても30年や40年だろうから、現代人の中高年以降の健康と長生きには選択圧はかかっていないと考えられる。従って狩猟採集時代の食生活が、80年生きる現代人の健康と長寿に良いか悪いかは、前述のストーリーからは何も言えない。


6/23/2017

筋トレの消費カロリー

筋トレでどれくらいカロリーを消費するのか調べてみました。


★研究例
エネルギーの消費は、運動中(セット間インターバル含む)と運動後の両方で行われる。筋トレの消費カロリーはどのくらいあるのか、日常的にトレーニングをしている人を対象とした研究を中心に見てみる。

(1)The effect of between-set rest intervals on the oxygen uptake during and after resistance exercise sessions performed with large- and small-muscle mass.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21993043

被験者:男性
ボリューム:15RMの重量で10レップ×5セット
種目:1種目(レッグプレス or チェストフライ)
インターバル:1分 or 3分
運動後測定時間:90分間
消費カロリー:運動中と運動後合わせて、レッグプレスが約90kcal、チェストフライが約50kcal(インターバル1分or3分で違い無し)。


(2)The metabolic costs of reciprocal supersets vs. traditional resistance exercise in young recreationally active adults.
http://clinicahomeostase.com.br/wp-content/uploads/2015/03/Valmor-Tricoli_JSCR-2010-superset.pdf

被験者:趣味で運動している若い男性。平均値は身長175cm、体重76kg。
ボリューム:70%1RMの重量で各セット疲れるまで×4セット×6種目。スーパーセットと通常トレの2グループ。
種目:6種目(ベンチプレス/ベントオーバーロー、アームカール/トライセップスエクステンション、レッグエクステンション/レッグカール)
インターバル:スーパーセットは1種目目→2種目目は即座、1種目目に戻る時は1分。通常トレは各セット間1分。
トレーニング時間:スーパーセットは29分、通常トレは36分。
運動後測定時間:60分間
消費カロリー:運動中はスーパーセットが241kcal、通常トレが228kcal。運動後はスーパーセットが19kcal、通常トレが14kcal。血中乳酸濃度から算出した無酸素解糖系の寄与はスーパーセットが18kcal、通常トレが17kcal。


(3)Effects of Load-Volume on EPOC After Acute Bouts of Resistance Training in Resistance-Trained Men
https://www.researchgate.net/publication/232532830_Effects_of_Load-Volume_on_EPOC_After_Acute_Bouts_of_Resistance_Training_in_Resistance-Trained_Men

被験者:トレーニング歴のある若い男性。平均値は、年齢22歳、身長177cm、体重88kg、体脂肪率9.9%、ベンチプレス1RM137kg、スクワット1RM177kg。 
ボリューム:85%1RMを各セット6-8レップ。4種目の重量×セット数×レップ数が計10000kgと計20000kg。
種目:スミスマシンを使用して4種目(スクワット、ベンチプレス、ベントオーバーローイング、ルーマニアンデッドリフト)
インターバル:2分
トレーニング時間:10000kgが44分、20000kgが90分。
運動後測定時間:12、24、36、48時間後に安静時代謝を測定。
消費カロリー:運動中の消費カロリーは10000kgが247kcal、20000kgが484kcal。運動後の測定タイミングでは安静時代謝の上昇は無し。


(4)Circuit weight training and its effects on excess postexercise oxygen consumption.
https://www.researchgate.net/profile/Edward_Hebert/publication/12711214_Circuit_weight_training_and_its_effects_on_excess_postexercise_oxygen_uptake/links/02bfe5112c787a9f92000000/Circuit-weight-training-and-its-effects-on-excess-postexercise-oxygen-uptake.pdf

被験者:トレーニング歴のある若い男性 平均値は身長180cm 体重85kg 体脂肪率16%。
ボリューム:75%20RM(41.4%1RM))の重量で20レップ。8種目を2周(サーキットトレーニング)
種目:8種目(レッグプレス、ベンチプレス、レッグエクステンション、ラットプルダウン、レッグカール、シーテッドロウ、トライセップスエクステンション、アームカール)
インターバル:20秒 or 60秒
トレーニング時間:インターバル20秒グループは13分、60秒グループは23分。
運動後測定時間:60分間
消費カロリー:運動中は20秒グループが191kcal、60秒グループが240kcal。運動後は20秒グループが52kcal、60秒グループが37kcal。


(5)Resistance and aerobic exercise have similar
effects on 24-h nutrient oxidation
http://www.luzimarteixeira.com.br/wp-content/uploads/2015/07/Resistance-and-aerobic-exercise-have-similar.pdf

被験者:日常的に運動している男性。平均値は年齢31歳、体重75kg、体脂肪率19.4%。
ボリューム:70%1RMを10レップ(4セット目は限界まで)×4セット×10種目。
種目:スーパーセットでマシン10種目(チェストプレス/ローイング、レッグエクステンション/レッグカール、トライセップスエクステンション/アームカール、クランチ/ミリタリープレス)
インターバル:スーパーセットを3分サイクル
トレーニング時間:60分
運動後測定時間:運動中と合わせて24時間(被験者のいる部屋まるごと測定)。食事コントロール有り(タンパク質割合15%)。尿(窒素)計測
消費カロリー:運動中322kcal、運動後148kcal



★筋トレによる消費カロリーの目安
扱える重量や短いインターバルのトレーニングをこなせる体力によって、トレーニングレベルを初級・中級と上級に分ける。上に紹介した研究だと(3)(4)が上級、それ以外が初級・中級。

運動時間30分あたりの運動中の消費カロリーを大雑把に書くと以下のようになるだろう。消費カロリーに影響を与える要因については、後ほど細かく見ていく。

a) フリーウェイトのコンパウンド種目中心に1セットあたり6-12レップ、インターバル2-4分の一般的なウェイトトレーニングを30間分行った場合。
初級・中級: 100-150kcal
上級: 150-200kcal

b) 1分以内の短いインターバルでの高レップウェイトトレーニングやサーキットトレーニングを30分間行った場合。
初級・中級: 150-250kcal
上級: 300-400kcal

これに加えて運動後の消費カロリーが24時間で20-150kcal程度だろうか。短いインターバルで高強度の運動を長時間やると、運動後の消費カロリーも大きくなる。


実用面ではこんな感じで良いだろう。それでは細かい話を書いていく。知っててもあまり役に立たないかもしれないけど、自分の勉強メモなので。



★運動中の消費カロリー
運動中の消費カロリーは、仕事(物理学)に概ね比例する。

ウェイトトレーニングにおいて身体が発揮する力がバーベルに対して行う仕事を単純化して書くと、

仕事=力×移動距離

つまり、より重いものをより長い距離動かすと、より多くカロリーを消費する。

- 一般的に下半身の種目の方が重量と動かす距離が大きいので、より多くのカロリーを消費する。
- 重量が同じならパーシャルよりもフルレンジの方が多くカロリーを消費する。
- 高重量を扱える上級者ほど、消費カロリーが大きくなる。
- (3)の研究のようにトレーニングボリュームを倍に増やすと、消費カロリーも倍になる。
- 同じトレーニングボリュームなら、インターバルを短くすると時間あたりの消費カロリーが大きくなる(トータルの消費カロリーはほぼ同じ)。



★運動後の消費カロリー
激しい運動を行った後は、休んでいてもしばらくの間は酸素の消費量が増加し、安静時代謝も上昇する。運動後の酸素消費量の増加のことをEPOC(Excess Postexercise Oxygen Consumption)と言う。

(2)の研究のデータから一般的な運動後の安静時代謝のグラフの例を示す。運動直後が最も大きく、その後は急激に下がっていく。

EPOCがなぜ起こるかざっくりした説明をすると、

a) ストレス反応
強度の高い運動によりストレス反応が起きる。交感神経が活発になり、体温・心拍が上昇し、呼吸が速くなり、体脂肪やグリコーゲンの分解によるエネルギーの動員が活発になり、「闘争か逃走か」に身体が備える。これが運動後もしばらく続く。

b) エネルギー源の補充
激しい運動で失われたATP/PCrの補充。有酸素性エネルギー代謝により、ATP/PCrを補充する。乳酸塩の一部は肝臓に運ばれピルビン酸塩に変換され、ATPを消費し糖新生でグルコースが生成され(コリ回路)、グリコーゲンの再合成が行われる。

c) 組織の回復・適応
ダメージを受けた組織を回復する。刺激が大きく適応が必要な場合は、筋肥大、腱・靭帯の強化、有酸素能力増大などの適応反応も起こる。


酸素の消費量が増え、安静時代謝が増加する要因は複数あって、全てが明らかになっているわけではないが、今のところわかっている主なメカニズムを書いていくと、

- ATP-PCrの再合成。運動直後の数分間に盛んに行われる。運動中のセット間休憩の時も行われている。
- ナトリウムイオンやカリウムイオンの再配分。細胞膜内外のイオンのバランス回復。
- トリグリセリド/脂肪酸サイクルの増加。体脂肪の分解・合成が増え、エネルギーが動員される。この分解・合成にはエネルギーが必要なので、消費カロリーも増える。(8)の研究参照。
- 体温・心拍が上昇し。呼吸が速くなる。消費カロリーが増える。
- 脂質代謝優位。グリコーゲンを多く消費する高強度の運動のあとは、脂質の代謝の割合が高まり、糖質はグリコーゲンの補充に回されやすくなる。1kcalを生み出すのに必要な酸素の量は糖質よりも脂質のほうが多いので、仮に消費カロリーが変わらなくても脂質代謝の割合が高まる時は酸素の消費量が増える。
- コルチゾールや甲状腺ホルモンや成長ホルモンやノルアドレナリンやイリシンやANPなどの各種ホルモンの効果。
- ヘモグロビンとミオグロビンへの酸素の貯蔵。
- 交感神経が活発になる。
- 筋肉のダメージの回復。タンパク質合成はコストの高い活動で、エネルギー消費量が増える。


酸素消費量の増加が続くのは、通常は運動後1時間程度。非常に強度の高い運動をすると24時間~48時間続くこともある。

酸素の消費量が増えれば、だいたいは安静時代謝も増える(消費カロリーが増える)。ただ脂質代謝の割合が高まることや、ヘモグロビンとミオグロビンへの酸素の貯蔵については、消費カロリーが増えているわけではない。

EPOCの大きさに影響するのは、運動強度、運動時間、セット間インターバルなど。高強度の運動を長時間、インターバルを短くして行うと、EPOCの程度が大きくなり運動後も長時間続くようになる。

多くの研究での運動プログラムは、被験者にとって普段のトレーニングに比べて新規の刺激になっている。現実ではトレーニングを繰り返すに従ってトレーニングに慣れ、身体が受ける刺激の程度も弱まって、EPOCも小さくなると考えられる。(3)の研究のように、継続的にトレーニングをしている人がいつもと同じようなトレーニングをした場合は、EPOCは長時間は続かないだろう。

もちろんトレーニングに慣れるのは良いことで、適度な慣れと適度な漸進的過負荷が向上には必要。仮にEPOCを最優先するなら、短いインターバルのトレーニングを繰り返すことで筋持久力が高まりサーキットトレーニング向きの適応が起こるか、トレーニングの強度を高くしすぎることで一週間はまともにトレーニングできないレベルの疲労状態になって、次のトレーニングに支障が出るかするだろう。



★エネルギー消費量測定方法の問題点
ほとんどの研究では、間接熱量計を用いて被験者の吐き出す息(呼気)を分析し、酸素消費量と二酸化炭素産生量からエネルギー消費量を算出している。この分析方法には問題点がいくつかある。

a) 測定時間の問題
運動後のエネルギー消費量の増加はだいたい1時間以内に終わることが多いが、運動強度が高かったりした場合は、わずかな安静時代謝の上昇が1,2日後まで続くことがある。12時間後、24時間後といったポイントでの測定を行っている研究もあるが、正確性を期すなら(5)の研究のように連続して測定するのが良いと考えられる。

b) 無酸素解糖系の問題
無酸素解糖系で乳酸塩を生成する際に失われるエネルギーは不可逆で、運動中も運動後も呼吸に表れない。乳酸塩が最終的に有酸素性エネルギー代謝で水と二酸化炭素になるとしても、無酸素解糖系部分の消費エネルギーは酸素の消費量の測定からは拾えない。詳しくは(9)の論文参照。従って高レップウェイトトレーニングやサーキットトレーニングなど無酸素解糖系の寄与が大きい運動の実際の消費カロリーは、間接熱量計の測定値から算出した数値よりも大きいと思われる。

(2)の研究では血中乳酸濃度から、この無酸素解糖系のエネルギー消費量を推測している。(9)の論文では、論文著者と学生がウェイトトレーニングでの血中乳酸濃度から無酸素解糖系の寄与を算出したら、1セットあたり3-12kcalになったと書かれている。ただ筋肉中と血液中の乳酸濃度は異なるので、血中乳酸濃度から算出する方法も正確ではないだろう(もちろん呼気のみから消費カロリーを算出するよりは良い)。

ちなみに当初貯蔵されていたATP/PCrも無酸素で運動中に使われるけど、最終的には運動後の有酸素性エネルギー代謝により再び貯められるので、これらのエネルギー消費は呼吸の測定で拾える。

c) タンパク質摂取量の影響
多くの研究が尿素窒素を測定しないで呼気のみから消費カロリーを算出する方法を用いているが、この方法では摂取エネルギーに占めるタンパク質の割合が12.5%と仮定している。トレーニングに熱心な人はその倍くらいタンパク質を摂取していることが多いので、被験者がトレーニングに熱心な人で研究者側で食事をコントロールしていない場合は誤差につながる。



★トータルの消費カロリーが増えるかどうか
運動するとNEATが減ってしまう人もいる。トータルの消費カロリーが増えるかどうかは個人差があるだろう(関連記事:トレーニング効果の個人差)。運動して疲れた~とゴロゴロしてると、運動と運動後の安静時代謝上昇で消費カロリーが増えてもNEATが減って、トータルではあまり意味がないかもしれない。



参考文献:
(6) 接熱量計によるエネルギー消費量と基質代謝の測定
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/24/5/24_5_1021/_pdf

(7) Effects of excess post-exercise oxygen consumption
http://www.scielo.br/pdf/rbme/v12n6/en_a18v12n6.pdf

(8) Triglyceride/fatty acid cycling is increased after exercise.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2392063

(9) Contribution of anaerobic energy expenditure to whole body thermogenesis
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1182393/

(10) 解糖 代謝マップ
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/glyclysis.htm

6/07/2017

ストレッチとウォームアップ

★静的ストレッチによる短期的なパフォーマンス低下
静的ストレッチを行ってすぐに運動をした場合、パワー(ジャンプ力など)、ストレングス(1RMなど)、スピード(スプリントなど)が低下することを示す研究が多くある。

中高レップのレジスタンストレーニングの最大レップ数も低下する可能性がかなり高い。筋トレの直前に静的ストレッチを行うと、行わなかった場合に比べてトレーニングボリュームが低下し、筋肥大効果も低くなることを示す研究もある。

静的ストレッチを長い時間(30-60秒以上)やったり、痛みが強くなるレベルまでハードにやると、パフォーマンスが大きく低下する傾向がある。


★静的ストレッチの長期的な効果
静的ストレッチを長期的に行うと、柔軟性が向上する。運動パフォーマンスの低下は無いとする研究が多い。

静的ストレッチを数週間続けると筋力が向上したという研究がいくつかある。だがこれはエキセントリックトレーニングと似たメカニズムで筋肉に負荷がかかったためだろう。普段から筋トレしている人にとっては、ストレッチでの負荷では過負荷にならないので、筋力向上や筋肥大は起きないと思う。

長期的な静的ストレッチによる身体の変化を考えると、理論的には運動パフォーマンスに微妙な影響が出るかもしれない。長期的な静的ストレッチでエキセントリックトレーニングと同様に筋肉の長さがが変わる可能性があって、そうすると最も力を発揮できる筋肉の長さ(関節の角度)も変わる。また筋肉が長くなったり羽状角が小さくなったりするとスプリントに有利になると考えられる。ストレングス競技には不利になるかもしれない。それとRFDが低下する可能性がある。実践面では、競技に必要な関節の可動域を得たら、あとはそれを維持する程度に静的ストレッチを行えば良いだろう。


★動的ストレッチの効果
動的ストレッチは可動域を拡げつつ、運動パフォーマンスを向上させる。運動パフォーマンスの向上は、ウォームアップとしての効果があるからだろう。身体があたたまるし、筋肉に刺激が入って力を発揮しやすくなる。ただ強度の高い運動をするなら、動的ストレッチだけではウォームアップとしては不十分だろう。

動的ストレッチは長期的に行っても、柔軟性の向上は起こらないようだ。長期的に柔軟性を向上させるには、静的ストレッチかフォームローラーが良いだろう。


★ストレッチが筋肉-腱に及ぼす影響の推定メカニズム
一つだけが正しいわけではなくて複合的な効果と思われる。途中でこの分野の深さと広さについていけなくなった。間違いがあったら申し訳ないです。
- 神経-筋肉がリラックスする説。持続時間は短期か。
- 筋肉-腱が伸ばされるときの抵抗が小さくなる説。持続時間は短期と長期か。
- 筋肉が伸ばされると身体が筋肉断裂の警告を痛みとして発するのだけど、ストレッチでこの痛みに慣れることで警告が発せられるラインを引き上げる説。このメカニズムだけだと本当に筋肉が断裂しちゃったりする危険域は変わらないので、警告から断裂までの安全マージンが小さくなり、筋肉が伸ばされる競技だと怪我のリスクが上がるかもしれない。持続時間は短期と長期か。
- 筋肉-腱の粘弾性が低下する説。エキセントリックからコンセントリックに移る際に弾性エネルギーの蓄積が減り、コンセントリックフェーズでの力の発揮が低下する可能性。筋肉-腱が伸びたゴムみたいになる。持続時間は短期か。
- 筋節が直列に追加されて筋肉が長くなる説(長期的な効果)。人間が行う普通のストレッチで起こるか疑問だという考察もあるけど、エキセントリックトレーニングで筋束が伸びることが示されていてそれは筋節の追加によるものだと推測されているので、静的ストレッチでも筋節が追加されて伸びるのではないだろうか。2017年の研究でも長期的な静的ストレッチで筋束が伸びることが示されている。


★怪我のリスク
怪我のリスクについては、運動前にストレッチしても特に怪我のリスクが低下するわけではない、とする研究が多い。

メカニズム的には、運動前に静的ストレッチをやりすぎると神経-筋肉の反応が遅れ、咄嗟の動きが鈍くなって怪我リスクあがる可能性がある。また上記のように安全マージンが小さくなって、競技によっては筋断裂リスクが上がる可能性もあるだろう。


以上がストレッチについての予備知識。それではストレッチをやったほうが良いのかどうかを考えていく。


★運動前にやるべきこと
ウォームアップ以外で運動前にやるべき準備を三つ挙げると、

(a) 可動域の確保
これから行う運動に必要な関節の可動域を確保する。

(b) アラインメントの修正
アラインメント(身体のパーツの配列)に異常がある場合、簡単に言えば姿勢が悪い場合は、なるべく正常に近づける。

(c) 筋肉・筋膜のインバランスの修正
緊張して固くなっている筋肉・筋膜を緩める。緩んで伸びている筋肉に活を入れる(これはストレッチでは無理だけど)。

関節の可動域が足りないと、運動でパフォーマンスを発揮しにくくなったり、怪我をしやすくなったりする。例えば股関節の可動域が足りないままデッドリフトを行うと、背中を丸めてバーに手を届かすことになり、腰を痛めやすくなる。またアラインメントと筋肉・筋膜のバランスが悪い状態でトレーニングすると、過度に使われている筋肉ばかりを悪い姿勢のまま使うことになり、症状が悪化してしまう。

(a)は静的ストレッチでも動的ストレッチも効果があるが、動的ストレッチはパフォーマンス低下が起こらないので、可動域の確保のみ必要な場合は動的ストレッチを行ったほうが良いだろう。静的ストレッチの役割は(b)と(c)になる。これらは動的ストレッチでは出来ないだろう。フォームローラーも(a)(b)(c)の効果があるので併用すると良いだろう。フォームローラーは運動パフォーマンスの低下がないようなので、フォームローラーだけで目的を達成できる部位は静的ストレッチより優先したほうが良いかもしれない。

どの部位をどうストレッチすべきかは、その人のコンディションと行う運動次第になる。良いコンディションの人はウォームアップを兼ねて軽く動的ストレッチをするだけで良いだろう。ただ、何の対策もなしにアラインメントと筋肉・筋膜のバランスが良好になっている人はそれほどいない。


★ストレッチを行う具体例
運動前の静的ストレッチは、ストレッチされた筋肉のストレングスやパワーを低下させる可能性が高いが、どの筋肉をストレッチする必要があるのかどうかよく考える必要がある。研究のようにレッグエクステンションの直前に大腿四頭筋を静的ストレッチするなら、レッグエクステンションの1RMもトレーニングボリュームも低下するだろう。しかし、レッグエクステンションの前に大腿四頭筋を静的ストレッチする必要があるのだろうか? 普通は何もしなくても膝の屈曲の可動域はレッグエクステンションには十分だろう。

次に筋トレの複合種目について考えてみる。

例えばスクワットで、ハムストリングが固くて股関節の可動域が足りない場合はハムストリングをストレッチする。フォームローラーも好ましい。仮に静的ストレッチでハムストリングの筋力がわずかに低下しても、ハムストリングの強さはスクワットのボトルネックにはならないだろうからスクワットの重量は低下しないだろう。

骨盤が前傾している場合は、トレーニング前に股関節の屈筋を静的ストレッチしてこれらの筋肉を緩め、同時に臀筋に力をいれて活性化させると良い。股関節の屈筋には大腿直筋も含まれ、大腿直筋は大腿四頭筋の一部なので、大腿直筋を静的ストレッチしてそのまますぐスクワットするとパフォーマンスが低下する可能性がある。

典型的な猫背・巻き肩姿勢の人は、肩のトレーニングをする際はフォームローラーなどで胸椎を伸ばし、静的ストレッチで大胸筋や広背筋を伸ばすと良いだろう。ベンチプレスなど胸のトレーニングも行う場合は、動的ストレッチやフォームローラーのみで姿勢がよくなるなら、大胸筋はこれらの手段で柔軟性を高めるのが良いだろう。

また長時間のデスクワークなど、一定の姿勢を取り続けた後は、短縮ポジションに置かれた筋肉をストレッチしてやると良い。

どういうコンディションの人が、何の運動ために、どの筋肉をストレッチするのかを考えてみれば、ストレッチの善悪を単純に論じることは意味をなさないことがわかると思う。

猫背・巻き肩や骨盤の前傾・反り腰など、筋トレをやっている人に多く見られるインバランスの矯正方法については以下を参照に。

参考記事:バランスの取れたトレーニング種目の選択-メカニズム編-

参考記事:バランスの取れたトレーニング種目の選択-エクササイズ編-

参考記事:股関節の前側(腿の前側の付け根)の痛み

参考記事:胸椎の姿勢矯正

参考記事:骨盤の前傾の矯正

参考記事:懸垂のやり過ぎによる怪我リスク(肘と肩)

参考記事:ショルダープレス


★ウォームアップによるパフォーマンス低下の回復
主働筋を静的ストレッチする場合は、静的ストレッチのあとに全身ウォームアップと競技特有のウォームアップを行うことで運動パフォーマンスを戻せるようだ。完全に戻るかどうかは、ストレッチの強度やウォームアップの程度やストレッチからトレーニングまでの時間間隔や求められるパフォーマンスによるだろう。

静的ストレッチ後の運動パフォーマンス回復についての研究結果を見てみると、
- 何もしなくても10-15分位である程度はパフォーマンスが戻る。
- 静的ストレッチの後にジョグや動的ストレッチをするとある程度戻るが動的ストレッチのみの場合に劣る。
- 静的ストレッチの後に競技特有のウォームアップをすると動的ストレッチと差なしになる。
- 先にウォームアップしてから静的ストレッチすると静的ストレッチのパフォーマンス低下が残る。

実際の運用面では、必要があれば静的ストレッチやフォームローラーを行って、その後に動的ストレッチを行い、5-10分の軽い有酸素運動を行って、最後に競技特有のウォームアップを行えば、静的ストレッチによる運動パフォーマンス低下は無くなっていると思われる。従って、この順序でストレッチとウォームアップを行うのが望ましいだろう(下図参照)。

運動前の静的ストレッチは一部位1セットあたり10-20秒程度を2,3セット、ゆっくりと伸ばしていき心地よい痛みを感じる程度にしておくとパフォーマンスが低下しにくいだろう。運動前以外のタイミングでの静的ストレッチは30秒程度行ったほうが、長期的な柔軟性の向上が高くなるだろう。

ウォームアップでは体温上昇と脈拍上昇、それと運動に必要な特定動作の予習(フォーム確認と力の発揮)を行う。

筋トレでの競技特有のウォームアップは、コンパウンド種目(BIG3など)のウォームアップになる。トレーニング重量の50%くらいで10レップくらい→75%くらいで5レップくらい→トレーニング重量付近もしくは90%1RMくらい(PAP狙い)で1-3レップといった一般的なやり方を参考にして、自分がやりやすい方法で行うのが良いだろう。




参考文献:
The Effects of Stretching on Performance
http://journals.lww.com/acsm-csmr/Fulltext/2014/05000/The_Effects_of_Stretching_on_Performance.12.aspx

The Effects of Stretching on Strength Performance
https://www.researchgate.net/publication/6479273_The_Effects_of_Stretching_on_Strength_Performance

Effect of acute static stretch on maximal muscle performance: a systematic review.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21659901

Effect of the flexibility training performed immediately before resistance training on muscle hypertrophy, maximum strength and flexibility.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28251401

Acute and chronic effects of a static and dynamic stretching program in the performance of young soccer athletes
http://www.scielo.br/scielo.php?pid=S1517-86922013000400003&script=sci_arttext&tlng=en

Influence of strength and flexibility training, combined or isolated, on strength and flexibility gains.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25268286

長期的なストレッチが筋力に及ぼす影響―他動ストレッチと自動ストレッチでの検討―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2013/0/2013_0569/_article/-char/ja/

Does stretching really change muscle length?
https://www.strengthandconditioningresearch.com/2013/11/18/stretching/

Stretch training induces unequal adaptation in muscle fascicles and thickness in medial and lateral gastrocnemii
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/sms.12822/abstract

Acute Effects of Foam Rolling, Static Stretching, and Dynamic Stretching During Warm-Ups on Muscular Flexibility and Strength in Young Adults.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27736289

THE EFFECTS OF SELF‐MYOFASCIAL RELEASE USING A FOAM ROLL OR ROLLER MASSAGER ON JOINT RANGE OF MOTION, MUSCLE RECOVERY, AND PERFORMANCE: A SYSTEMATIC REVIEW
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4637917/

Negative effect of static stretching restored when combined with a sport specific warm-up component.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18768355

Secondary warm up following stretching on vertical jumping, change of direction and straight line speed
https://www.researchgate.net/profile/Alan_Pearce/publication/232896502_Secondary_warm-up_following_stretching_on_vertical_jumping_change_of_direction_and_straight_line_speed/links/02bfe50e609bc244f3000000/Secondary-warm-up-following-stretching-on-vertical-jumping-change-of-direction-and-straight-line-speed.pdf

5/29/2017

各セット限界まで追い込むべきか

筋トレでは、各セットで限界まで追い込んだほうが良いのか。それとも限界の手前で止めたほうが良いのか。議論が分かれるテーマだと思うけど、現状の研究結果から何か言えるか調べてみた。記事内容が長いし先に結果を書いておくと・・・筋トレの参考になる良い研究があまりない。


★RPE
各セットでどの程度追い込むかを示す便利な指標として、先にRPEを紹介しておく。RPE は Rate of Perceived Exertionの略。エクササイズの強度を測る10段階のスケールで、ウェイトトレーニングでのRPEは以下の感じ(検索すると色々な定義が出て来るが)。トレーニング経験がある人は、RPE5以上はかなり正確に自己判断できるようだ。

RPE
10 :もう1レップもできない。限界。
9.5 :わずかに重量上げても同じレップ数できるかも。もしかしたらあと1レップできるかも。
9 :あと1レップできる。
8.5 :あと1レップはできる。もしかしたら2レップできるかも。
8 :あと2レップできる。
7.5 :あと2レップはできる。もしかしたら3レップできるかも。
7 :あと3レップできる。
5-6 :あと4-6レップできる。ウォームアップレベル。
1-4 :楽ちん


★限界 vs 非限界のメタアナリシス研究
Effect of Training Leading to Repetition Failure on Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs40279-015-0451-3

Erratum to: Effect of Training Leading to Repetition Failure on Muscular Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs40279-016-0509-x

メタアナリシス研究だと、限界までやってもやらなくてもストレングスの伸びについては同じ、というシンプルな結論になっている。解析対象の研究の数が少ないし、ちょっと個別に見てみるか・・・と見てみたら、研究ごとに実験方法がバラバラで、これらを単純に比較してよいのか?と思ったので、各々の研究内容を見ていくことにする。(30秒ごとに1レップを続けるとかの研究は実用面からかけ離れているので除外した)


★個別研究
(1)(2)の研究はボリューム(重量×セット×レップ数の和)が一致している研究。(3)-(7)の研究はボリューム不一致。

(1) Training leading to repetition failure enhances bench press strength gains in elite junior athletes.
http://sportsperiodization.ir/pdf/Strength/st.5.pdf

被験者:アスリート(バスケとサッカーの選手)
種目:ベンチプレス
重量:6RMの80-105%
挙上速度:書いてない
セット数・レップ数:
限界グループ:4セット×6レップ固定(260秒サイクル) 
非限界グループ:8セット×3レップ固定(113秒サイクル) 
全セット終えるまでのトータルの時間は両グループとも13分20秒で同じ
トレーニング頻度:週三回
トレーニング期間:6週間

結果:限界グループのほうがストレングスが約2倍伸びた

コメント:
限界までとはいっても1,2セット目あたりは6RMの80%や90%の重量でやっているので、6レップやってもまだまだ余力があるはず。3,4セット目あたりで6レップが限界になるだろう。RPEで考えると、セットが進むにつれ6前後から10に負荷をあげていく感じで、割りと一般的なトレーニングプログラムだと思う。インターバル4分くらい取ってるし。

論文ではストレングスの伸びは神経系の適応によるものだろうと考察されているけど、被験者の現状の筋力(ベンチプレス6RMが70kg程度)で、追い込み度高めの4セットを週三回なら筋肥大もしてそうな感じがする。この研究の結果からは、インターバルをしっかりとって追い込み度高めのトレーニングをするほうが、各セットを最大回数の半分弱で止めてセット数を倍にするトレーニングよりもストレングスを伸ばす効果が高いと言えそう。個人的な感覚だと、筋肥大も同様の結果が出ると思う。


(2) Differential effects of strength training leading to failure versus not to failure on hormonal responses, strength, and muscle power gains
http://jap.physiology.org/content/100/5/1647

被験者:アスリート(バスク・ペロタの選手)
種目:ベンチプレス スクワット
トレーニング頻度:週二回
トレーニング期間:16週間
セット間インターバル:両グループとも約2分
重量:
前期6週間は10RMの重量(スクワットは10RMの80%の重量)
中期5週間は6RMの重量(スクワットは6RMの80%の重量)
後期5週間は85-90%1RM

セット数・レップ数
限界グループ:
前期6週間と中期5週間は3セット
後期5週間は3セット×2-4レップ(他にバリスティックトレーニング)

非限界グループ:
前期6週間は6セット×5レップ
中期5週間は6セット×3レップ
後期5週間は3セット×2-4レップ(他にバリスティックトレーニング)

後期5週間は両グループともピーキング期間。条件を揃えてから最終の1RM測定をする。ナイスな実験デザイン。

限界グループのレップ数は書いていない。全セット限界までかな? スクワットは10RM・6RMの80%の重量なので10レップ・6レップ以上できるが。

限界グループは途中で止まるかフルレンジできないと重りを外してすぐさまセットを続行。一回のトレーニングセッションで3,4回重り減らしが発生。非限界グループは重り減らしなし。重り減らしにより、厳密にはベンチプレスのトレーニングボリューム(重量×セット数×レップ数)は限界グループのほうが少なくなっていたと考えられる。スクワットは80%なのでよくわからない。

挙上速度:コンセントリックはフォームを崩さないよう注意しながら全速力で挙上。エキセントリックは丁寧に。非限界グループは75%-85%1RM程度で3-5レップを素早く挙上なので、実質的にパワートレーニングになる。限界グループは全セット限界までを2分インターバルなので疲労でヘロヘロになっていて、全速力で挙げても挙上速度は遅いと思われるので、パワートレーニングにならない。

結果:ストレングスの伸びは両グループとも同じ。ベンチプレスの筋持久力は限界グループのほうが伸びた。下半身のパワーは非限界グループのほうがやや有利か。

IGF-1やテストステロンやコルチゾールなど内分泌系の変化を見ると、限界までやらないほうがストレスレベルが低くアナボリックに好ましい傾向か。

コメント:
被験者は日常的にレジスタンストレーニングは行っているが、書かれているトレーニング時間からするとやりこんでるわけではなさそう。アスリートなので筋肉量はかなり多い。神経系の適応などでストレングスが伸びたと考えられる。

実験前後で除脂肪体重は増えていないので、筋肥大はしてないだろう。除脂肪体重70kg超え、スクワット1RMが170kg弱の人が、3セットを週二回だとボリュームが足りなくて筋肥大は難しい感じがする。筋肥大するにはカロリーオーバーにして体重も増やす必要もあるだろう。しかし16週間で体脂肪がやや減りつつスクワット1RMが170kg弱から200kgまで上がるとはアスリートはすごい。

この研究は、コンパウンド種目を短いインターバルで全セット潰れるまでのド根性トレーニングとパワートレーニングの比較になっている。趣味で筋トレする人にはあまり参考にならないかな。


(3) Is repetition failure critical for the development of muscle hypertrophy and strength?
https://www.researchgate.net/profile/John_Sampson2/publication/274007696_Is_repetition_failure_critical_for_the_development_of_muscle_hypertrophy_and_strength/links/57043cd608ae44d70ee0610e.pdf

被験者:一般人。最低6ヶ月間はレジスタンストレーニング無し。

種目:肘の屈曲
期間:まず4週間の慣れ期間。限界までのセットを行い慣れる。この期間の1RMの伸びをみて反応の良い人悪い人がバランス良く各グループに振り分けられるようにした。トレーニングへの反応の良し悪しには大きな個人差があって、反応の良い人が固まっていたら、それだけで良い結果が出てしまう。特にこの手の研究は1グループ10名程度しか被験者がいないことが多いので個人差の影響が大きい。これはナイスな実験デザイン。
そのあと12週間のトレーニング期間。
トレーニング頻度:週三回
重量:85%1RM
セット数:4セット
セット間:インターバル:3分
挙上速度:
RSグループ:コンセントリック素早く、エキセントリック2秒 限界までやらない
SSCグループ:コンセントリック素早く、エキセントリック素早く 限界までやらない
Cグループ:コンセントリック2秒、エキセントリック2秒 限界までやる
平均レップ数
RSグループ 4.2レップ
SSCグループ 4.2レップ
Cグループ 6.1レップ

結果:グループ間で1RMと筋肉の断面積(筋肥大)に有意差無し

コメント:限界までと、限界まで2レップ残しを比較したのは良いと思うが、挙上方法を揃えていないのがもったいない。あとトレーニング歴なしの被験者がアイソレート種目を行っているので、継続的にトレーニングをしている人のコンパウンド種目に当てはまるか不明。


(4) Concurrent endurance and strength training not to failure optimizes performance gains.
https://www.researchgate.net/publication/40483840_Concurrent_Endurance_and_Strength_Training_Not_To_Failure_Optimizes_Performance_Gains

被験者:アスリート(ボート競技の選手。ローイング能力が非常に重要なスポーツ)
トレーニング期間:8週間
トレーニング頻度:週2回(それに加えて8週間で計45回のローイングの有酸素トレーニング、週あたり平均460分)
セット数:3-4セット
重量:75%-92%1RM
レップ数:
限界グループは目標10-4レップ
非限界グループは限界グループの半分(5-2レップ)

グループ分け:
4種目 - ベンチプル、シーテッドケーブルロウ、ラットプルダウン、パワークリーン
2種目 - ベンチプル、シーテッドケーブルロウ

4RFグループ - 4種目・限界まで できなかったら途中で重り減らし
4NRFグループ - 4種目・非限界
2NRF - 2種目・非限界

インターバル:書いてない。上にも出てるこの人の別の研究からすると2分か?
挙上速度:コンセントリックはフォームを崩さないよう注意しながら全速力で挙上。エキセントリックは丁寧に。

結果:ストレングスとパワーともに4NRFグループ(4種目・非限界)が良い結果だった。

コメント:有酸素トレーニングに並行して、ボリュームを抑えたパワートレーニングをリニアピリオダイゼーションで行うことで、1RMとパワーの上昇が得られた。筋肥大によるものではなさそう。2NRFよりも4NRFグループのほうが良い結果なのは、パワークリーンの有無が影響していると思う。個人的にはベンチプルはやったことないけど、動画を見ると最大出力には脊柱起立筋と股関節の伸展の力も重要だろう。

体組成変化は、体重、除脂肪体重、体脂肪いずれも減少。各グループとも除脂肪体重は1kgくらい減少、体脂肪は1kg弱減少。

この研究は、被験者がやりこんでいる動作を鍛えている。有酸素トレーニングも並行して行っているので、パワーと持久力の両方が必要とされる競技のアスリートのトレーニングの指針になる。階級制でなくても、多くのスポーツは身体が出来て高いレベルになったら、体重を無駄に増やさず出来るだけストレングスとパワーを引き出したほうが、アジリティや持久力が犠牲にならないので好ましい。ボディメイクやボディビルはストレングスやパワーよりも筋肉が増えたほうが好ましい。

継続的にほぼ筋トレのみを行っている人が、馴染みの種目を伸ばすために限界までやるべきかどうかの参考になるかは・・・限界までやるのが体力面でのキャパオーバーになるなら、限界までやらないほうが良い結果を出せるとは言えると思う。


(5) Effects of Single vs. Multiple Sets of Weight Training: Impact of Volume, Intensity, and Variation
http://journals.lww.com/nsca-jscr/abstract/1997/08000/effects_of_single_vs__multiple_sets_of_weight.2.aspx

(6) Short-Term Performance Effects of Weight Training With Multiple Sets Not to Failure vs. a Single Set to Failure in Women.
http://journals.lww.com/nsca-jscr/Abstract/2000/08000/Short_Term_Performance_Effects_of_Weight_Training.14.aspx

両方とも似た内容。種目はスクワット。1セットを限界までと、複数セットを非限界までとを比較。複数セット非限界のほうが1RMが大幅に伸びた。ボリュームが違い過ぎるので当たり前の結果で、あまり見るところはなさそう(アブストラクトしか読めない)。


(7) Effect Of Resistance Training To Muscle Failure Versus Volitional Interruption At High- And Low-Intensities On Muscle Mass And Strength.
http://journals.lww.com/nsca-jscr/Abstract/publishahead/Effect_Of_Resistance_Training_To_Muscle_Failure.96151.aspx

被験者:一般人。最低6ヶ月間はレジスタンストレーニング無し。

トレーニング期間:12週間
トレーニング頻度:週二回
トレーニング種目:ニーエクステンション
インターバル:2分
セット数:3セット

グループ分け:
HIRT-F: 80%1RM 限界まで
HIRT-V: 80%1RM 自主的にセット終える
LIRT-F: 30%1RM 限界まで
LIRT-V: 30%1RM 自主的にセット終える

限界までの定義は、フルレンジが出来なくなったら。自主的にセット終えるの定義は、明確には書かれていないが限界の直前までらしい。次あたりでフルレンジ完遂できないかなってところで止めてると思われる。RPE9.5か10。実際のトレーニング結果を見ても、1セット目の平均レップ数が限界グループと自主的グループで同じくらいになっている。

トータルのボリューム(重量×総レップ数)は、高負荷グループ間(限界と自主的)で同じくらい、低負荷グループ間(限界と自主的)でも同じくらいという結果に。高負荷グループのほうがトータルのボリュームが低負荷グループよりも2,3割高かった。

結果:
ストレングス、筋肥大(外側広筋の断面積)の増加率は、全グループ間で有意差無し。

コメント:
RPE9.5か10と、潰れるまでを比較するのはあまり参考にならないかな。RPE8前後とRPE10の比較をした研究が望まれる。それと(3)の研究と同様に、トレーニング歴なしの被験者がアイソレート種目を行っているので、継続的にトレーニングをしている人のコンパウンド種目に当てはまるか不明。



★結論
現状のエビデンスでは、ほぼ筋トレのみを行っている人に参考になる研究があまりない。上記の研究からわかる範囲のことをまとめると、

- 最大回数の半分弱の回数で止めるよりは、ある程度追い込んだほうがストレングスが伸びるだろう。
- コンパウンド種目で短いインターバルで限界までのセットを続けると体力面でキャパオーバーする場合は、限界までやらずボリュームを減らしたほうが良さそう。
- アイソレート種目では限界まで2レップ残しや限界の一歩手前でも、トレーニング歴無しの人は限界までやった場合と同等の筋肥大効果を得られそう。
- 限界までを1セットだけやるより、限界までやらないセットを複数やったほうがストレングスは伸びるだろう。
- 専門競技のトレーニングと並行してレジスタンストレーニングを行うアスリートは、ボリュームを抑えたパワートレーニングがストレングスとパワーの向上に有効だろう。

将来的には、継続的にレジスタンストレーニングを行っている人を被験者にして、RPE8前後とRPE10の比較をストレングスと筋肥大についてやってほしいものです。


以下は個人的な考え方になるけど、トレーニングで重要なのは、

・長期的に見て、高い質のトレーニングを高ボリューム行う。このトレーニングの質と量は誰にでも当てはまる数字があるわけではなく、その時点での本人のレベルに適したトレーニングの質と量がある。
・漸進的過負荷を続ける。筋トレだったら、重量とボリュームが長期的に見て増加していく必要がある。

各セット限界までやったほうが良いかどうかは、上の2点を満たせるかで判断するのが良いと思う。一般的には限界までやると次のセット以降で重量かレップ数がガクンとさがり、トータルでのトレーニングボリュームが少なくなる。

また次セット以降低下するボリュームを補うためにセット数を増やせば良いやとセット数を増やして全セット限界までやったりすると、疲労が強くなり次のトレーニング日に質の高いトレーニングを行うことが難しくなる。長期的な視点で考えることが大切だろう。

限界までやらないことに抵抗がある人はこう考えるのはどうだろうか。

コンパウンド種目ではセットの限界までやっても、主に働く筋肉が同時に限界を迎えるわけではない。たとえばベンチプレスをセットの限界までやっても、大胸筋と上腕三頭筋と三角筋前部が同時に限界を迎えるわけではなく、どれかの筋肉が先に限界を迎え、他の筋肉にはまだ余力がある状態でセットを終える。さらに言えば、先に限界に達した筋肉でもスティッキングポイント以外ではまだ余力がある状況。それでも各筋肉は発達し、重量は伸びる。

ボリュームの稼ぎやすさと疲労度合いのバランスが良いのは、限界まで1-3レップ残し(RPE7-9)だろう。意識するポイントとしては、初めから数レップ残しで終わりと考えてやると、身体がサボって力を抜いたり体幹が緩んだりすることがあるので、例えば10RMの重量を10レップやるつもりで8レップで止めるのが良いと思う。

挙上スピードが低下してきたら止めるのも良い。フォームが重要で、怪我のリスクが高いコンパウンド種目は特に。

セット間インターバルは、一般的にはコンパウンド種目では3-5分程度、アイソレートではそれより短め。トレーニングの質と量を確保できるよう、自分に合ったRPEとインターバル時間を調整していくのが良いと思う。

各部位の最終セットやアイソレート種目に限定して限界までやるのも、疲労管理がうまくいくなら良いだろう。また時折、1RMの測定や3-5RMの測定を行い、限界チャレンジをするのもモチベーションにつながって良いと思う。


関連記事:
セット間インターバルの決め方

筋肥大トレの推奨ボリューム

なかなか筋肥大しない場合

筋肥大トレの変数調整

5/28/2017

[ボディメイク記録] 増量結果

前回の記録 5月29日
今回の記録 5月27日


★現状記録
筋グリコーゲンレベルは普通。直前のトレ履歴は、当日に下半身、前々日に上半身。


★身体計測
身長:180cm
体重:78.0kg(+7.0kg)
バスト:99.5cm(+1.5cm)
ウェスト:82.0cm(+8.0cm)
ヒップ:94.0cm(+6.5cm)
右上腕:30.0cm(+1.0cm)
左上腕:30.0cm(+1.5cm)
手首径:16cm
右大腿:54cm(-4.0cm)
左大腿:53cm(-4.0cm)
右カーフ:36.0cm(+1.0cm)
左カーフ:35.0cm(+0.5cm)
足首径:19cm


★主な種目のトレーニング重量
ベンチプレス・・・80kg×5reps
デッドリフト・・・125kg×4reps
スクワット(スミスマシン)・・・80kg×7reps
ヒップスラスト・・・85kg×10reps


★トレーニング種目明細
セット数: メイン4セットくらい。

メイン種目
- スクワット(週2回)
- デッドリフト(週2回)
- ヒップスラスト(週2回)
- ベンチプレス(週2回)

補助種目
- ルーマニアンデッドリフト
- インクラインベンチプレス(スミスマシン)
- ナローグリップベンチプレス
- インクラインベンチにうつ伏せになってラテラルレイズ
- 片腕トラップレイズ
- キューバンプレス
- フェイスプル
- ローイングマシン
- カーフレイズ
- 片腕ランドマインプレス
- ショルダープレス
- サイドレイズ
- フロントレイズ
- サイドレイズ
- デッドバグ(ドローインして骨盤後傾させて腹筋下部と外腹斜筋に力を入れて行う)


★増量プロセス
- 怪我で痛みがある時や姿勢矯正のエクササイズを中心にやっていた時期は維持カロリー。
- ストレスがキツイ時期は、筋肉増えにくいだろうと思って維持カロリー。
- トレーニングちゃんと出来る時期はオーバーカロリー。


★食事内容
- タンパク質の摂取量はだいたい2g/体重1kg/日。動物性食品とプロテインパウダーのみ摂取量にカウント。
- 食事回数は1日3回で、トレーニング日はトレーニング前にプロテインパウダーとスクロースを摂取。スクロースは角砂糖をお湯に溶いたもの。摂取カロリーの把握がしやすいので角砂糖を使っている。
- 脂質の摂取量はあまり把握していないけど、1g/体重1kg/日くらいだと思う。卵や魚や乳製品など高たんぱく質食品に付随する脂質を主に摂取した。揚げ物やドレッシングなどの付加的な脂質はあまり摂取していない。
- トータルカロリーの調整は炭水化物で行った。米、パスタ、ミューズリーが主体。甘いものも適当に。
- 健康のため、野菜、果物、豆も摂取。


★雑感
- 育児と仕事のストレスがキツイ時期がけっこうあった。トレーニングで力入らないし食欲落ちるし無理やり食べても脂肪ばかりつく気がするし、ストレスって大変だなあと思った。
- 昨秋あたりに肩の痛みや腿の付け根の痛みがあって、色々と調べて姿勢矯正と筋力バランス調整のエクササイズを取り入れた。この頃のブログ記事はだいたい自分の身体に起きた症状が題材になっている。おかげで快調になった。重量は伸びなかったけど、正しく身体を動かせている実感があるので楽しくトレーニングが出来ている。
- 昨冬から右肘が軽い上腕骨内側上顆炎(いわゆるゴルフ肘)になり、懸垂とアームカールが出来なかった。他の種目はスクワットやベンチプレスでバーを強く握ると痛くなる程度。たぶん赤子をあやすのに抱っこしすぎた。ちなみに現在の体重は8kgで、外出時に抱っこ紐で抱っこすることが多いんだけど、肋骨の後ろ側が痛くなったり(肩甲骨が押し付けられてる?)、背中が張ることがある。可愛いし喜ぶからついつい抱っこしすぎてしまう。
- ヒップスラストをやるようにした。デッドリフトやスクワットで尻に力が入るようになったし、骨盤の前傾も矯正されたしで、とても良いエクササイズだと思う。
- 片腕ランドマインプレスもとても良いエクササイズだと思う。肩関節への負荷を軽くして、三角筋前部を鍛えることが出来る。あと腕と肩甲骨がうまく連動しない人の訓練にもなる。


★怪我
- 雑感に書いた通り。


★今後の予定
- 2ヶ月くらいかけて減量する予定。無駄に脂肪がついたのでスッキリしたい。週末のビールは続けたい。


★現状


結果にコミットするための比較写真も撮っておいた。

5/23/2017

水素水の運動パフォーマンスへの効果

疲労について調べているときに(参考記事:「疲労のメカニズム」)、水素水が運動パフォーマンス向上(正確に言えば繰り返しの高強度運動のパフォーマンス低下を遅らせる)効果があるという研究を見つけて、えっ!?と思って調べてみた。


★水素水の運動パフォーマンスへの効果を調べた研究
Effects of hydrogen rich water on prolonged intermittent exercise.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28474871
pH9.8の水素水を一日2リットルを2週間。水素水群ではピークパワー出力が低下しなかった。アブストラクトしか読めず。

Pilot study: Effects of drinking hydrogen-rich water on muscle fatigue caused by acute exercise in elite athletes
https://medicalgasresearch.biomedcentral.com/articles/10.1186/2045-9912-2-12
パイロットスタディだけど。筑波大の研究っぽい。1.5リットルの水素水(pH書いてないけどマグネシウムスティックを使っているので弱アルカリ性のはず)をテスト前24時間に飲んだ。水素水群のみ20レップまでから40レップまででピークトルクの低下なし。とはいっても、実際のデータ(グラフ)を見ると、単に被験者数が少ないせいで水素水は有意差に達しなかっただけな感じもする。血中の乳酸塩レベルが水素水群で低下しているのは、H+が先に中和されて乳酸塩があまり生成されていないから?  (ちなみに論文著者は乳酸塩と疲労についての理解が間違っている)


★メカニズム
水素水が運動パフォーマンスに効果があるとしたら、それはどういうメカニズムなのか?と思って見つけたのが、水素水のアルカリ性に注目して、重曹の代わりに水素水をアシドーシス緩衝に使うのはどうかと書いている論文。

Serum Alkalinization and Hydrogen-Rich Water in Healthy Men
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3498110/
pH9.3の水素水を毎日2リットル一日かけて少しずつ飲むのを一週間続けたら、安静時と運動直後の血液pHが上昇。重曹に比べるとpHの上昇率は2分の1程度と小さいが、実験期間では特に副作用は報告されなかった。重曹よりも副作用の可能性がだいぶ低そうなので、水素水は運動による代謝性アシドーシスを緩衝するのに役立つ可能性がある。胃酸で中和されないのかな?と思ったけど、血液pH上昇してる。




高強度運動における代謝性アシドーシス(H+の蓄積)は、運動パフォーマンスを低下させる(疲労させる)と考えられている。H+を水酸化物イオンで中和することでこれを和らげる。

H+ + OH- = H2O


★重曹(NaHCO3)の運動パフォーマンスへの効果
Mechanistic Insights into the Efficacy of Sodium Bicarbonate Supplementation to Improve Athletic Performance.
https://sportsmedicine-open.springeropen.com/articles/10.1186/s40798-016-0065-9

Examin.com:Sodium Bicarbonate
https://examine.com/supplements/sodium-bicarbonate/

運動パフォーマンスへの重曹の効果は過去に多く研究されている。高強度の運動においてパフォーマンス(パワー、スピード、ワークキャパシティ、限界に達するまでの時間)を2-3%向上させる。

メカニズムとしては、H+を中和して処理することによりH+の蓄積が抑制される。これにより、解糖系の速度が低下しにくい、K+の細胞外への蓄積を抑制する、中枢系の疲労を遅らせるなどの効果が得られると推測される。つまり高強度の運動において疲労を遅らせることで、高い運動パフォーマンスを維持できるようだ。

また数は少ないが、重曹の継続的な服用と高強度の持久運動トレーニングにより、遅筋の有酸素能力(ミトコンドリアの効率性)が向上し、持久能力が向上することを示す研究もある。

重曹の副作用としては、胃腸の不快感、過度の摂取でアルカローシス、ナトリウムの過剰摂取、むくみ、パニック障害の人の発作を誘発など。運動パフォーマンス向上を期待できる推奨量[0.3g/体重kg]を摂取すると、体重70kgの人で一回5.7gのナトリウムを摂取することになる。

Sodium bicarbonate Side Effects
https://www.drugs.com/sfx/sodium-bicarbonate-side-effects.html
重曹の副作用いろいろ。

Effect of sodium bicarbonate on [HCO3 −], pH, and gastrointestinal symptoms
http://www.catedradeporte.com.ar/archivos/para%20analisis/Trabajo%203%20-%20Effect%20of%20Sodium%20Bicarbonate%20on%20Gastrointestinal%20Symptoms.pdf
胃腸に問題が起こる。



★クエン酸ナトリウム
アルカリ性水溶液の飲用によるアシドーシスの緩衝が疲労軽減に意味があるなら、なぜクエン酸ナトリウムでは運動パフォーマンスの向上が見られないのか? 気になったので調べたところ、

Thirty years of investigation on the ergogenic effects of sodium citrate:
is it time for a fresh start?
https://www.researchgate.net/publication/308709639_Thirty_years_of_investigation_on_the_ergogenic_effects_of_sodium_citrate_Is_it_time_for_a_fresh_start
クエン酸ナトリウム摂取後60-90分後に胃腸に不快感、3-4時間後に血液pH上昇のピークが2016年の研究で観察されたとのことで、それまでの研究ではクエン酸ナトリウム摂取から運動までの時間間隔が短すぎて、pHが上昇しきらず胃腸に不快感があるときに運動したためパフォーマンス向上が見られなかったのでは?との考察をしている。

ちなみにクエン酸ナトリウム水溶液は弱アルカリ性だけど、クエン酸水溶液は弱酸性。


★水素水の運動パフォーマンスへの効果
水素水で運動パフォーマンスに効果があったというのは、おそらく水素が原因ではなくて、重曹水と同様にアルカリ性の水を飲んだことが原因だと考えられる。従って、水素ガスを溶解させたタイプの中性の水素水だと効果が無いだろう。マグネシウムスティックを使うタイプか、電解タイプ(アルカリイオン水)で、pHが9-10程度のものを一日1.5-2リットル飲み続けると、効果があるかもしれない。

代謝性の疲労を少し遅らせる可能性があるのであって、数日間続く疲労の主要因である筋肉のダメージを減らすわけではないと考えられるので(もし運動で起こるレベルのアシドーシスが筋肉のダメージを促進するならアシドーシスを緩衝することで筋肉のダメージも減らせるが)、普段のトレーニングで水素水を飲んでもあまり意味がないだろう。

何か競技を行っている人が、試合のパフォーマンスを上げることを目的として、試合の一週間くらい前から飲むと効果が期待できるかもしれない。効果があったとしても重曹ほどのエルゴジェニック効果はなさそうだけど、重曹と違って副作用をほぼ心配せず試すことが出来る。また重曹と同様に継続的な摂取で遅筋の有酸素能力の向上も得られる可能性がある。アルカリ性水溶液としての水素水に価値があるとしたら、それは水素が健康な人にとっては毒にも薬にもならないから。(ざっと調べた感じではアルカリ性水素水のマグネシウムやカルシウムは数リットルで数十mg程度のようなので、重曹のナトリウムと違ってこれは問題にはならなそう)

競技は1-7分くらいの時間に全力を出すタイプのスポーツや、数十秒の最大出力をインターバルを挟んで繰り返すスポーツが向いているだろう。例えば中距離走やスピードスケートや自転車競技あたりだと思う。効果はあっても小さいと思われるので、わずかなパフォーマンス差が勝敗を分ける高いレベルのアスリート向け。バーン感の出る高レップ筋トレでも疲労を遅らせてボリュームを少し増やせる可能性があるけど、競技ではないので一回のトレーニングのボリュームを増やせても、次のトレーニングセッションまでの回復時間が長くなるだけであまり意味がないだろう。

5/17/2017

筋トレの疲労と回復方法

前提知識として、前回の記事「疲労のメカニズム」を参考に。


★筋トレのセッション中の疲労原因
高負荷・低レップ: ATPやPCrやCa2+や中枢系の疲労
中負荷~低負荷・中レップ~高レップ: 上に加えてH+やK+の蓄積がある考えられる。セット数が多くなるとグリコーゲンレベルの低下や筋肉のダメージもあるだろう。



★疲労からの回復時間
それなりに強い疲労状態からの各メカニズムの回復時間の目安。

ATP: 数十秒程度
PCr: 2-4分程度
H+: 数十分?
K+: 数十分?
Ca2+: 数十分~数日間?
グリコーゲン: しっかり食べれば24~48時間で回復
ダメージ: 数日間

疲労度合いやコンディションや個人差やどの程度までの回復を求めるのかによって回復時間は様々だろう。詳しくは調べていない。筋トレにとっては、ダメージ以外の疲労はあまり重要ではない。何かの競技の試合だと、分単位時間単位の回復は重要だけど、筋トレは一回のセッションでどう回復するかはあまり重要ではなくて、数日後に行う次のトレーニングセッションまでの回復が重要だろう。

筋肉へのダメージは、メカニカルなストレスによる筋原線維へのダメージ(フィラメントやZ線の変形)と、それに続いて起こる細胞膜の変形とカルシウムホメオスタシスの混乱を起こすと考えられている。従って収縮を担う繊維部分のダメージによる筋力低下に加えて、末梢系でのCa2+システムの疲労も起こると考えられる。また炎症性サイトカインによる中枢系の疲労も起こるだろう。筋肉痛だと痛みが邪魔して力が入らない(中枢系の運動指令が低下する)というのもある。

参考サイト:骨格筋の構造と筋収縮|動作のしくみから理解する(2)

疲労メカニズムの中では、たぶんダメージが最も回復に時間がかかる。トレーニングから1日や2日経っても1RMが数%程度低下しているのは、筋肉のダメージが主な要因だろう。トレーニングに慣れていなかったり、筋肉が伸びた状態でのエキセントリック動作をみっちりやったりするとダメージは大きくなる。また高ボリュームのトレーニングほどダメージが大きく回復に時間がかかる。

グリコーゲン以外の疲労は、EPOC(excess post-exercise oxygen consumption)のレベルと継続時間が、おおよその疲労のレベルと回復時間に一致する感じがする。筋トレ後数十分はEPOCが大きく、疲労も大きく、1RMの低下も大きい。24時間~48時間経過すると、EPOCはあっても数%程度で、1RMの低下も数%程度。(慣れたトレーニングを行った場合。不慣れなトレーニングだとEPOCも1RMの低下も大きくなる)



★疲労と筋肥大効果のオーバーラップ
おそらく完全にはオーバーラップしていない。疲労を抑えつつ、なるべく筋肥大効果を得ることが望ましい。長期的な成果を得るには、高い質と量のトレーニングを継続する必要がある。高い質と量のトレーニングを継続するには、疲労を適切に管理することが重要になる。

ダメージの大きいトレーニングは直後の筋合成を高めるけど長期的な筋肥大には関係しないという研究があるので、意図的に不慣れなトレーニングを行ったり、筋肉が伸びた状態でエキセントリック動作を集中的に行ったりしてダメージによる筋肥大を狙うのは、費用対効果(疲労-筋肥大のコスパ)が悪い感じがする。それではダメージをなるべく避けたほうが良いかというと、筋肉のダメージはサテライト細胞による筋繊維への新たな細胞核の提供により筋肥大のキャパシティを増やす可能性があるので、ダメージも一概に無駄とは言えないだろう。各種目でエキセントリック動作も丁寧に行う程度が、ほどほどのダメージを得られて良いのではないだろうか。

関連記事:筋肥大のメカニズム

また筋肥大目的で高負荷低レップのみのトレーニングを行うと疲労が強くなるようなので、筋肥大目的なら6-12レップのセットが大半を占めるようにするのが良いと思う。

関連記事:レップ数によるトレーニング効果の違い



★疲労からの回復
・トレーニング中の疲労回復
基本的には特異性の原則が適用され、筋持久力が必要な中レップ高レップトレーニングを続ければ、代謝物の蓄積などへの耐性がついて疲労に強くなる。

高負荷低レップはPCrの影響が大きいと考えられるので、トレーニングセッション中のトレーニングの時間効率を高めるには、全身持久力を高めるトレーニングを行い、PCrの回復速度を上げると良いだろう。

トレーニングセッション中の回復を早めたり疲労を遅らせたりするサプリもある。

ただ数十分以内の疲労対策を行うのは、何かの競技の試合では意味があるけど、筋トレでセット間の回復を早くしたり、疲労を遅らせることで各セットでの追い込み度を引き上げるのは、時間効率を高くする以外にはあまり意味がないと思う。

筋トレの成果にとって重要なのは、長期的に見て高い質と量のトレーニングを継続すること。それには各部位を数日間隔でトレーニングし、次のトレーニングまでに疲労を回復させて高い質と量のトレーニングを継続する。このスパンでの疲労は筋肉のダメージが主要因だと思われるので、筋肉のダメージをいかに回復させるかが重要だろう。



★ダメージの影響の評価軸
筋肉のダメージの影響の評価軸を大きく3つにわけると
- 痛み(筋肉痛)
- 筋力(1RMやジャンプ力)の低下
- 身体組織のダメージ・炎症度合い(クレアチンキナーゼなどの測定)

短いスパンで何かの競技の試合をする人にとっては、身体組織にダメージが残っていても、とりあえず痛みや筋力が早く回復して運動パフォーマンスを取り戻すことが重要だろう。筋トレでは身体組織のダメージが回復するのが重要だろう。

 

★筋肉のダメージの回復方法
筋肉のダメージからの回復方法について、数多くの方法が提案されている。ざっと調べたものを以下に紹介する。Pubmedやgoogle scholarで、EIMDで検索すると色々と出て来る(EIMDはExercise-Induced Muscle Damageの略)。

The Prevention and Treatment of Exercise-Induced Muscle Damage
https://www.researchgate.net/publication/5361673_The_Prevention_and_Treatment_of_Exercise-Induced_Muscle_Damage

筋肉のダメージの予防と事後ケアについて、色々な方法の効果をレビューしている。2008年の論文なので少し古め。

・抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE)
ビタミンC、ビタミンEの摂取による筋肉のダメージへの影響は、改善効果を示すものもあれば示さないものもあり結果が一貫していない。長期的な服用で効果があるかも。

・炭水化物とタンパク質
長時間の自転車こぎで、運動中と運動直後に炭水化物とタンパク質を合わせて摂取すると回復が早まるという研究がある。一方で、大腿四頭筋のエキセントリック動作100レップでは効果がでなかったという研究がある。長時間の運動だと、運動中に栄養供給したほうが良さそう。

HMB 
研究の数が少なく結果も一貫していない。もしかしたらダメージ軽減に効果があるかも。

・NSAIDs
ダメージの緩和効果は一貫していない。ダメージの回復と筋肥大を阻害する可能性があるので使用は推奨されない。

・運動前のストレッチ
スタティックストレッチは筋肉のダメージ軽減に効果なし。パッシブストレッチは少し効果あるかも。

・マッサージ
運動後にマッサージするのは痛みの緩和とダメージ指標の低減にに効果があるようだ。パフォーマンスの改善は見られず。

・電気療法の類
痛みの緩和に効果がありそう。ただ個別の筋肉をアイソレートして刺激することしか出来ないので、あまり実用的ではない。


・軽い運動
一時的に痛みが和らぐが、またもとに戻る。ダメージの回復にはあまり効果がなさそう。

・リピーテッドバウトエフェクト(repeated bout effect)
不慣れな運動は最初は大きなダメージ起こるけど、2度め以降はダメージが小さくなる。これをリピーテッドバウトエフェクトと言う。不慣れな種目を行う時や、休養からトレーニングを再開するときは、最初はボリュームを少なくするのが良い。ボリュームが少なくてもリピーテッドバウトエフェクトは得られる。


・ソイプロテイン
Soy Beverage Consumption by Young Men
http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1300/J133v03n01_03?journalCode=ijds19

Four Weeks of Supplementation With Isolated Soy Protein Attenuates Exercise-Induced Muscle Damage and Enhances Muscle Recovery in Well Trained Athletes: A Randomized Trial.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5098124/

ソイプロテインの継続的な摂取により、抗酸化作用が筋肉のダメージ軽減に効くかも。


・オメガ3脂肪酸
Effect of an acute dose of omega-3 fish oil following exercise-induced muscle damage.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28213750

Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acids in Physical Performance Optimization
http://www.cis.edu.rs/wp-content/uploads/kurs/XVII-predavanje/reference/omega-3-fatty-acid-and-sport-performance-ISNEM_2013.pdf

オメガ3脂肪酸は、筋肉痛の緩和とそれに伴うパフォーマンス改善、あと炎症反応の抑制が期待できるかも。結果があまり一貫していない。ただ健康には良いのでオメガ3脂肪酸は積極的に摂取したほうが良い。一日1-3g程度が目安。サプリは高価なのでイワシやサンマなどの100円くらいの缶詰がおすすめ。良質のタンパク質と良質のカルシウムも摂取できる。マグロなど食物連鎖の上位の魚は水銀リスクがあるのでほどほどに。


・クルクミン
Reduced inflammatory and muscle damage biomarkers following oral supplementation with bioavailable curcumin.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214647416300034
痛みは改善しないが、ダメージの指標がかなり改善。ただこの研究は企業から資金提供を受けている。筋肉のダメージへのクルクミンの効果を調べた研究はこれしか見つからなかった。

Examin.com:Curcumin
https://examine.com/supplements/curcumin/
クルクミンには抗炎症作用があるようだ。クルクミン単体だと人体に吸収されにくいのでピペリンと合わせて飲む。クルクミンサプリは結構高価。ウコンの力は・・・クルクミンの含有量が上の実験で使用したサプリよりだいぶ少ない。


・一時的に血流を止める
The effect of intermittent lower limb occlusion on recovery following exercise-induced muscle damage: A randomized controlled trial.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28153608

一時的に血流を止めるのを繰り返すと(たぶん加圧トレーニングのように縛って圧迫)、身体組織のダメージの回復が早まり、筋力も早く回復するようだ。腕と脚にしか使えない。素人が自己流でやらないほうが良いだろう。

Mechanisms underpinning protection against eccentric exercise-induced muscle damage by ischemic preconditioning.
http://www.medical-hypotheses.com/article/S0306-9877(16)30707-1/fulltext

ダメージの予防として事前に血を止めるのも提案されている。メカニズム的には事前に軽く筋肉にストレスを与えて、リピーテッドバウトエフェクト引き出すようだけど、トレーニング後の回復中にストレスを与えると良くない気がするが・・・。抗炎症作用が高まるようなので、それが事後でもダメージ回復につながるのだろうか。


・フォームローラーやローラーマッサージャー
THE EFFECTS OF SELF‐MYOFASCIAL RELEASE USING A FOAM ROLL OR ROLLER MASSAGER ON JOINT RANGE OF MOTION, MUSCLE RECOVERY, AND PERFORMANCE: A SYSTEMATIC REVIEW
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4637917/

フォームローラーやローラーマッサージャーによるマッサージは、筋肉痛を和らげてパフォーマンスを回復させる可能性があるみたいだけど、筋肉のダメージ自体の回復が早まっているのかは微妙な感じ。血行が良くなることで、栄養と酸素が筋肉に運ばれ回復が早まる可能性はある。筋肉は使い続けると固く縮こまりやすいので、フォームローラーなどで筋肉をケアするのは、長期的には重要だろう。

・冷水に浸かる
What are the Physiological Mechanisms for Post-Exercise Cold Water Immersion in the Recovery from Prolonged Endurance and Intermittent Exercise?
https://www.researchgate.net/publication/295077960_What_are_the_Physiological_Mechanisms_for_Post-Exercise_Cold_Water_Immersion_in_the_Recovery_from_Prolonged_Endurance_and_Intermittent_Exercise

運動直後に冷水に浸かり上昇した体温を下げることで、体温上昇による中枢系の疲労を和らげる、後回しにされていた筋肉への血流を回復させて回復を早める、副交感神経優位にすることで強度の高い運動によるストレスを緩和し回復モードに早く入る(ただしその日の運動パフォーマンスは落ちるので一日のうちに複数回試合を行う場合は避けたほうが良い)、といったメカニズムで疲労回復に効果がありそう。

筋肉のダメージ回復への効果では、全身を使う長時間の持久運動や、ダッシュを繰り返すチームスポーツなどでは筋肉のダメージへの効果が繰り返し示されているが、単関節のエキセントリック運動で筋肉にダメージを与えた場合は冷水に浸かっても回復効果が示されない。筋トレだと、スクワットやデッドリフトで全身が疲れてダルくなった場合はトレーニング後に冷水に浸かると良いかもしれない。特に夏場。

ただ浸かりすぎると筋肥大にマイナスかもしれないので、冷たすぎる水に10分以上浸かるのは止めたほうが良さそう。運動後に頭が熱でぼーっとしてる場合に水に浸かって、それがおさまったらすぐ出るのが良いだろう。ジムにプールが併設されているなら、軽く泳ぐのも良いだろう。


・コンプレッションウェア
Effects of Compression Garment Pressure on Recovery from Strenuous Exercise.
http://research.stmarys.ac.uk/1322/9/The%20effects%20of%20lower%20limb%20compression%20garment%20pressure%20REVISED%20Nov%20V1.pdf

高い圧力のコンプレッションウェアを運動後に着用し続けるのはパフォーマンス回復に効果がありそう。この実験では14.8  ±  2.2  mmHg  at 170 the thigh and 24.3 ± 3.7  mmHg at the calf のコンプレッションウェアを運動後72時間シャワー時以外着用し続けた。Discussionによるとクレアチンキナーゼなどの指標はこの実験では改善しなかったが、他の実験では回復を示すものもあった。この実験では実験で与えたダメージが小さかったのではと考察されている。メカニズムとしては筋肉を支えることで身体組織が無駄に動かず回復が早まる可能性があるが、正確な仕組みはよくわかっていないとのこと。



★最後に
疲労回復の効果は、トレーニングの種類、強度、施術の方法(水温、コンプレッションウェアの圧力、マッサージ系の方法など)、サプリの摂取量、タイミングなどによって変わってくると考えられる。現状の研究では各方法ともベストの量やタイミングを突き詰めることはできていない。またこれまでの研究で効果が出ていないものも、タイミングや量を変えることで効果が出るかもしれない(少なくとも効果が出そうなメカニズムの仮説が存在すれば)。


5/09/2017

疲労のメカニズム



Fatigue in Sport and Exercise
Shaun Phillips


疲労ってなんだろう?と最近考えていて、適当に探してみたら良い本が見つかった。運動による疲労について書かれていて、慢性的に身体がダルいなど病気の疲労は扱わない。2015年出版なのでかなり新し目の情報が得られる。著者はエディンバラ大学の講師。運動生理学を学ぶ大学生向けのテキストのようだ。

この本で取り上げられるのは、現時点でわかっている疲労の主なメカニズム。細かいものは他にもあるし、今後の研究でアップデートされていくだろう。

研究結果についての解釈で注意したいのは、生体外(in vitro)と生体内(in vivo)では挙動が異なる場合も多くあり、生体外でしか確認されていないメカニズムもあるので、疲労の原因だと断言するのが難しいものもある。そのため、~の可能性がある、~かもしれない といった表現が多い。

この記事では本の内容を簡単にまとめる。


★疲労(fatigue)とは何か
運動の継続による筋力の低下や、疲れているという感覚(主観的な苦しさや筋肉のバーン感など)を特徴とする現象。

しかし現時点でも、研究者の間では疲労についての明確な共通の定義が定まっていない。fatigueとexhaustion(力を使い果たすこと)の区別も曖昧。そのため研究結果の比較や解釈が難しくなっている。

例えば、運動を続けていると競技に必要なパフォーマンスの継続が難しくなること、最大の筋力を保てなくなること、徐々に出力が低下すること、など様々な疲労の定義がある。

実際に、スプリント、長距離走、チームスポーツ、ストレングス競技など運動の種類によって疲労は異なる。また疲労のメカニズムについては依然として解明されていないことが多くあるので、定義が明確に定まっていないほうが、探求の幅を狭めたり先入観を持って研究したりということが避けられるメリットもある。



★疲労の測定の難しさ
筋力の変化を測定したり、EMGで筋肉の活動を調べたり、筋肉の組織を採取したり、血液検査をしたり、TMSで脳の活動を調べたり、MRIで身体内部の活動を調べたりといった手段があるけど、疲労の一部分しかわからないし、運動している人間をリアルタイムで測定するのはとても難しい。



★神経-筋肉の伝達経路
前提知識として、脳から運動指令が出て、筋肉に到達し、筋肉が収縮するまでを簡単に書いておく。

まず、脳から筋肉まで・・・

脳→神経→脊髄→神経→筋肉

筋肉に電気信号が到達してから筋繊維が収縮するまで・・・

神経→(電気信号)→神経終末→アセチルコリン放出→Na+が筋細胞内に流入(脱分極)→T管が脱分極→リアノジン受容体が開孔→筋小胞体からCa2+が放出→Ca2+がトロポニンCに結合→アクチンとミオシンの滑走(筋繊維の収縮)

参考サイト:
神経のしくみと機能|動作のしくみから理解する(7)
https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1989

骨格筋収縮のメカニズム(1)|骨格筋の機能
https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2088

骨格筋収縮のメカニズム(2)|骨格筋の機能
https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2089



★疲労の起こる場所の分類
大きく分けて、中枢系(central)と末梢系(peripheral)の疲労がある。
- 中枢系の疲労は、中枢神経系(脳と脊髄と運動神経)で起こる疲労(主に脳)
- 末梢系の疲労は、神経と筋肉の接合部分から先の部分で起こる疲労(主に筋肉)

中枢系の疲労と末梢系の疲労は、それぞれ独立しているわけではなく、相互作用をしていると考えられる。



以下、主な疲労のメカニズムである、エネルギーの枯渇、代謝性アシドーシス、脱水と体温上昇、カリウムとカルシウム、中枢系の疲労を順に見ていく。


★エネルギーの枯渇
・ATP

ATP + H2O ⇔ ADP + Pi + H+ + energy

ATPの貯蔵量:筋肉の最大出力を2秒間続けられるだけの量

ATPの補充ルート
- PCr(クレアチンリン酸)系
- 無酸素(解糖)系
- 有酸素系

強度の高い運動であっても筋肉内のATPレベルは60%以下には低下しない。ただ個別の筋繊維(特に速筋)を見ると20%程度の低いレベルまで低下することもあり、疲労の原因になっている可能性がある。

ATPレベルが身体組織にとって危機的な水準まで低下しないように身体活動にブレーキをかけるのが疲労の役割だという見方もある。


・PCr(クレアチンリン酸)

PCr + ADP + H+ ⇔ ATP + Cr

PCrの貯蔵量:筋肉の最大出力を10秒間続けられるだけの量

理想的な状況下ではPCrの貯蔵量は2-4分で回復する

- 6秒のスプリントでPCrの貯蔵レベルは35-55%に低下
- 20秒のスプリントでPCrの貯蔵レベルは27%に低下
- 30秒のスプリントでPCrの貯蔵レベルは20%に低下

5-30秒のスプリントではPCrレベルの低下が疲労の一因になっているようだ。ただ完全に枯渇はしていないので他にも疲労の要因があると考えられる。

PCrの回復の早さは全身持久力と相関する。高強度の運動を繰り返し行う場合、全身持久力を高めるトレーニングを行っておくと、回復が早まり高いパフォーマンスを維持することが出来るだろう。


・グリコーゲン
長時間の運動で筋グリコーゲンの貯蔵レベルが大きく低下した場合でも、筋肉内のATPレベルは保たれている。
ただ、筋繊維内のグリコーゲンの低下が局所的なATPレベルの低下を招き、筋小胞体からのCa2+の放出を阻害することで、筋繊維の収縮が抑制される可能性がある。

また長時間の運動で肝グリコーゲンが枯渇することにより低血糖になり、中枢系と末梢系の両方の疲労を引き起こす可能性があるが、これには個人差がかなりあるようだ。


・脂質
トリグリセリドの形で脂肪組織に大量と、筋肉内に少量貯蔵されている。トリグリセリドはグリセロールと脂肪酸に分解され、脂肪酸が筋肉に取り込まれ酸素を用いてATPを再合成する。

脂肪酸→アセチルCoA→(β酸化)→クレブス回路

脂質は大量にあるので疲労には直接には関わらないが、もし脂質を優先的に使用することでグリコーゲンの消費を抑えることが出来れば、疲労を遅らせることが出来る。実験では炭水化物の摂取を制限し空腹時の運動をすることで脂質を優先的に使用する適応が起きるが、再び炭水化物を摂取すると元に戻るので、グリコーゲンを蓄えた状態で脂質を優先的に使用してグリコーゲンを節約し疲労を遅らせることが出来るかは微妙なところ。

図. スプリントの際のATP再合成源エネルギーシステムの割合推移

図. 持久運動の際の主なエネルギー源の割合推移




★代謝性アシドーシス
・乳酸への誤解
グルコースの解糖ではピルビン酸塩が生成され、その過程でH+も生成される。高強度の運動ではクレブス回路によるピルビン酸塩の有酸素代謝が間に合わず、ピルビン酸塩が蓄積していく。ピルビン酸塩が蓄積されると解糖ペースが落ちて運動パフォーマンスが低下し、またH+が蓄積されると酸性度が高くなりすぎ体組織の機能に悪影響がでる。H+を処理しつつピルビン酸塩を乳酸塩に変換することでこれを防ぐ。

ピルビン酸塩 + NADH+ + H+ → 乳酸塩 + NAD+

このようにグルコースの解糖の結果、生成されるのは乳酸塩であって乳酸ではない。また乳酸塩はピルビン酸塩とH+を処理することで疲労を和らげる役割を果たしていて、乳酸が溜まるから疲れるわけではない。

乳酸塩は運動後1時間くらいで無くなるので筋肉痛の原因にはならない。またバーン感が乳酸塩によるものだというエビデンスはない。バーン感は、H+などの蓄積や、筋繊維の収縮によるメカニカルな刺激を神経が検知しているのかもしれない。


・H+によるアシドーシスの影響
1) Ca2+がトロポニンCへ結合する際にH+が競合することで筋収縮を弱くするかもしれないが、あってもわずかだと考えられ、むしろ酸性環境ではカルシウムポンプに結合するCa2+が減り、そのぶんトロポニンCに多くのCa2+が結合することが出来、筋収縮に好都合の可能性がある。

2) H+はクロスブリッジによる力の生成を妨げ、その結果筋力の低下を起こす可能性がある。また筋収縮の最大収縮速度を低下させる可能性もある。

3) 高強度の運動による血液内のH+の増加は、酸素と結合するヘモグロビンの割合を減らし、脳に運ばれる酸素量が少なくなることで、中枢系の疲労の原因になる可能性がある。



★脱水と体温上昇
脱水と体温上昇は、主に長時間の持久運動や屋外でのスポーツで問題になる。

・脱水
血液中から水分が減ることで、一拍ごとに心臓から送り出される血液の量が減り、心拍数を増やすことでこれを補う。また内蔵などコア部分への血液が優先され、皮膚へ回される血液量が減ることで、体表面からの放熱が妨げられ体温が上がり、これも疲労につながる。また筋肉への血流も少なくなり、グリコーゲンの消費量が増えることで疲労が早まる。

脱水になると運動の主観的な辛さが増す。

運動による脱水で体重が2%減るとパフォーマンスに悪影響が出るという研究結果があるが、これは他人に決められたペースで運動し続けた場合。自分でペースをコントロールできる状況では、この程度の脱水では悪影響は出ない。

そもそも運動による体重減少は、減少分がそのまま水分不足になるわけではない。例えばグリコーゲンは水と一緒に1:3の割合で貯蔵されているが、運動でグリコーゲンが消費されてそれにくっついていた水が発汗で失われたとしても、身体は水分不足の状況にはならない。

水分補給は、「喉が渇いたら適宜飲む」という戦略が最も効果的なようだ。体重減少分を無理して飲む必要は無い。飲み過ぎも飲まなすぎも極端なのは悪影響が出る。


・体温上昇
高温多湿の環境で体温上昇しやすい。

体温上昇により、脳の温度上昇、脳への血流減少、脳の活動低下、脳からの運動指令の低下が起こり、これらが疲労になっていると考えられる。

体表面の温度の上昇により、放熱のための皮膚への血流が増加することで、筋肉への血流が減少し疲労につながる。



★カリウムとカルシウム
・カリウム
運動神経から伝わってきた活動電位が筋肉の細胞膜に伝わりそれが筋全体に伝搬する仕組み
A:脱分極
ナトリウムチャネルが開き、Na+が細胞内に流入し、電位上昇。
B:再分極 
ナトリウムチャネルが閉じ、カリウムチャネルが開き、K+が流出し、電位が低下する。
C:過分極
カリウムチャネルが開き続け、電位が安静時よりも低下する。
D:安静時の電位
カリウムチャネルが閉じ、ナトリウム・カリウムポンプの働きにより安静時の電位に戻る。

理屈の上では、筋肉の活動が続いて細胞外へのK+の流出が続くと、細胞内のK+が少なくなり、脱分極による活動電位の上昇が小さくなり、筋小胞体からのCa+放出が少なくなり、筋肉の収縮が弱くなる。

ただ生体内ではこれをカバーするメカニズムが色々とあるようだ。動員する運動単位を切り替えて負荷分散したり、発火頻度を調整して活動電位を必要最小限に抑えて筋肉を収縮させたり、活動電位が多少低下してもCa2+の放出には十分だったり、ナトリウム・カリウムポンプが筋肉の活動中もNa+とK+のバランス調整を行いK+の蓄積を抑制したり、Cl-の存在がK+の蓄積や細胞内への流入を促進したり・・・といったメカニズムにより、K+の細胞外への蓄積は疲労の大きな原因ではないと現時点では考えられる。

一方で、細胞外のK+の蓄積は、求心性神経を刺激し、脳がそれを検知し、疲れているという感覚やバーン感を感じさせ、脳からの運動信号の弱まりをもたらす可能性がある。


・カルシウム
筋小胞体からCa2+が十分に放出され、それが再び取り込まれることは、筋肉の活動にとって非常に重要である。この働きが低下すると筋肉の出力が弱まる。

1) グリコーゲンレベルが低下すると、筋小胞体の機能が低下し、Ca2+の動きが妨げられ、筋肉の収縮が弱まる(疲労する)。

2) 無機リン酸塩(Pi)
PCrの分解やATPの加水分解でPiが生成される。
- Piが蓄積されると筋収縮が妨げられる。
- Piが蓄積されると、Ca2+に対する筋収縮の感受性が低下し、Ca2+の量が同じだった場合でも筋力が低下する。
- Piは筋小胞体からのCa2+放出チャネルを抑制し、また筋小胞体内でPiがCa2+と結合し蓄積することで、Ca2+の放出が低下し、筋力の低下(筋肉の疲労)を引き起こす可能性がある。

3) Mg2+の蓄積によりCa2+への感受性の低下や、筋小胞体からのCa2+の放出の減少が起こる。



★中枢系の疲労
・末梢系からのフィードバック
筋肉の収縮によるメカニカルな刺激や、代謝物の蓄積による化学的な刺激が求心性神経によって脳に伝えられ、そのことにより脳からの運動指令が抑制され、筋肉の活動が弱まる。

・脳内の神経伝達物質
セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンが脳の疲労に関わっているようだ。ただ、前駆体や受容体ブロッカーの投与により高温での長時間の運動のみパフォーマンスが変化するなど、一定条件下で脳の疲労に影響を及ぼしているようだ。

・アンモニア
運動中の筋肉では、プリンヌクレオチドサイクルでの脱アミノ反応とBCAAの酸化によりアンモニアが生成される。アンモニアの疲労への影響は、長時間の運動による認知能力への悪影響に限られると考えられる。

・サイトカイン
運動中の筋肉からは、エネルギー枯渇(主にグリコーゲンレベルの低下)により、炎症性サイトカインであるインターロイキン-6(IL-6)の生成量が急増する。運動による筋肉へのダメージによっても、IL-6は作られるようだ。また同時にIL-1とTNF(腫瘍壊死因子)も生成される。これらの炎症性サイトカインは血液経由で中枢神経系に働きかけ眠気や発熱を促す効果がある。これらのサイトカインにより、運動による疲労感を感じるようだ。IL-6の投与により、疲労感の増大と運動パフォーマンスの低下が見られる。サイトカインは神経伝達物質の働きにも影響を与えるようだ。病気の時の慢性的な疲労感やダルさにもサイトカインは関わっている。

・意識下・無意識下でのペース配分
運動を完遂するのに必要なペース配分を、意識的に、もしくは無意識で調整して、その調整に疲労感が使われているという説。オーバーペースだと疲労を感じ、ペースが遅いと楽に感じる。生理学的な疲労現象が起きて脳が疲労を感じるだけではなく、ペース配分の調整のために脳が疲労を感じて、体力の使い方を調整する。持久運動で途中どんなに疲れていても、大抵はゴールが近づくと主観的に楽になるし、実際に身体も動くようになってラストスパートが出来る。

またもっと極端な状況、例えばATP、PCr、グリコーゲンといったエネルギーが完全に枯渇したり、代謝物が溜まりすぎたり、体温が上昇しすぎたりして、身体が危機的な状況になるのを防ぐため、疲労感を用いて身体活動にブレーキをかけているという考え方も出来る。



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